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オーネの努力

3☆ボースの怒り

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 オーネは朝に帰ってきた。
 初めての朝帰りだ。
 きのこのモチーフのボースの魔女の家の扉の前でオーネは立ち止まって迷っていた。

(逃げないといいながら逃げてしまったけど……受け入れてくれるかな……?ボース怒ってるかな……?)
 と不安でドキドキして扉を開けると
「おかえり、オーネ。」
 ボースは毎日の挨拶の調子で言ってくれた。
「ご飯できてるよ。」
 いつもの優しいボースだった。
「夕飯も食べずに逃げたからお腹すいたでしょうぉ……?」
 ボースは言葉にわざと脅すような抑揚を混じえながら、魔女の料理らしい黄色と紫のマーブリングのスープをオーネの席に置いた。
 口元は笑ってるのに目が笑ってない。
 かなり怒ってるようで、さらに、スープは確実に危険物だと確信する。
「いらない……たべてきたし……あと、アルバイト始めたんだけど……おこずかいはもう要らないよ……逆に入れられると思う……」

 ドンッ!とボースはテーブルを手のひらで叩き、オーネはびっくりする。

(ひーーーーーーーっ!)

 オーネは怖くて涙目になる。体を縮める。
 ボースと反抗期の時に喧嘩して以来怖い。
「オーネ……僕から離れようと言うの?」
 ボースは怒りで声が震えている。
「え?ち、ちがうけど……」
 オーネは怖くて声を小さくして震える。
「僕から離れることは許さないよ……ボースは僕の眷属なんだから……君の生死は僕が握ってるんだからね……ふふふふ」
 悪い魔女みたいなオーラを放ち、瞳をキラキラと禍々しく、輝かせわざと怒ってやる。
 このぐらい脅さなきゃ魔女の眷属になった恐ろしさを分からず、舐められるとボースは思ったが、オーネは目をキラキラさせて、

「うん。わかってるよ!オーネはボースの眷属だよっ!」

 美しい顔に極上の笑顔に紅潮させた頬で見つめられると、ボースの怒りは治まった。
「オーネ……幸せなの?」
「うん。幸せ。へへへっ」
 幼い頃の素直さな態度にボースは拍子抜けだ。
 ボースは怒っているのにオーネは安堵した柔らかい表情だ。
 ボースはフーっ!と鼻でため息を吐くと、
「ま。ご飯食べちゃってね、仕事で寝てないなら少し寝ていいよ」
 ボースはオーネが寝てなさそうで疲れていると思いそういった。
「うん!」
 ご機嫌なオーネは警戒をするのを忘れてスープを飲む。
 ボースは、ふふっ……と瞳を煌めかせてオーネを見つめた。

「うっ!しまった!」
 スープは激不味い味の魔法薬だった!
 体からもくもくと煙が出ると、オーネの体は丸々と太ってしまった。
「あー……しっぱいかぁ……残念」
 感情のない声でボースは言う。
「ぼ、ボースのバカァァァ!」
 魔法薬の解毒剤を飲み半日寝込んで仕事に向かうオーネだった。
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