142 / 181
あやかしと神様の黄泉がえり
4☆神憑きの家系
しおりを挟む
「じゃあ!従姉妹ってことになるの?」
葛葉子は、興奮して嬉しそうに聞く。
香茂と阿倍野は近い血筋だと思っていたけれど、神々しい桔梗の一族、いや、父の一族に興味は少なからずあった…
呪詛に長けた一族だとウカ様は言っていた。
だけど、そのことを思った途端ゾクリと鳥肌が立つ……
触れてはいけない禁忌のように感じる。
「そうよ。神憑きの一族はその二つの家だけではないのよ……」
それはウカ様も言っていた。
大戦の不幸で消えていった一族もいると…
「今や香茂家と阿倍野家が陰陽師の名家だったのと同じに、黒御足という裏から帝をお守りする一族だったのよ。」
イズナ権現という祖は呪詛に長けた修験者だった。
そして、いつしか黒御足という陛下近くをお守り導く神鳥の烏の一族と同化して裏から、お側近くに陛下をお守りしていた。
「そして、九尾の狐を封印したのも我が一族……」
桔梗は口元を三日月に歪めて微笑んでそばにある黒い袋をなでる。
そうすると、中の柔らかいものは動いたように見えた…
葛葉子は更に、ゾクリと体が震える…
それは九尾のココにとって恐怖であり怒りに満ちた思いがある。
帝に恋したココは裏切り者として穢れたあやかしとして追い立てられ八本も尻尾を取られ悲しくて悔しくて恨みに思った。
その時の思いが何故か脳裏に心に鮮明に映る。
そして、どこか不安に感じる…
葛葉子は不安を…ココの不安を閉じ込めるように、その後香茂の陰陽師に愛されて幸せになった…事を思う。
その半身は別れて西の白狐に封じられ今や葛葉子はココの狐と同化している…
自分は、狐の一族の唯一の跡取りでもあり、陛下をお守りする一族と繋がりがあるのかと思う。
晴房が神の化身そのもの、神誓いが出来るのはそれ故でもあるのかと、納得がいく。
「神の化身を宿すにふさわしい一族だから父様も神の化身をしていたのかな…?」
昔は忠義者だったことは知っている。
「そうね、先見の力も持っていて一族の、先祖帰りしたような方だったと父から聞いていましたわ…」
「先見も血筋……」
瑠香は審神者で、瞳を青に煌めかす事ができる。
そして、父の先見の力は瞳を赤に閃かす。
その血筋二つを持った子供が自分の子として出来たら最強だな…と葛葉子は、ふと思う。
「……房菊も私も同じなのに神に選ばれたのは房菊だった…」
桔梗はポツリとつぶやき、悔しそうにぎゅっと拳をつくった。
その様子に葛葉子は気が付かず、姉のことを思い出し、
「房菊姉様は昔から神様の妻になるって宣言してたよ…」
未来を見るはずの父は止めなかった。
姉の未来を見ることは出来なかったのか?
「そういえば葛葉子は…結婚するそうね…」
「うん。今は陰陽寮で働かせてもらっているんだ。」
四神は陰陽の管理だからってその西を預かってるから仕事していることになってる。
恋人になる前までは父の娘という事で監視対象だったけれど、瑠香が葛葉子がいないと仕事にならないという寛大な処置らしい。
「………どなたと、結婚するの?」
「瑠香…香茂瑠香、陰陽寮長の息子なんだけど、神の化身なんです。」
(房菊と同じ神に愛される子なのね……)
その事は桔梗にとって一番腹立たしいことでもあった…
「その人と幸せになれると思ってる?」
唇のはしが少しひきっている。声に怒りが混じってきている。
「今、とても幸せですし。もっと幸せになれると信じてます」
葛葉子はへへっ!っと本当に嬉しそうに笑う。
「なんで……?」
桔梗の声音は葛葉子と真逆に暗かった。
桔梗は、もう本性を隠すことができないほど胸に黒いものが蠢く…
「桔梗姉様?」
「もっと、もっと恨んでもらわなきゃいけないのに…」
葛葉子の両肩に手を置き膝を伸ばして見下ろす。
その手は首を今にも絞めそうだった。
唇を三日月型に引きつらせて理解ができない…というように、首を傾げて葛葉子を見る。
葛葉子は、興奮して嬉しそうに聞く。
香茂と阿倍野は近い血筋だと思っていたけれど、神々しい桔梗の一族、いや、父の一族に興味は少なからずあった…
呪詛に長けた一族だとウカ様は言っていた。
だけど、そのことを思った途端ゾクリと鳥肌が立つ……
触れてはいけない禁忌のように感じる。
「そうよ。神憑きの一族はその二つの家だけではないのよ……」
それはウカ様も言っていた。
大戦の不幸で消えていった一族もいると…
「今や香茂家と阿倍野家が陰陽師の名家だったのと同じに、黒御足という裏から帝をお守りする一族だったのよ。」
イズナ権現という祖は呪詛に長けた修験者だった。
そして、いつしか黒御足という陛下近くをお守り導く神鳥の烏の一族と同化して裏から、お側近くに陛下をお守りしていた。
「そして、九尾の狐を封印したのも我が一族……」
桔梗は口元を三日月に歪めて微笑んでそばにある黒い袋をなでる。
そうすると、中の柔らかいものは動いたように見えた…
葛葉子は更に、ゾクリと体が震える…
それは九尾のココにとって恐怖であり怒りに満ちた思いがある。
帝に恋したココは裏切り者として穢れたあやかしとして追い立てられ八本も尻尾を取られ悲しくて悔しくて恨みに思った。
その時の思いが何故か脳裏に心に鮮明に映る。
そして、どこか不安に感じる…
葛葉子は不安を…ココの不安を閉じ込めるように、その後香茂の陰陽師に愛されて幸せになった…事を思う。
その半身は別れて西の白狐に封じられ今や葛葉子はココの狐と同化している…
自分は、狐の一族の唯一の跡取りでもあり、陛下をお守りする一族と繋がりがあるのかと思う。
晴房が神の化身そのもの、神誓いが出来るのはそれ故でもあるのかと、納得がいく。
「神の化身を宿すにふさわしい一族だから父様も神の化身をしていたのかな…?」
昔は忠義者だったことは知っている。
「そうね、先見の力も持っていて一族の、先祖帰りしたような方だったと父から聞いていましたわ…」
「先見も血筋……」
瑠香は審神者で、瞳を青に煌めかす事ができる。
そして、父の先見の力は瞳を赤に閃かす。
その血筋二つを持った子供が自分の子として出来たら最強だな…と葛葉子は、ふと思う。
「……房菊も私も同じなのに神に選ばれたのは房菊だった…」
桔梗はポツリとつぶやき、悔しそうにぎゅっと拳をつくった。
その様子に葛葉子は気が付かず、姉のことを思い出し、
「房菊姉様は昔から神様の妻になるって宣言してたよ…」
未来を見るはずの父は止めなかった。
姉の未来を見ることは出来なかったのか?
「そういえば葛葉子は…結婚するそうね…」
「うん。今は陰陽寮で働かせてもらっているんだ。」
四神は陰陽の管理だからってその西を預かってるから仕事していることになってる。
恋人になる前までは父の娘という事で監視対象だったけれど、瑠香が葛葉子がいないと仕事にならないという寛大な処置らしい。
「………どなたと、結婚するの?」
「瑠香…香茂瑠香、陰陽寮長の息子なんだけど、神の化身なんです。」
(房菊と同じ神に愛される子なのね……)
その事は桔梗にとって一番腹立たしいことでもあった…
「その人と幸せになれると思ってる?」
唇のはしが少しひきっている。声に怒りが混じってきている。
「今、とても幸せですし。もっと幸せになれると信じてます」
葛葉子はへへっ!っと本当に嬉しそうに笑う。
「なんで……?」
桔梗の声音は葛葉子と真逆に暗かった。
桔梗は、もう本性を隠すことができないほど胸に黒いものが蠢く…
「桔梗姉様?」
「もっと、もっと恨んでもらわなきゃいけないのに…」
葛葉子の両肩に手を置き膝を伸ばして見下ろす。
その手は首を今にも絞めそうだった。
唇を三日月型に引きつらせて理解ができない…というように、首を傾げて葛葉子を見る。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ワイルド・プロポーズ
藤谷 郁
恋愛
北見瑤子。もうすぐ30歳。
総合ショッピングセンター『ウイステリア』財務部経理課主任。
生真面目で細かくて、その上、女の魅力ゼロ。男いらずの独身主義者と噂される枯れ女に、ある日突然見合い話が舞い込んだ。
私は決して独身主義者ではない。ただ、怖いだけ――
見合い写真を開くと、理想どおりの男性が微笑んでいた。
ドキドキしながら、紳士で穏やかで優しそうな彼、嶺倉京史に会いに行くが…
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる