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あやかしと神様の狐の嫁入り
6☆恋心募る思い
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神狐の結婚は五穀豊穣の範囲を広める寿ぐものでもあるらしい。
人の世界にも自然の神々にも祝福される大事な結婚式。
なので、入り口は萩姫の社から行けるものだった。
萩姫の神社は大きく境内までにズラリと提灯がぶら下がっている。
今日はお祭りのようだった。
屋台まで並んで賑やかだ。
夜になるともっと人混みが激しくなることだろう。
そして人々の間にあやかし者が混じっているのを瑠香と東は感じる。
臣の歩く場所にはやはり結界をがはられるらしく、不自然な歩行になっている。
萩姫はたいていのあやかしには入らないむしろ神狐なので影響はない。
裏から萩姫の妖力で社内に入ると真っ暗の中と思いきやさらに、闇を照らすように提灯が奥まで
続いていた。
「さぁ、この道を通れば愛しき方のもとに……」
夏は異界との堺が曖昧になる季節。神とあやかしの境も曖昧になるらしい。
その中にはあやかしが祝言の祝のごとく出入りしているらしい。
正装をしているものもいる。
人がこの場所に来ていいものではないとわかる。
ましてや、特殊な人間たちだ。
「とりあえず狐の面をしてください。これを付けれ人だとバレません」
萩姫は提灯を持って先頭を歩くが、ため息まじりだ。
自分で自分の行いを後悔している事と、このままこの道を歩いていいのか不安に思っているらしかった。
「……もし、私以外でも良いというなら、この恋心は諦めましょう。
それほど私を見てはいなかったということなのだから……」
瑠香はムッとして、
「あきらめたら、葛葉子が、嫁にさせられるだろうが!」
ひっ!とビクつく。
萩姫狐は瑠香の事がほんとに苦手みたいだ。
東は苦笑して、萩姫に話しかける。
「その婿と君は恋仲なの?」
首を横に振る。
「幼なじみでした…わたくしはあの方が好きでした…だから、その縁で結婚まで話は進みましたが、あの方の気持ちがつかめないままでした。」
そうしたら不安になって、逃げ出して、葛葉子を身代わりにした。
「周りの狐は嫁は誰でもいいというけれど、私は私を愛してくれる人がいいというのは贅沢なわがままなのでしょうか?」
「僕的にはわがままだね。」
東は即答で言い切った。
「結婚すること自体が義務ならそれに従わないと周りに迷惑なかかるでしょう?」
人々や神々に影響与える結婚ならなおさらだ。
「僕は…僕自身の事だけど…周りに迷惑かけてまで恋をする必要はないかな……」
役目があるのならば立場というものが最優先ということだ。
「……それは、誰かを本気で好きになった事がないからですわ」
逃げ出すまで本気に好きかわからなかった萩姫がいうことではないけれど、つい言葉に出してしまった。
「本気に人を好きに……か」
東は図星をつかれ苦笑して
「憧れるね。まだ僕には許嫁は決まってないし、母が民間から来て、苦労したの知ってるし、そうまでして添い遂げるのって相手のためかな?」
それは東なりの優しさだった。
(決められた相手のほうが楽だよ。相手も自分もきっと……)
と心でつぶやいたのを、萩姫も瑠香も恐れながら覗いていてしまった。
瑠香は東の意見に反論したい。
でも部下だから反論しないし必要ない。プライバシーでもある。
(楽な恋だったら、燃え上がらない……)
と思いつつ、
(楽に葛葉子と恋をしてみたい……簡単に好かれたくもある……)
恋とは、好いて欲しいのに好きになってくれないから苦しくて相手の気持ちを向かせたい、どうか知ってほしい、苦しく甘美なのではと思う。
瑠香は己が葛葉子を好きすぎて相手の気持ちなど考えていない事を気づいていないけれど、恋とはそういうものだと思っている。
萩姫の気持ちが痛いほどわかるが、萩姫の呪術によって運命を代えられた葛葉子を助けるために暗い道を照らす提灯道を進む。
目の前には。明るく光る屋敷が見えてきた。
きっとそこに葛葉子がいる。
無事に目的地まで黙って歩いて行くだけかと思っていたが、
あやかし者たちはざわめくのが聞こえる。
「なぜ、道が塞がれる?」
「なにか人でもない神が歩かれてる?」
囁かれる。
臣は東に手を惹かれて歩いているだけだが、その歩みがあやかしを遠ざけ妨害する。
あやかしの世界ではこちらが奇異なもの。
排除されるかもしれない。
気づかれたら安全な道でもなくなる。
あやかしの巣窟なのだから。
闇を照らす目的地の境内も何やら騒がしさが増しているようだった。
人の世界にも自然の神々にも祝福される大事な結婚式。
なので、入り口は萩姫の社から行けるものだった。
萩姫の神社は大きく境内までにズラリと提灯がぶら下がっている。
今日はお祭りのようだった。
屋台まで並んで賑やかだ。
夜になるともっと人混みが激しくなることだろう。
そして人々の間にあやかし者が混じっているのを瑠香と東は感じる。
臣の歩く場所にはやはり結界をがはられるらしく、不自然な歩行になっている。
萩姫はたいていのあやかしには入らないむしろ神狐なので影響はない。
裏から萩姫の妖力で社内に入ると真っ暗の中と思いきやさらに、闇を照らすように提灯が奥まで
続いていた。
「さぁ、この道を通れば愛しき方のもとに……」
夏は異界との堺が曖昧になる季節。神とあやかしの境も曖昧になるらしい。
その中にはあやかしが祝言の祝のごとく出入りしているらしい。
正装をしているものもいる。
人がこの場所に来ていいものではないとわかる。
ましてや、特殊な人間たちだ。
「とりあえず狐の面をしてください。これを付けれ人だとバレません」
萩姫は提灯を持って先頭を歩くが、ため息まじりだ。
自分で自分の行いを後悔している事と、このままこの道を歩いていいのか不安に思っているらしかった。
「……もし、私以外でも良いというなら、この恋心は諦めましょう。
それほど私を見てはいなかったということなのだから……」
瑠香はムッとして、
「あきらめたら、葛葉子が、嫁にさせられるだろうが!」
ひっ!とビクつく。
萩姫狐は瑠香の事がほんとに苦手みたいだ。
東は苦笑して、萩姫に話しかける。
「その婿と君は恋仲なの?」
首を横に振る。
「幼なじみでした…わたくしはあの方が好きでした…だから、その縁で結婚まで話は進みましたが、あの方の気持ちがつかめないままでした。」
そうしたら不安になって、逃げ出して、葛葉子を身代わりにした。
「周りの狐は嫁は誰でもいいというけれど、私は私を愛してくれる人がいいというのは贅沢なわがままなのでしょうか?」
「僕的にはわがままだね。」
東は即答で言い切った。
「結婚すること自体が義務ならそれに従わないと周りに迷惑なかかるでしょう?」
人々や神々に影響与える結婚ならなおさらだ。
「僕は…僕自身の事だけど…周りに迷惑かけてまで恋をする必要はないかな……」
役目があるのならば立場というものが最優先ということだ。
「……それは、誰かを本気で好きになった事がないからですわ」
逃げ出すまで本気に好きかわからなかった萩姫がいうことではないけれど、つい言葉に出してしまった。
「本気に人を好きに……か」
東は図星をつかれ苦笑して
「憧れるね。まだ僕には許嫁は決まってないし、母が民間から来て、苦労したの知ってるし、そうまでして添い遂げるのって相手のためかな?」
それは東なりの優しさだった。
(決められた相手のほうが楽だよ。相手も自分もきっと……)
と心でつぶやいたのを、萩姫も瑠香も恐れながら覗いていてしまった。
瑠香は東の意見に反論したい。
でも部下だから反論しないし必要ない。プライバシーでもある。
(楽な恋だったら、燃え上がらない……)
と思いつつ、
(楽に葛葉子と恋をしてみたい……簡単に好かれたくもある……)
恋とは、好いて欲しいのに好きになってくれないから苦しくて相手の気持ちを向かせたい、どうか知ってほしい、苦しく甘美なのではと思う。
瑠香は己が葛葉子を好きすぎて相手の気持ちなど考えていない事を気づいていないけれど、恋とはそういうものだと思っている。
萩姫の気持ちが痛いほどわかるが、萩姫の呪術によって運命を代えられた葛葉子を助けるために暗い道を照らす提灯道を進む。
目の前には。明るく光る屋敷が見えてきた。
きっとそこに葛葉子がいる。
無事に目的地まで黙って歩いて行くだけかと思っていたが、
あやかし者たちはざわめくのが聞こえる。
「なぜ、道が塞がれる?」
「なにか人でもない神が歩かれてる?」
囁かれる。
臣は東に手を惹かれて歩いているだけだが、その歩みがあやかしを遠ざけ妨害する。
あやかしの世界ではこちらが奇異なもの。
排除されるかもしれない。
気づかれたら安全な道でもなくなる。
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