あやかしと神様の恋愛成就

花咲マイコ

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あやかしと神様の恋の枷

4☆こころなしなきす

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 葛葉子は、一人急いで学校に行き、更衣室の中にある水着と制服、下着を回収し、やっと落ち着く。
 あの場所に行くと河童らしき死骸が大漁に干からびて浮いていた。
 あのあと何があったのか…
 瑠香一人で河童を掃除したと思う。

「何だこりゃァァァァァ!」
 体育の先生はその光景を見て、絶句した。
 東は、そのことを聞いて喜び河童を見に行った。
 ホントは生け捕って欲しかったけど。
 写真にバシバシおさめて満足だった。

 葛葉子は、昨日のことをまた思い出す。
 あの場所に行けば夜とは雰囲気も違うけど…
 無意識に肩を抱く。
 怖かったことを思い出す。
 瑠香が瑠香じゃなくて……
 唇以外にキスされたところがまだ、熱く感じる。
 恥ずかしい……

 久美は登校してくると、
「おはよ!葛葉子!なんかプール面白いことになってるみたいね!……ん?」
 いつも、瑠香が葛葉子の隣を占領してるのにいない。
 仲直りして、もう慣れたし瑠香に警戒されなくなった。
 そばを離れないで瑠香は黙ってふたり仲良くしてるのを見てる。
 東と臣はプールの現場にいることはわかるけど。
 なのに今日はおとなしく瑠香は自分の机に座って窓を眺めている。
 時たま、葛葉子を、後ろから眺めてはため息を吐いているのを、久美は見る。
 葛葉子も、いつものように明るくない。
 昨日はあんなに、ちちくりあってたくせに、なんだかよそよそしさを、クラスの雰囲気に漂わせている。
 久美は元気のない葛葉子の肩を叩いたら、白い首筋に虫刺されの後を見つける。

 もしかして…

「葛葉子、首筋にキスマークついてる。」

 ニヤニヤと、口元を抑えてそういった。
 今まで、首筋についたの見たことなかった。
「瑠香くんと遂に結ばれちゃった!?」
「えっ!」
 昨日首筋にされたことを思い出し、ビクリとして耳が出てしまう。
 とっさに耳を抑える。

「うーっ。」
 小さく唸って瑠香の方を見る。
 キスしてくれないと元に戻れない。

 瑠香はチラっとこっちを見て、怒っているのか、そっぽを向き、助けてくれそうにない。
 胸がなぜだかキュッと痛い。
 助けてくれないと思うと悲しい。
 でも自分が拒否したんだから仕方ない。

「ちょっとトイレ。」
 そのまま一日ボイコット決定か……
と思いつつ駆けて行くと、瑠香もついてきた。

「る、瑠香………んっ!」

 瑠香は壁に葛葉子を隠すように覆いかぶさり、肘を壁につき顎を持ち上げてキスをする。
 昨日の事を思い出してビクビクする葛葉子にきりりとした眉が悲しげに下がって見えた。
 キスをし終わると、無言で葛葉子から離れて教室に戻る。
 葛葉子も戻る。

 キスだけされた。
 それでいいのに………
 冷たいキスだった。
 昨夜のようなキスは恥ずかしくて怖い…
 でも、悲しげなキス、ぎごちない。
 心を感じないキスは初めてだ。
 朝は許してしまいそうになるくらい心がこもってた………

……なのに……

 嫌いなのに、嫌いなのに、気になる、胸が苦しい……

 瑠香を気になって仕方がない…
 心を感じない事が不安に思ってきた……
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