あやかしと神様の恋愛成就

花咲マイコ

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2☆狐巫女の正体

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 瑠香は逃げた妖の方に手の平を向けると、お香の煙が現れ、

「かの妖を捉えよ」

 煙は人の手となり、さっきの狐巫女を捉えに行った。
 瑠香は神の化身である前に香茂家の御曹司、代々受け継ぐ能力は審神者を神に任命され能力も歴代一だ。
 陛下の側に仕える『神の化身』は最強な存在でなくてはならない。
 その中で一番強い力を持つのはまた八歳の晴房だ。

 だが、未熟な幼い神は結界を張れるほど成長していないのため、どこかで綻びが出ると陰陽寮長官の父が言っていた。
 そのために、表では廃止されている陰陽師が神職と兼ねて日和国では存在する。


「きゃあ!」
 どうやら無事捕まえたらしい。
 狐をとらえた屏の内側は手入れのされた自然あふれる森だった。
 あまりに広大な宮中は森もあり自然動物たちが住んでいる。
 宮中の動物は殺生は禁止なので動物が増える。
 その森の太い木に狐の妖は香の力に捉えられもがく。
 その顔を近くで見ようとライト向けると見覚えがあった。

 半年前に一緒に晴房を探した巫女だった。
 先帝陛下がご崩御なされた時に晴房は突然宮中から消えて探していたら、一緒に探してあげると率先して晴房を探した。
結局、晴房は外の世界で迷子になっていたらしく狩衣ではなくトレーナ一枚を着て降り立って帰ってきた。
 無事に帰ってきたことを報告しようとしたが、男子禁制の宮中の神殿の巫女だったと思い会えなかった。
 
 その時、その巫女に瑠香はすでに恋に落ちていた。

 もう一度逢いたいと思っていたのに会えなかった。

 だけど、『あやかし』だったなんて……

「お前は、オレと一緒に晴房を探したを巫女か?」
「なんの話だ?取りあえず!これをなんとかして!」
 身動きできなくて焦ってもがく。
「忘れてしまったのか?」
「は?知らん!」

 本当に忘れてしまったらしい。

 瑠香は忘れられていたことが悲しくムカついて意地悪する。

「朝までそうしていたら妖は消えるのかな?ドラキュラのように苦しんで……」
 瑠香の美しく残酷な笑みにゾクリと妖は青ざめた。
 あやかしはアマテラス大御神の光に弱いという話は聞いたことがあるが本当のようだ。
 これは単なる意地悪だ。
 一目惚れした女をそんな酷いことを本気でしようとは思っていない。
「ううっ…ひどい……やだよ…」
 冗談のつもりだったのに、
 妖の巫女はポロポロと涙をこぼした。
 女のコらしい嗚咽で泣く。
「私は悪いことしてないのにどうして、そんな意地悪するのだ……?」
 大きな潤んだ瞳で、瑠香を見つめる。
 狐の大きな耳もひしゃげて、しゅんとする。
 瑠香の心臓はどきりとする。
(………可愛すぎる……)
 でも、あやかしの常套手段かもしれないと警戒する。
 彼女は、落ち込んだと思えば耳をピンと立ち上げて目を吊り上げて、キッ!と瑠香を睨む。
「それに私は妖であって神でもある身だ!失礼だ!」
「初めっから人ではなかったのか……?」
 半年前までそんな気配は無かったが……巫女で普通の可愛い女の子だった。
 女よりも美しい自分が初めてドキドキするほどのタイプな女の子……
 そこまで覚えていて忘れられなくて自分でもどうかしていると瑠香は思うが。
 彼女はまだ潤んだ瞳は金に光り瑠香をみる。

「私は、一度死んだんだ……」
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