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12☆祝皇陛下
しおりを挟む「こんなところで、どうしたのかね?」
優しい声音でお尋ねになる。
「へ、陛下⁉︎」
祝皇のオーラが眩しい。
霊力の目を閉じれば、朝日が登り始め、全てを真白にするほど眩しくはなかった。
(陛下をお守りせねばならないのに我々が助けられるとはなんていう不名誉なことか……)
瑠香は不甲斐なく思う。
それは葛葉子も同じのようだった。
三人は陛下の御膳に膝をおり、頭を下げる。
「へいかはさいきょうだ!」
恐れ多くも晴房は興奮気味に陛下を褒め称えて、陛下に抱きついた。
陛下は、優しく晴房の頭を撫でる。
「大切な国民を守れてよかったよ。」
陛下は何かを感じ庭を歩かれたらしい。
耳と尻尾の狐の少女姿に戻っていた葛葉子にに近づきお言葉をかける。
「そこにいるのは、……白狐さまですね。ご挨拶が遅くなりましたね。
夜の皇居を守ってくれていてくれてありがとう」
陛下は何でもご存知だ。
葛葉子は陛下を直接見るのは恐れ多く頭を下げ、感無量の面持ちだった。
「いえ、こちらから挨拶に出向かなくてはいけなかったのに……」
(白狐といえ、出向ける身分でも、姿でも存在でもないのなけれど……)
葛葉子はドキドキが止まらない。
むしろ感動で体が小刻みに震えてしまう。
「皇になってから半年だが、忙しく、異界のものとも交流ができなくてね。
すべて、中務の宮に任せているのだけど、あの子は自由奔放でね……
今夜も宮中にいないみたいだね……」
陛下はため息をおつきになられた。
末っ子宮さまの自由奔放振りに悩まされているようだった。
日和国の中務の宮は陰陽寮や近衛の情報を帝に伝える宮の役職だ。
昔に表では廃止されたが、陰陽寮があるなら中務の職も必要だった。
さらに、宮中周辺の異変や怪異も吉凶に関わる事なのでそのことも陰陽寮長に占わせ陛下事細かにつたえることが役目だ。
「あの子は私よりも異界や霊界に興味があって、中務の宮から全て話しは届くようになっているけれど、今回の事は知らなかったみたいだね。」
困った中務の宮に苦笑した。
まだまだ未熟さが可愛い息子とでもおもっているようだ。
陛下は人の世界もあやかしの世界も神の世界にも、誠実であられ祝皇のお心に感動せざるえない。
そんな陛下にやはり葛葉子は言祝ぎをもらいたい……
「へ、陛下あの……あの……」
恐れ多くも葛葉子はもじもじしながら陛下にくちづけをしようとお側に少しずつ近づいてい行っている。
それは、キスをいただく願いだけではなく本気で陛下に惚れているのだと瑠香は確信した。
それを察した瑠香はぐいっと葛葉子の体を引っ張って阻止する。
「陛下に近づくと後ろのものにやられるぞ」
と、注意をした。
本当はヤキモチだが護衛のせいにする。
陛下の後ろに近衛が控えて、異形の巫女に警戒している。
「それでは、私はこれで失礼するよ。また落ち着いたらまたお話を聞かせてもらう事を楽しみにしているよ」
「はっ!ありがたき幸せでございます……」
陛下が宮殿に戻られるまで恐れ多くも陛下のお庭で見送った。
後で知ったが、臣は体調不良ではなく、中務宮と楽しい心霊スポット巡りに駆りだされていたらしい。
「ん?これは……?」
瑠香は落ちている紙を目に止めた瑠香は訝しる。
人形の紙にカラスの血のような足跡の紋様。
魂がないと思ったら誰かが放った式神だったのだ。
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