祈り姫

花咲マイコ

文字の大きさ
12 / 79

11☆宮姫のペンダント

しおりを挟む
「いつか捕まると思ってたけれど……」

 宮中の屋敷牢に閉じ込められるなんて、不名誉だけれどもなかなかない体験だな……と思い、複雑な気分だ。

 それにしても一番の不安ごとはペンダントを無くしてしまったことだ。

  胸に下げていたペンダントの感覚が無いことに気がついて、胸やポケットをまさぐっても無くて、血が引くように青ざめて、何度もあの時のことを思い出す。

 もみくちゃに取り押さえられた時の事を思い出す。

「李流は何も悪くない!私が皇女と知らずに仲良くしてくれただけだから!捕まえるでない!私の大切な人じゃ!」

 法子は女官たちに引っ張られるのを必死になって振りほどいて、警護に囚われ、あきらめていた自分とは違い、必死だった。

「ではこのものの素生は知っているのですか?衛士少年と言えど、この時間の見回りはおかしいし、こんな路地にまで宮様を連れ出して!きっと宮様を攫おうとしていたのです!」

 十五歳の自分に法子様を攫って得することなんて、何もないのだけど、この場所に自ら来たのは確かだった。

 迷ったのではなく導かれてきた……

「私は女官と偽って李流と逢引していたのは私の方じゃ!捕まえるなら私を捕まえるが良い!」

「逢引って……」
 確かに初めてあったとき法子は女官だと言っていた。
 だから、その様に口裏を合わせろ!との法子の考えを李流は察したが、それよりも…十歳の皇女様がいうにまったく相応しくない言葉にその場にいるもの達は、ぽかんと口をあけた。

「ほ、法子様っ……」

 李流の顔も赤くなってしまった。
 逢引だと思っていてくれたのか。
  多分深くはわかってないと思うけれど、大切な人と言われた言葉だけでも感無量なのに……

「と、とりあえずこのモノの取り調べの方が先です、法子殿下の名前も存じていたようだからな……」
 ジロっと宮中警察に睨まれる。

 知らない分けないじゃないか……
 この国の唯一の宮姫様なんだから……

「知っていましたよ……
法子様が皇女殿下と、だからこそ、いろいろと真実を知って欲しかった。
それだけです。ただ、それだけです。」

 李流は知らずに満足な笑顔を法子に向ける。

「李流……」

 寂しそうな申し訳なさそうな顔を法子はする。

「私は李流のこと何も知らないのに……今度は李流のこと教えて欲しかったのに……」

「また巡り会えたら全てお話致します」

 そういい終わると李流は警備隊に連れ去られた。

「さ、法子さまも帰っても事情を詳しく話してもらいますよ」

 女官長の引きった笑顔が怖くてそっぽを見いた時、地面に光るものを見つけて女官長を無視してそれを拾った。


「法子様が落としたものですか?」

 女官長が上からのぞき込んできて、ペンタントを見てそう問うた。
 法子のものではないのはペンダントの古さを見れば一目瞭然だった。

 このペンタントは代々宮姫のお守りとして作られるもの。

 
 今や宮姫は私だけで二つと無いもののはずなのに、そして外に出る地図がほってある。

 持っていたとしても近代になった時代に姫宮として産まれたものの子孫なら持っているのは可能性はある。
 持ち歩くようなものではない家宝といえるもののはずだ。


 この場所を知っていたのは李流のみ。
 ではこれは李流のペンダント?

 李流とこの場所で会えた謎の符号は一致したけれど、どうして李流が持っているのだろうという新たな疑問が湧いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...