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8☆恋する魔女
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【魔女を裁く魔女】は人に危害を加える魔女を取り締まるのも仕事。
放置すればいずれ罪なき魔女にまた罪を押し付けられるだろう。
課せられた使命でもある。
その間に半世紀前にも同じことがあったことを知るために、ボースは【魔女を知る魔女】に通信して調べた。
「ふーん…そういうことか…」
ボースは眠るクララを金の瞳を煌めかせて見つめる。
☆
クララが目を覚ますのを待って例の領地に行くために用意を整えた。
オーネは魔女らしく赤いAラインのドレスに黒のマントを被る。
何も知らない人間が見たらそれは大きな影がひとりでに移動しているように見えて不気味でもある。
フードの中に金の小鳥に変身したボースが隠れている。
オーネはクララの手を握って森を歩く。
華奢なクララより大きい手の女性はいるが、やはり女性よりもしっかりして心の中で魔女ではないのでは……?と不安に思う。
「その神父さんかっこいいのぉ?」
オーネは突然そう聞いてきた。
やはりオネェ言葉だとは思う。
「ええ!とても素晴らしい方なのです。優しいし、正義感があって思いやりもあって…とても素敵な人です」
クララは不安な表情を和らげて頬を染めてそう告げた。
大好きな人を思うと勇気が出るのは恋している証拠だ。
「両思いはいいわよねぇー。うらやましいわぁー」
オーネは頬に手を当てて悩ましげにため息を吐いた。
やはり外見と反対でしたしみやすいとクララは感じる。
「…恋っていいわよねぇ。両思いならなおさら……」
「恋…しているんですか?」
「してるわよーっ!魔女って言っても乙女だもの!」
クララはオカマじゃなくて……?と心の中で呟き苦笑する。
「……でも、魔女って本当の恋を叶えると死んじゃうんじゃないんですか……?」
「えっ…?そうなの?」
オーネは本気で驚いた。初耳らしい。声音がオネェじゃなくなっていた。
フードの中に隠れてる小鳥のボーズが頬を突っついて注意する。
「……それにしても、よくしってるわね?」
「……継母を調べるうちに知りました……とくに、乙女のまま魔女になった女の子の魔女の呪いが溶けてしまうと……昔話で聞きました。」
「よく知ってるね……」
ボースはつい呟いた。
クララはオーネの声じゃない事に首を傾げる。
「どうしてそんなことまで知ってるの?」
オーネはボースのつぶやきを自分の口で言い直して尋ねる
「ま、継母を魔女だと疑い、いろいろ調べました…」
クララは口元を抑えてそう告げた。
魔女狩り激しい時代にはどこの地方にも魔女に関する話が残っている。
「【魔女を裁く魔女】だというから、恐ろしく厳しい容赦ない魔女かと思ってましたけど、オーネさんは親しみやすい優しい魔女さんなんですね。」
「うふふ。そーよ。
私みたいな魔女そうそういないんだからっ!痛っ!」
肩に乗るボースは耳を思いっきりつまむ。
《オーネ…墓穴掘りすぎ》
テレパシーで伝えてくるボースの声後低い。
本物の【魔女を裁く魔女】のボース容赦ないとオーネは苦笑した。
「もしかして、あなた継母は本物の恋を探してたりして」
オーネは冗談で、だけど希望も込めてそう言ってみたが、
「そんなことはありえません!乙女でもないし!罪なき魔女に失礼です!」
クララは心に溜まった怒りを込めて断言した。
「ご、ごめんなさい…つい……」
クララは謝る。
「そうね【魔女を裁く魔女】に届くほどの、声だもの。まぁ、とにかくあってみれば分かるわ……悪い魔女なんてあっという間に倒してあげるわ!」
オーネはクララにそう言ったが正直、
(私には、魔女の事はなんにも分からないけど……)
「……五十年前に魔女狩りがあってその裁かれた魔女は悪魔のような女だったというおろしい伝説もあってみんな魔女を恐ろしい存在だと認識していて、今に至るんです…いまやこの領地は…」
ちょうど森を抜け、そびえ立つ自分の生家の屋敷を見るとオーネはゾッとする。
クララも恐ろしさに震えていた。
禍々しい紫の空に薄黒い瘴気が渦を巻いている。
コウモリたちが館に集まる様子も魔界を連想させる。
「あれはかなり強い魔女だね……五十年前の伝説の魔女というやつかな…」
ボースは声を潜めてそういった。
森を抜けた人間界のクララの故郷である領地の様子も閑散としていた。
数メートル先は霧までかかっていて人を惑わし不気味だ。
太陽も隠すほど覆いかぶさる雲。
人間から魔女になった魔女の力ではない。
悪魔から力を得た魔女の仕業だとボースは察した。
魔女は悪魔の手先ともされている…
ボースのように【魔女の中の魔女】に救われた魔女以外……
「このエリア全体魔女の領域異界にされてるわ」
オーネはボースが言う言葉を口に出してクララに説明した。
放置すればいずれ罪なき魔女にまた罪を押し付けられるだろう。
課せられた使命でもある。
その間に半世紀前にも同じことがあったことを知るために、ボースは【魔女を知る魔女】に通信して調べた。
「ふーん…そういうことか…」
ボースは眠るクララを金の瞳を煌めかせて見つめる。
☆
クララが目を覚ますのを待って例の領地に行くために用意を整えた。
オーネは魔女らしく赤いAラインのドレスに黒のマントを被る。
何も知らない人間が見たらそれは大きな影がひとりでに移動しているように見えて不気味でもある。
フードの中に金の小鳥に変身したボースが隠れている。
オーネはクララの手を握って森を歩く。
華奢なクララより大きい手の女性はいるが、やはり女性よりもしっかりして心の中で魔女ではないのでは……?と不安に思う。
「その神父さんかっこいいのぉ?」
オーネは突然そう聞いてきた。
やはりオネェ言葉だとは思う。
「ええ!とても素晴らしい方なのです。優しいし、正義感があって思いやりもあって…とても素敵な人です」
クララは不安な表情を和らげて頬を染めてそう告げた。
大好きな人を思うと勇気が出るのは恋している証拠だ。
「両思いはいいわよねぇー。うらやましいわぁー」
オーネは頬に手を当てて悩ましげにため息を吐いた。
やはり外見と反対でしたしみやすいとクララは感じる。
「…恋っていいわよねぇ。両思いならなおさら……」
「恋…しているんですか?」
「してるわよーっ!魔女って言っても乙女だもの!」
クララはオカマじゃなくて……?と心の中で呟き苦笑する。
「……でも、魔女って本当の恋を叶えると死んじゃうんじゃないんですか……?」
「えっ…?そうなの?」
オーネは本気で驚いた。初耳らしい。声音がオネェじゃなくなっていた。
フードの中に隠れてる小鳥のボーズが頬を突っついて注意する。
「……それにしても、よくしってるわね?」
「……継母を調べるうちに知りました……とくに、乙女のまま魔女になった女の子の魔女の呪いが溶けてしまうと……昔話で聞きました。」
「よく知ってるね……」
ボースはつい呟いた。
クララはオーネの声じゃない事に首を傾げる。
「どうしてそんなことまで知ってるの?」
オーネはボースのつぶやきを自分の口で言い直して尋ねる
「ま、継母を魔女だと疑い、いろいろ調べました…」
クララは口元を抑えてそう告げた。
魔女狩り激しい時代にはどこの地方にも魔女に関する話が残っている。
「【魔女を裁く魔女】だというから、恐ろしく厳しい容赦ない魔女かと思ってましたけど、オーネさんは親しみやすい優しい魔女さんなんですね。」
「うふふ。そーよ。
私みたいな魔女そうそういないんだからっ!痛っ!」
肩に乗るボースは耳を思いっきりつまむ。
《オーネ…墓穴掘りすぎ》
テレパシーで伝えてくるボースの声後低い。
本物の【魔女を裁く魔女】のボース容赦ないとオーネは苦笑した。
「もしかして、あなた継母は本物の恋を探してたりして」
オーネは冗談で、だけど希望も込めてそう言ってみたが、
「そんなことはありえません!乙女でもないし!罪なき魔女に失礼です!」
クララは心に溜まった怒りを込めて断言した。
「ご、ごめんなさい…つい……」
クララは謝る。
「そうね【魔女を裁く魔女】に届くほどの、声だもの。まぁ、とにかくあってみれば分かるわ……悪い魔女なんてあっという間に倒してあげるわ!」
オーネはクララにそう言ったが正直、
(私には、魔女の事はなんにも分からないけど……)
「……五十年前に魔女狩りがあってその裁かれた魔女は悪魔のような女だったというおろしい伝説もあってみんな魔女を恐ろしい存在だと認識していて、今に至るんです…いまやこの領地は…」
ちょうど森を抜け、そびえ立つ自分の生家の屋敷を見るとオーネはゾッとする。
クララも恐ろしさに震えていた。
禍々しい紫の空に薄黒い瘴気が渦を巻いている。
コウモリたちが館に集まる様子も魔界を連想させる。
「あれはかなり強い魔女だね……五十年前の伝説の魔女というやつかな…」
ボースは声を潜めてそういった。
森を抜けた人間界のクララの故郷である領地の様子も閑散としていた。
数メートル先は霧までかかっていて人を惑わし不気味だ。
太陽も隠すほど覆いかぶさる雲。
人間から魔女になった魔女の力ではない。
悪魔から力を得た魔女の仕業だとボースは察した。
魔女は悪魔の手先ともされている…
ボースのように【魔女の中の魔女】に救われた魔女以外……
「このエリア全体魔女の領域異界にされてるわ」
オーネはボースが言う言葉を口に出してクララに説明した。
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