14 / 79
13☆秘密の素性
しおりを挟む
「これはな、わしの母が託してくれたものだ」
祖父はそう言って十才になった李流にペンダントにまつわる祖父の秘密を聞いた。
祖父の母、李流にとって曾祖母は斎宮を務めていた。
そして歴代の中で不思議な力を持っていたとも言われている。
その斎宮さまがニダ国に嫁ぐことになり、ニダ国とは更なる日和帝国との結びつきが強くなることがアジアにとっての平和だと信じていた。(反対していた日和首相はニダの民によって殺されてしまったが)
そして盛大な結婚式を経て、仲が睦まじい夫婦に長男である祖父が生まれたが、ニダ国の伝統で最初の子供は不義の子という事で殺される事が決まっていた。
斎宮に不義の疑いをかけて貶めているという事でもあった。
歴代の王妃の定めとはいえ、日和帝国は納得いくものでもない。ただでさえ祈り姫のであられる方のお子を殺すことは許されない。国の伝統と言われても人道的にも納得出来ない。
日和国の方がニダ国の保護国でもあるので意見を出したら強い。
結果夭折したということにして、侍女にあずけた。
しかし日和国に伝統の邪魔をされたと思うニダ国の臣下は子を殺そうと意見する。
追っ手から逃げるように侍女は斎宮の赤子を抱いて
当時駐留していた桜庭の宮にあずけられ、斎宮のペンダントを見た桜庭の宮様は斎宮の御子だと確信した。
そして桜庭の宮の養子となり、桜庭の宮の娘と結ばれて、李流たち孫にも恵まれた。
「おじいさんは・・・親を恨まなかったの?」
「恨むより感謝だな。こうして幸せでいられるのだから。」
祖父は優しく微笑む。
「それに内緒で母の付き添いをしたこともある、何も言わなくても絆はあるのだ。」
「ひいおじいさんとは?」
「……まぁお前と同じかの。何の因果かわからぬが」
笑顔が苦笑に変わる。
李流は父とうまくいっていない、父は母と離婚してニダ国の女と再結婚した。
ニダ国を軽蔑している祖父は父を勘当して追い出し、李流と嫁を面倒みている。
そんな気まずい雰囲気に李流はペンダントの中を開ける。曾祖母の写真が入ってると思いきや、ペンダントからバラバラとペンダントの丸い形によくハマった板が広がった。まるで地図のような線がペンダントの中央から端に向けて線が彫られている。
「迷路みたいだ……」
とあっけに取られた李流はつぶやく。
「ゴールは斎宮の宮、曾祖母がおわさったところまではわかるのだがな」
「どういうイミだろう。」
「さあな」
祖父は興味はなさそうだったが、なぜか李流には惹かれるものがあった。
「だだそのペンダントは良い方へ導いてくれるお守りだと言うことは確かじゃな、祈り姫の最も強い加護が込められているからな」
そう笑う祖父の顔はとても満足げだった。
そのペンダントが宮中に導き、法子に合わせてくれた。
それを無くしてしまうなんて……
しかも今は罪人だ。
捉えられてる場所はしつらえられた屋敷牢。
さすが宮中。
一応布団に潜ってもんもんと考えていたら過去の夢を見るなんて。
桜庭の家にも迷惑かかってるだろうなぁ
それにしても今更法子様との逢引をバレるなんておかしい。
この宮中にもQ条信者のつてが回ってるんだろうな。
と感が働く。
法子様に自虐史を植え付けているのが許せなくて、自虐史観を払拭に成功したのはいいけれど、そのためによく思わない奴らのリークがあったに違いない。
誰かは解らないけれど、知る必要もない。
この後俺はどうなるんだろう。
マスコミが
『少年Aが宮中に忍び込んで、うんたらかんたら』
とか騒ぎ出すんじゃないだろうか?
あることないこと噂されるに違いない。
そんなくだらない心配よりも一番の不安事は
宮中にも陛下にも迷惑をかけることにもなる。
それを思うだけで
「はぁぁぁぁああああ……」
頭を抱えて悶絶するしかなかった。
「桜庭李流、門からでろ。陛下直々にお言葉がある」
宮中警備が2人牢の前にきて鍵を開けながら思いがけないことを言った。
祖父はそう言って十才になった李流にペンダントにまつわる祖父の秘密を聞いた。
祖父の母、李流にとって曾祖母は斎宮を務めていた。
そして歴代の中で不思議な力を持っていたとも言われている。
その斎宮さまがニダ国に嫁ぐことになり、ニダ国とは更なる日和帝国との結びつきが強くなることがアジアにとっての平和だと信じていた。(反対していた日和首相はニダの民によって殺されてしまったが)
そして盛大な結婚式を経て、仲が睦まじい夫婦に長男である祖父が生まれたが、ニダ国の伝統で最初の子供は不義の子という事で殺される事が決まっていた。
斎宮に不義の疑いをかけて貶めているという事でもあった。
歴代の王妃の定めとはいえ、日和帝国は納得いくものでもない。ただでさえ祈り姫のであられる方のお子を殺すことは許されない。国の伝統と言われても人道的にも納得出来ない。
日和国の方がニダ国の保護国でもあるので意見を出したら強い。
結果夭折したということにして、侍女にあずけた。
しかし日和国に伝統の邪魔をされたと思うニダ国の臣下は子を殺そうと意見する。
追っ手から逃げるように侍女は斎宮の赤子を抱いて
当時駐留していた桜庭の宮にあずけられ、斎宮のペンダントを見た桜庭の宮様は斎宮の御子だと確信した。
そして桜庭の宮の養子となり、桜庭の宮の娘と結ばれて、李流たち孫にも恵まれた。
「おじいさんは・・・親を恨まなかったの?」
「恨むより感謝だな。こうして幸せでいられるのだから。」
祖父は優しく微笑む。
「それに内緒で母の付き添いをしたこともある、何も言わなくても絆はあるのだ。」
「ひいおじいさんとは?」
「……まぁお前と同じかの。何の因果かわからぬが」
笑顔が苦笑に変わる。
李流は父とうまくいっていない、父は母と離婚してニダ国の女と再結婚した。
ニダ国を軽蔑している祖父は父を勘当して追い出し、李流と嫁を面倒みている。
そんな気まずい雰囲気に李流はペンダントの中を開ける。曾祖母の写真が入ってると思いきや、ペンダントからバラバラとペンダントの丸い形によくハマった板が広がった。まるで地図のような線がペンダントの中央から端に向けて線が彫られている。
「迷路みたいだ……」
とあっけに取られた李流はつぶやく。
「ゴールは斎宮の宮、曾祖母がおわさったところまではわかるのだがな」
「どういうイミだろう。」
「さあな」
祖父は興味はなさそうだったが、なぜか李流には惹かれるものがあった。
「だだそのペンダントは良い方へ導いてくれるお守りだと言うことは確かじゃな、祈り姫の最も強い加護が込められているからな」
そう笑う祖父の顔はとても満足げだった。
そのペンダントが宮中に導き、法子に合わせてくれた。
それを無くしてしまうなんて……
しかも今は罪人だ。
捉えられてる場所はしつらえられた屋敷牢。
さすが宮中。
一応布団に潜ってもんもんと考えていたら過去の夢を見るなんて。
桜庭の家にも迷惑かかってるだろうなぁ
それにしても今更法子様との逢引をバレるなんておかしい。
この宮中にもQ条信者のつてが回ってるんだろうな。
と感が働く。
法子様に自虐史を植え付けているのが許せなくて、自虐史観を払拭に成功したのはいいけれど、そのためによく思わない奴らのリークがあったに違いない。
誰かは解らないけれど、知る必要もない。
この後俺はどうなるんだろう。
マスコミが
『少年Aが宮中に忍び込んで、うんたらかんたら』
とか騒ぎ出すんじゃないだろうか?
あることないこと噂されるに違いない。
そんなくだらない心配よりも一番の不安事は
宮中にも陛下にも迷惑をかけることにもなる。
それを思うだけで
「はぁぁぁぁああああ……」
頭を抱えて悶絶するしかなかった。
「桜庭李流、門からでろ。陛下直々にお言葉がある」
宮中警備が2人牢の前にきて鍵を開けながら思いがけないことを言った。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる