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あやかしと神様の黄泉がえり
5☆レッドスパイ
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「なんで、幸せな笑顔をしているの?」
桔梗の不気味な雰囲気と背に見える黒い影が葛葉子を捉えて金縛りにする。
父と似たような狂気を感じる。
それは九尾の狐を捉えて封じた黒御足の力だと直感した。
「もっと苦しんで…
もっと憎々しげにすべてを恨んでいなきゃいけないのにっ!」
憧れていた姉巫女といえど葛葉子も怒りを禁じえなかった。
もう顔にも醜さが現れている。
こんな人じゃないと思ってたのに!
怒りと絶望が心を占める。
「なんで、恨まなきゃならないんだ!私にその理由はない!」
白狐の神気を放ち黒い陰を消そうとするが、黒い影は葛葉子の周りに漂う。
その神気に桔梗は弾かれたように手を離す。
「ほんっと何にも知らないのね……我が一族がレッドスパイの幹部になったとと言うことも…」
レッドスパイは悪性を働く王というものを排除し市民の国を作る平和組織とされている。
平和団体の別名を名乗ることもあるが、実際は国を血で替えようとする革命集団だ。
「レッドスパイ…の幹部って………
黒御足は祝皇陛下を尊敬し神誓する一族のはずだろ!
レッドスパイなんか敵じゃないか!
しかも、霊的な力を認めない組織だし!」
霊的なものを信じるのはタブーともされているのに、神憑きの家がそんな組織に入っている事がおかしい。
「たしかに、神や霊的なモノは信じない組織だけれど実際に存在するものは認めているわ…
いえ、最初はその組織を知るためにスパイとして入り込んで、素晴らしい思想に目覚めたのよ…
私達の祖父様わね…」
ミイラ取りがミイラになったということか…と葛葉子は思った。
「外にバレなければ霊的なものでも、利用するのよ。
何もかも…合理的な組織で素晴らしいじゃない…」
葛葉子は桔梗を憧れの巫女のから敵と認識を変えた。
今すぐ、職員みんなに知らせて捕らえてもらうのが先だと襖に手をかけるが、
「きゃっ!」
電流がバシリとはしって開けられない。
結界を貼られたようだ。
「私も力を持っているのよ…狐一匹捉えるくらいの力はね………いえ、それ以上のね…」
葛葉子は桔梗を睨むことしかできなかった…
「神に祈るだけの存在が皇なんておかしいと思わない?
むしろ、最強の力、あなたのお父様のような力を持つ者が皇にふさわしいのよ…」
「父様はレッドスパイを嫌っているよ!」
それは確かだった。
レッドスパイほど国の根幹を陛下を亡き者にして国を揺るがそうとしている組織はないと言っていたし、皇に使える者たちも危惧している、東殿下をナイフで刺したものもレッドスパイだ。
だけど、今の父様は皇をすごく恨んでいる…
手を組むこともあるかも知れないと悲しみが胸を占める。
「そうね、残念ながらあなたのお父様はね28年前に我が一族崇高なる革命を潰した裏切り者のなのよ…」
悲しげに桔梗はため息を吐いた。
「それはどういうことなの…?」
「ほんと、なんにも知らないのね……」
何も知らなければ操りかいのあるものだと桔梗はまた美しくほくそ笑んだ。
☆
威津那は苦笑する。
いつでも思い出すことができる。
戦後の混乱期
私達は出会ってしまった。
烏の子孫と狐の子孫。
敵対していた一族なのに
恋に落ちて、陛下を心から慕い元来の神憑きの家になったのに……
それ故に
愛しい者たちは死んでいく……
それは誰のせい?
何が行けない?
疑問と答えが錯綜する……
わざと狂う私にはわからないことなんだよ……
答えは橘が持ち去ったのだから…
桔梗の不気味な雰囲気と背に見える黒い影が葛葉子を捉えて金縛りにする。
父と似たような狂気を感じる。
それは九尾の狐を捉えて封じた黒御足の力だと直感した。
「もっと苦しんで…
もっと憎々しげにすべてを恨んでいなきゃいけないのにっ!」
憧れていた姉巫女といえど葛葉子も怒りを禁じえなかった。
もう顔にも醜さが現れている。
こんな人じゃないと思ってたのに!
怒りと絶望が心を占める。
「なんで、恨まなきゃならないんだ!私にその理由はない!」
白狐の神気を放ち黒い陰を消そうとするが、黒い影は葛葉子の周りに漂う。
その神気に桔梗は弾かれたように手を離す。
「ほんっと何にも知らないのね……我が一族がレッドスパイの幹部になったとと言うことも…」
レッドスパイは悪性を働く王というものを排除し市民の国を作る平和組織とされている。
平和団体の別名を名乗ることもあるが、実際は国を血で替えようとする革命集団だ。
「レッドスパイ…の幹部って………
黒御足は祝皇陛下を尊敬し神誓する一族のはずだろ!
レッドスパイなんか敵じゃないか!
しかも、霊的な力を認めない組織だし!」
霊的なものを信じるのはタブーともされているのに、神憑きの家がそんな組織に入っている事がおかしい。
「たしかに、神や霊的なモノは信じない組織だけれど実際に存在するものは認めているわ…
いえ、最初はその組織を知るためにスパイとして入り込んで、素晴らしい思想に目覚めたのよ…
私達の祖父様わね…」
ミイラ取りがミイラになったということか…と葛葉子は思った。
「外にバレなければ霊的なものでも、利用するのよ。
何もかも…合理的な組織で素晴らしいじゃない…」
葛葉子は桔梗を憧れの巫女のから敵と認識を変えた。
今すぐ、職員みんなに知らせて捕らえてもらうのが先だと襖に手をかけるが、
「きゃっ!」
電流がバシリとはしって開けられない。
結界を貼られたようだ。
「私も力を持っているのよ…狐一匹捉えるくらいの力はね………いえ、それ以上のね…」
葛葉子は桔梗を睨むことしかできなかった…
「神に祈るだけの存在が皇なんておかしいと思わない?
むしろ、最強の力、あなたのお父様のような力を持つ者が皇にふさわしいのよ…」
「父様はレッドスパイを嫌っているよ!」
それは確かだった。
レッドスパイほど国の根幹を陛下を亡き者にして国を揺るがそうとしている組織はないと言っていたし、皇に使える者たちも危惧している、東殿下をナイフで刺したものもレッドスパイだ。
だけど、今の父様は皇をすごく恨んでいる…
手を組むこともあるかも知れないと悲しみが胸を占める。
「そうね、残念ながらあなたのお父様はね28年前に我が一族崇高なる革命を潰した裏切り者のなのよ…」
悲しげに桔梗はため息を吐いた。
「それはどういうことなの…?」
「ほんと、なんにも知らないのね……」
何も知らなければ操りかいのあるものだと桔梗はまた美しくほくそ笑んだ。
☆
威津那は苦笑する。
いつでも思い出すことができる。
戦後の混乱期
私達は出会ってしまった。
烏の子孫と狐の子孫。
敵対していた一族なのに
恋に落ちて、陛下を心から慕い元来の神憑きの家になったのに……
それ故に
愛しい者たちは死んでいく……
それは誰のせい?
何が行けない?
疑問と答えが錯綜する……
わざと狂う私にはわからないことなんだよ……
答えは橘が持ち去ったのだから…
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