あやかしと神様の恋愛成就

花咲マイコ

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あやかしと神様の夏休み(番外編)

16☆あやかしと神様の神楽舞☆後編

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 葛葉子は皆の前でお辞儀をすると瑠香を引っ張って裏に行く。

「る、瑠香の馬鹿っ!大勢な人前で恥ずかしいし!」
 顔を真っ赤にして怒る。

「葛葉子が可愛すぎるのがいけないんだよ。せっかく煩悩捨ててきたのに…」
 だけど、そういう煩悩はない。
 純粋に愛しすぎてキスしたかったし、抱きしめたかった。
「か、可愛すぎて、悪かったな!」
照れながら言う。
「ほんんっっつとに可愛すぎる!どうしてくれようか!」
 ジリジリ変な手つきで葛葉子を捕まえるふりをする。
 葛葉子もジリジリ避けるふりをして、笑い会う。
 そして、結局、瑠香に抱きしめられる。
「葛葉子…いつか、どうしてあやかしになったか教えてくれ…その半年間のことも、辛い事を聞くかもしれないが…」
 言葉を選びながら言う。
 その声はすこし震えていた…

「瑠香のほうが辛そうだよ…」
「オレのせいかもしれないから…」
 瑠香は苦しげに眉が下がってる。
(父様にひどいことを言われたせいかもしれない………)

 それが胸を苦しめているのかと思うと葛葉子は瑠香を抱きしめる。

「瑠香は私を好きでいてくれる。信じていてくれるだけでいいの。
 私も瑠香を信用してる、信頼してるから…父様の言うことは当たらないよ」
 瑠香に、罪はないと伝えたくて…

「それに、私あまり覚えてないんだ…死んだ時のことやその後のこととか…忘れたこともあるみたいなの」

 最近になって、己を取り戻した感じだ。
 瑠香に会った時はあやかしの白狐としての感覚のほうが強かったと思う…

 瑠香のキスで徐々に葛葉子自身に戻ったと思う…

「きっかけがあれば思い出すんだけど…思い出せないのは白狐と融合したせいかもしれないの…」
 いじめられて閉じ込められたこととか白狐に助けられたことは覚えてるのに…
 欠けた記憶があることを最近知った。

「思い出したら教えて。葛葉子の事なら何でも知りたい…」
「その時は話を聞いてね。」
「ああ、いくらでも聞くよ」
 葛葉子は瑠香の頬にそっと触れる。

「ほんとに、瑠香のせいじゃないからね…」
 慰めるように葛葉子は瑠香にキスをする。
「んっ…」
 葛葉子から舌を絡ませる。

「ん…んっ…はっぅ…ん」

 舌を名残惜しく離し、見つめ合う。

「う、うまくなった?」
「もう一回して…」
「んッ…」
 また、葛葉子はキスをする…
 抱きしめる力も互いに強くなる…

「巫女姿でキスしまくってるところなんて、なかなか見れないぞ。」

 毛の長い白狐のウカ様が声を弾ませて言った。

「ウ、ウカ様。お久しぶりです。」
 葛葉子は頬を染めて瑠香の体をぱっと離す。

「フォッフォッフォッ!
 良き舞を見せてもらって満足じゃ。」
 そういって、葛葉子の胸のあたりをじっと見る。

「魂にカラスの呪詛がかけられておるな。」
 何も言ってないのにすぐに見破った。

「どうにかならないのか?」
「真実の愛の力で解けるじゃろ。」
 ウカ様は瑠香の頭をしっぽでフサっと撫でる。

「恋ではなく愛に格上げだな。」
 と瑠香は苦笑した。

「そうそう。早く私を人間にするために熱い思いがこもった人生を見せつけてくださいな。」
 八尾比丘尼は口元に袖を当てて美しく微笑む。

「八尾比丘尼殿とも、知人になったか。」
「ウカ殿久しゅうございます。」
 八尾比丘尼はウカ様に深く礼をする。
「一杯やっていかぬか?奉納の酒が裏にたんとある」
「そうですわね。それでは遠慮無く」
 二人はにっと微笑んだ。
(久々に、酒豪対決で楽しもうか?)

その心を読んだ瑠香は、
「知り合いだったのか?」
ふふっと八尾比丘尼は袖を口元に持って微笑む。

「ながーく、生きていると色んな神やあやかしと交流ができましてよ。人とは付き合えないぶん、そうなるのでしょう…」
 と少し淋しげに笑った。

「わたしも、また遊びに行くからね。」
「次はお子様を連れて来ても構いませんのよ。」
 うふふと微笑む。
 それは祝福の言霊だ。

「そうじゃ!萩姫と荻尾のようにな。」
 小さいぎつねを抱いた萩姫が葛葉子のそばに来る。

「お久しゅうございます。無事愛の結晶が生まれましたのよ」
「わーかわい!」
 子狐はとても目が丸くて大きくて可愛かった。
 人間も動物も赤ちゃんは等しく可愛いし愛惜しい。

「われらはお前らを祝福しておるよ。」
 ウカ様は異界を作って八尾比丘尼や荻姫萩尾たちを連れて宴会らしい。
「どんな宿命も運命も強い縁を持つお前らなら変えられる。」
 ウカ様は祝福の言霊を二人に与える。

「葛葉子と契るために努力するのだよ。瑠香よ。」

「ああ!ありがとう。」
 瑠香は清々しく微笑む。
 そんな瑠香に葛葉子は、ぽー…と見とれるする。

「ん?どうした?」

「素敵だなぁって思って…」
「素敵で悪かったな。」
「私をこれ以上惚れさせないで。」
「ムリ、もっとオレを惚れさせてやる…」
 そういって、またキスをしていちゃつく。
 手は離れられないように恋人繋をする。

 キスと手を握ることが出来るだけでも今は十分満たされた二人だった。

 のちに、町内会新聞で、【巫女同士のディープなキスの写真】が触れ回るのはのちのこと。
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