あやかしと神様の恋愛成就

花咲マイコ

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あやかしと神様の狐の嫁入り

7☆狐と交わる!?

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 狐の女房いわく、
「ウカ様もお招きされているので良き祝言になりますわ!」
と女房狐は喜ぶ。
「ウカ様?」
《稲荷の祭神の化身の狐だ。
千年時を生きているらしい。
あのババは祝事が好きだな…》
 と白狐が悪態をつぶやいたのを初めて聞いた。
 人の世ではないから魂に入り込んだ白狐は現れやすいのかと葛葉子は理解する。

「わかっていますよね、姫様このあと、杯を交わしたら、皆の前で、愛し合うのですよ。誓の証と子宝の繁栄のために… 」
 女房狐は口元を、袖で隠していやらしく笑う。

「はっ?なにが?どうやって?」
 葛葉子は意味がわからず聞き返す。
「もうっ!わかっているでしょう?初な姫様とはいえ何度か祝言に参加したことあるのだから。」
 わからないけど、動物でキスなんてありえない…子宝繁栄?

「まさか。交尾か?」
「姫様ったら!そんなことは口に出さなくていいんですよ!」
 葛葉子は、青ざめる。
「そんな、恥ずかしきことを皆の前でやるのか?」
 いや、テレビとか特集で人間は勉強のため見たりして知るけれど、実際に自分が今の姿は白狐とはいえそんなことをするなんて想像もしたこともなかった!

 今すぐに逃げ出したい!
 萩姫の気持ちもわかる気がする。結婚して愛の証だと心通わない(通っても人前)は絶対に嫌だ!

(ど、どうしよう!意識ははっきりしてるのに体がゆうこと聞かない!)

瑠香!瑠香!
早く来てくれ!狐と後尾させられる!
 とにかく必死に瑠香を呼ぶ。
 なぜだか、迎えに来てくれていると直感を頼る。

 葛葉子はさらに焦る。
 もう、準備は整えつつある。
 狐が集まる中でいきなり光の玉が現れたと思うと、毛の長い白狐が現れる。
 齢を千年も取ると毛が長くなるものだろうか?だけど神秘的にも見える。
 ウカ様は年取っても雌なので尻尾をおしゃれしているのか紅いリボンが結んである。

「めでたき祝言にお招きありがとう。さぁ、我が子孫たちの繁栄と恵みを分かち合おうではないか!」
 ウカ様は嬉しそうに鼓舞して盛り上げる。
 千年も生きたら弱々しい年寄りのイメージだが、中身は若そうだった。

 わーっ!と狐たちは喜ぶ。
 ウカ様は盛り上げ上手だ。
 婿狐は萩尾というらしい、目の前に並ぶの狐よりは凛々しい感じがするが、こちらを見ない。
 ほんとに萩姫に興味がないのかな?
 今は葛葉子自身だから興味持たれても困るけれども。

 両家の巫女姿をした狐に赤の杯に酒を注がれる。
それを前足で器用に持ち上げて、婿が飲むというよりか、舐める。
 そして、葛葉子に渡される。

 体が勝手に杯に口づけようとする。

 好きでもないのに
 結婚したくない!
 好きな人じゃなきゃ
 絶対に嫌だ!
 私が好きなのは…
 誓いを立てているのは……

「私が心を許すのは陛下のみ!」
 プチッと何かが意識がキレた。

ぶぁぁぁぁぁあ!と

 青黒い妖力がふきあれて、どんちゃん騒ぎをしていた狐たちがこちらを見る。

「私がこんなお山の田舎狐の嫁になれるとでも思っておるのか?」
 口から青黒い焔を、吐きながら 葛葉子に宿った白狐は言う。

「何を言う!」
「両狐できめたことではないか!」
「……約束を違えるつもりか?」
 狐たちはとまどうし、婿も威嚇する。

「私はもう陛下のために神誓いをした白狐だ。」
 白狐自身は萩姫と契約していないから動けるみたいだった。

「私は陛下以外愛せない。絶対に……」
 婿狐の荻尾は首を傾げて

「おまえは、萩姫ではないのか?」
「見ればわかるだろ?」

 狐的に見た目はわからない。
 皆同じようなものだからわかるのは気品とあやかし力。

 荻尾が惚れた萩姫とは全く別のもの……

 異なる力しかも、かなりの力を持っていることにおののく。
 そんな、葛葉子をウカ様は右前足を向けると神力で取り押さえる。
 体が固まって動けなくなる。
 けれど、青黒い焔を吐いてシャー!と威嚇する。

「本来、誰でもいいのだよ。
この家の嫁になるのなら。
 嫁がほしいだけで、個人など必要ない」

 瞳がキラキラと煌くウカの神狐はしかも年老いてさらに霊力、神の力に近い。
 獣の神といえど瑠香や晴房並品位を持つらしい。

 力の桁が違うのと性質が違う……

 葛葉子の白狐は神狐とはいえ、皇居を守る護衛の神狐。
 エリアが違うと力の差が違い過ぎる。

「なかなかに力のあるがホントに皇をまもる狐か?それとも……」
 ウカの神狐は真実を暴こうとする。

『葛葉子』という存在に入り込んだ白狐の真実を探る。
 危機を感じた白狐は葛葉子の魂に逃げ込んだ。

《まだ、バレるわけにはいかぬのだ…
 バレては皇を守れない…葛葉子を守れなくなる… 
 だって葛葉子は私の… 》

 白狐の声が葛葉子は聞こえた。
 だけど、意識が途切れる。
 途切れてしまえば、ウカ様に操られ、狐の嫁にさせられてしまうだろう…

 そんなの嫌だ……瑠香たすけて…

 その瞬間、閉じられた空間の襖が、蹴り飛ばされる。

 そこから、巫女のように縛った髪を振り乱し、息を切らせて瑠香があらわれた。
 葛葉子は、涙がこぼれそうになるほど嬉しく安堵する。

「葛葉子!」
「瑠香……」
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