11 / 37
11★魔女を裁く
しおりを挟む
黒いマントから手だけが伸び、クララの額に十字を切るとクララは、ハッ!と目を見開いて正気にもどった。
「わた…しは…」
締め上げていたオーネの首から手を離す。
壁に足をつけている自分に絶望する。
これは……もうこの体は人間ではなくなっている…と確信した。
自分は母…悪魔の魔女にあやつられてしまったことに……
これでは、魔女そのものだ……
魔女を本当にやめるにはやはり……
潤んだ瞳で張り付けにされている神父を見つめた。
「君は悪い魔女じゃない。
ただ、操られていただけだ」
不安を消すようなはっきりとした声音でボースはクララに断言した。
「……え?」
黒いマントから、人が現れる。
それは襟首までの長さの見事な金髪にブルーの瞳に緑色を基調とした服装にトンガリ帽子と淡いピンクのマントの縁にはフリルレースをふんだんにつかい襟元に濃いピンクのリボン。女の子らしい衣装に映える白の半ズボンを穿いた男の子……
いや、魔女のボースが本当の姿を現した。
「男の子……?」
クララはそうつぶやく。
ボースは苦笑する。
「僕こそが魔女を裁く魔女だよ。」
ボースはトンっ!と地に降りるとオーネはボースに片膝をついて頭を下げる。
それは騎士が姫に忠誠を誓っているようにも見える。
ボースの長い髪をどけると背中が顕になる。
そこに刻まれたトルシュルにボースは口づけをする。
十字に唇から舌を小さく出してそっと舐める。
その口づけは艶っぽく感じる。
少女とはいえ、女が愛しい男を愛撫をしているように見える。
外見とは違い魔女であると認識してしまう。
それを息を呑みクララは見とれた。
「あ、あぁ…っ!」
主人であるボースに触れられた快感にオーネは体を震わすと、オーネの体は光に包まれ、ボースの手の中に収まるトルシュルの剣になった。
「【魔女を裁く魔女】がお前の存在自体を霊的に生まれ変わらせてやる!」
ボースは切っ先を悪魔の魔女に向ける。
あまりの光景に、悪魔の魔女も見惚れていたことに気付き、ハッとして、
「こしゃくな!わたしに刃向かえるとでも思っておるのかァァァ!」
体を蛇のようにうねらすと大蛇に変身しボースに襲いかかる。
ボースはその場から動かず静かに金色に輝く魔女の証の瞳を大蛇に向けて、
「……それは、こっちのセリフだよ…」
大蛇に空を凪ぐように素早く一振りした。
「がっ…⁉」
一瞬にして大蛇の大口からまっ二つに尻尾まで裂けたのだ。
真っ二つに左右対称になった悪魔の魔女の体が地に落ちると腐臭を放って溶けて消えた。
存在そのものをなかったことになったのは悪魔の魔女の方だった。
「【魔女を裁く魔女】に逆らえる魔女なんていないんだよ…ガーネット以外にね…」
ボースは冷たい瞳で悪魔の魔女の最後を見つめたのだった。
「わた…しは…」
締め上げていたオーネの首から手を離す。
壁に足をつけている自分に絶望する。
これは……もうこの体は人間ではなくなっている…と確信した。
自分は母…悪魔の魔女にあやつられてしまったことに……
これでは、魔女そのものだ……
魔女を本当にやめるにはやはり……
潤んだ瞳で張り付けにされている神父を見つめた。
「君は悪い魔女じゃない。
ただ、操られていただけだ」
不安を消すようなはっきりとした声音でボースはクララに断言した。
「……え?」
黒いマントから、人が現れる。
それは襟首までの長さの見事な金髪にブルーの瞳に緑色を基調とした服装にトンガリ帽子と淡いピンクのマントの縁にはフリルレースをふんだんにつかい襟元に濃いピンクのリボン。女の子らしい衣装に映える白の半ズボンを穿いた男の子……
いや、魔女のボースが本当の姿を現した。
「男の子……?」
クララはそうつぶやく。
ボースは苦笑する。
「僕こそが魔女を裁く魔女だよ。」
ボースはトンっ!と地に降りるとオーネはボースに片膝をついて頭を下げる。
それは騎士が姫に忠誠を誓っているようにも見える。
ボースの長い髪をどけると背中が顕になる。
そこに刻まれたトルシュルにボースは口づけをする。
十字に唇から舌を小さく出してそっと舐める。
その口づけは艶っぽく感じる。
少女とはいえ、女が愛しい男を愛撫をしているように見える。
外見とは違い魔女であると認識してしまう。
それを息を呑みクララは見とれた。
「あ、あぁ…っ!」
主人であるボースに触れられた快感にオーネは体を震わすと、オーネの体は光に包まれ、ボースの手の中に収まるトルシュルの剣になった。
「【魔女を裁く魔女】がお前の存在自体を霊的に生まれ変わらせてやる!」
ボースは切っ先を悪魔の魔女に向ける。
あまりの光景に、悪魔の魔女も見惚れていたことに気付き、ハッとして、
「こしゃくな!わたしに刃向かえるとでも思っておるのかァァァ!」
体を蛇のようにうねらすと大蛇に変身しボースに襲いかかる。
ボースはその場から動かず静かに金色に輝く魔女の証の瞳を大蛇に向けて、
「……それは、こっちのセリフだよ…」
大蛇に空を凪ぐように素早く一振りした。
「がっ…⁉」
一瞬にして大蛇の大口からまっ二つに尻尾まで裂けたのだ。
真っ二つに左右対称になった悪魔の魔女の体が地に落ちると腐臭を放って溶けて消えた。
存在そのものをなかったことになったのは悪魔の魔女の方だった。
「【魔女を裁く魔女】に逆らえる魔女なんていないんだよ…ガーネット以外にね…」
ボースは冷たい瞳で悪魔の魔女の最後を見つめたのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる