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あやかしと神様の黄泉がえり
18☆九尾の狐の心
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九尾の狐の葛葉子は皇居宮殿をめぐる。
葛葉子の妖気にあてられた職員は気を失い妖気に穢される。
そして、瑠香の香の能力で操りむくりと何事もなく起き出して普通に働かせる。
いざとなったら九尾の下僕として働くことだろう。
皇居の陛下の寝室に九尾の狐の葛葉子と瑠香は恐れ多くも足を踏み入れる。
危険を察した太刀を持つ陛下そばを守る舎人は退魔の太刀を振るうが瑠香がお香の煙であっさり眠らせる。
陛下の寝室は常夜灯のようなオレンジの明かりが灯っていた。
「うふふ…いよいよ結ばれるのだ…… 長く待った…」
恋心を忘れたといえ、当時の誑かそうとした記憶はある。
この若い体に色気漂う体に抗える男はそうはいない…あの時もそうだったのに…
皇后への愛を裏切らなかった……
「陛下への愛をいただくためせめて、この処女のからだを捧げて、かわりにそのお命をいただこうではないか……」
葛葉子の体を妖しく撫でてそうつぶやきほくそ笑む。
その腕で顕になっている腹を撫でる。
「そして、うまくこの腹に宿ったなら新たなる国の皇はさぞ力を持つあやかしの皇になろう……」
その言葉を聞いた瑠香はピタリと歩みを止まる。
人形のように無表情で意思は封じてあるはずだが、魂が強く拒否をした。
自分以外の男が葛葉子を触れるのは魂から嫌だった。たとへ、陛下にも……
「うんん?嫉妬か?」
歩みを止めた瑠香の方に向き直り、無表情でキリリとした美しい顔を撫でる。
「お前は可愛い私の人形、ただ一度きりではなく何度もの弄んでやろうぞ…」
顔だけではなく体を撫で回す。
「だから嫉妬などするな……」
ぺろりと滑らかな瑠香の頬を舐めてなだめる。
葛葉子は陛下の寝室を隔てる御簾を触れずに持ち上げて、真白なシーツにくるまり眠る今上帝に柔らかな体を寄せて口づけを願うが陛下は顔がなかった
「式神!?」
突如包帯のように体に巻き付く。
この式神のオーラは見紛う事無く皇そのものだった。
今上帝しか発さないオーラそのものだったのに!
式神だったとは!
「くっ!はなせ!」
包帯上の布は呪力に神の力が宿り九尾の狐の妖気ですら閉じ込めようとする。
寝台の影から陰陽寮長が人差し指と、中指を口元におき、呪文を唱え呪を強める。
「私だってもと、ルカの神の、依り代だ…」
ルカの神は臨時で陰陽寮長を依り代にした。
全ては仕組まれたこと。
わかっていたが神力を持つ人間が更にいたと驚くが、九尾の狐の心の落胆は酷かった。
「帝は逃げたのか!?
民を宝とする帝といえど民を捨て駒のごとく使い逃げるとは卑怯者だったということだ!」
余裕だった九尾の狐は感情的に叫ぶ。
そのとき、葛葉子の魂はハッと目を覚ます。
九尾の狐の陛下を心から尊敬するのは、自らの身を顧みなかった出会った祝皇。
その心意気に惚れたのだと……
父様の心も陛下を尊敬するのはそこだったと言っていたことを思い出した。
「陛下は受けて立つと仰られたが、我らの職をとくと発揮しお褒め頂きたいのでな!」
陰陽寮長はニヤリと瑠香そっくりに不敵に笑うが、真剣な顔をして、更に呪力に神力を込め、
「我が馬鹿息子の嫁の体から出て行け!」
「ふふ、私が出て行けば最後、この体も死する。
我が命を永らえさせているのだからな…お前も知っているのだろう?橘のことを…」
「だとしても…葛葉子をこれ以上穢すことは許されない!」
葛葉子は本当に陛下を慕い神誓いをした心まっすぐな少女だと言うことを陰陽寮長は知っているからこそ体も魂も穢したくないと思う。
「もう、遅い…この体は私のもの…葛葉子のものではない……」
それを証明するように葛葉子の体は大狐の九尾になる。
「なるほどな……体を媒体にして本来の姿に戻るのか…」
人の姿の時は葛葉子でも大狐の姿は本性で葛葉子とは関係ないものになるらしいと理解した。
関係してもしっぽの最後の一本…分身程度だ。
だが、人の姿の時より厄介だった。
術で縛り上げたが、本体の体になってビリビリに破かれ、陰陽寮長めがけて、大きな口を開けて喰らおうとバクリと食べられそうになる。
年のわりに身のこなしが素早かったが、しっぽに殴打される。
咄嗟に陰陽術の、身固めの呪法を唱え体の衝撃を防いだが、捉える術が使えない。
「ふふっ、陰陽師一人が我に適うと思ったか?」
九尾の狐しっぽも九本は狐の頭になって陰陽寮長を食いちぎろうと襲ってくる。
「これはやはりお手を煩わすことになるな……残念だが……」
陰陽寮長は陛下のお部屋から逃げ出し廊下に出る。
九尾の狐は勢い良く追いかけようとするが結界の壁に衝突した。
寝室自体強力な結界になっていた。
寝室の四方に達筆の仏の札が貼られていた。
九尾の狐が出ようともがくほどビリビリと電流が襲う。
「あの阿闍梨の皇族め……厄介な力をやどしおって……!」
九尾の狐は苦々しげに言う。
そして、その気配のある柱を睨む。
その柱の影から東親王は現れる。
「ほんっと!大妖怪だね!」
東親王は大狐の九尾の姿をみて興奮するように頬を高調させて瞳を輝かせていた。
葛葉子の妖気にあてられた職員は気を失い妖気に穢される。
そして、瑠香の香の能力で操りむくりと何事もなく起き出して普通に働かせる。
いざとなったら九尾の下僕として働くことだろう。
皇居の陛下の寝室に九尾の狐の葛葉子と瑠香は恐れ多くも足を踏み入れる。
危険を察した太刀を持つ陛下そばを守る舎人は退魔の太刀を振るうが瑠香がお香の煙であっさり眠らせる。
陛下の寝室は常夜灯のようなオレンジの明かりが灯っていた。
「うふふ…いよいよ結ばれるのだ…… 長く待った…」
恋心を忘れたといえ、当時の誑かそうとした記憶はある。
この若い体に色気漂う体に抗える男はそうはいない…あの時もそうだったのに…
皇后への愛を裏切らなかった……
「陛下への愛をいただくためせめて、この処女のからだを捧げて、かわりにそのお命をいただこうではないか……」
葛葉子の体を妖しく撫でてそうつぶやきほくそ笑む。
その腕で顕になっている腹を撫でる。
「そして、うまくこの腹に宿ったなら新たなる国の皇はさぞ力を持つあやかしの皇になろう……」
その言葉を聞いた瑠香はピタリと歩みを止まる。
人形のように無表情で意思は封じてあるはずだが、魂が強く拒否をした。
自分以外の男が葛葉子を触れるのは魂から嫌だった。たとへ、陛下にも……
「うんん?嫉妬か?」
歩みを止めた瑠香の方に向き直り、無表情でキリリとした美しい顔を撫でる。
「お前は可愛い私の人形、ただ一度きりではなく何度もの弄んでやろうぞ…」
顔だけではなく体を撫で回す。
「だから嫉妬などするな……」
ぺろりと滑らかな瑠香の頬を舐めてなだめる。
葛葉子は陛下の寝室を隔てる御簾を触れずに持ち上げて、真白なシーツにくるまり眠る今上帝に柔らかな体を寄せて口づけを願うが陛下は顔がなかった
「式神!?」
突如包帯のように体に巻き付く。
この式神のオーラは見紛う事無く皇そのものだった。
今上帝しか発さないオーラそのものだったのに!
式神だったとは!
「くっ!はなせ!」
包帯上の布は呪力に神の力が宿り九尾の狐の妖気ですら閉じ込めようとする。
寝台の影から陰陽寮長が人差し指と、中指を口元におき、呪文を唱え呪を強める。
「私だってもと、ルカの神の、依り代だ…」
ルカの神は臨時で陰陽寮長を依り代にした。
全ては仕組まれたこと。
わかっていたが神力を持つ人間が更にいたと驚くが、九尾の狐の心の落胆は酷かった。
「帝は逃げたのか!?
民を宝とする帝といえど民を捨て駒のごとく使い逃げるとは卑怯者だったということだ!」
余裕だった九尾の狐は感情的に叫ぶ。
そのとき、葛葉子の魂はハッと目を覚ます。
九尾の狐の陛下を心から尊敬するのは、自らの身を顧みなかった出会った祝皇。
その心意気に惚れたのだと……
父様の心も陛下を尊敬するのはそこだったと言っていたことを思い出した。
「陛下は受けて立つと仰られたが、我らの職をとくと発揮しお褒め頂きたいのでな!」
陰陽寮長はニヤリと瑠香そっくりに不敵に笑うが、真剣な顔をして、更に呪力に神力を込め、
「我が馬鹿息子の嫁の体から出て行け!」
「ふふ、私が出て行けば最後、この体も死する。
我が命を永らえさせているのだからな…お前も知っているのだろう?橘のことを…」
「だとしても…葛葉子をこれ以上穢すことは許されない!」
葛葉子は本当に陛下を慕い神誓いをした心まっすぐな少女だと言うことを陰陽寮長は知っているからこそ体も魂も穢したくないと思う。
「もう、遅い…この体は私のもの…葛葉子のものではない……」
それを証明するように葛葉子の体は大狐の九尾になる。
「なるほどな……体を媒体にして本来の姿に戻るのか…」
人の姿の時は葛葉子でも大狐の姿は本性で葛葉子とは関係ないものになるらしいと理解した。
関係してもしっぽの最後の一本…分身程度だ。
だが、人の姿の時より厄介だった。
術で縛り上げたが、本体の体になってビリビリに破かれ、陰陽寮長めがけて、大きな口を開けて喰らおうとバクリと食べられそうになる。
年のわりに身のこなしが素早かったが、しっぽに殴打される。
咄嗟に陰陽術の、身固めの呪法を唱え体の衝撃を防いだが、捉える術が使えない。
「ふふっ、陰陽師一人が我に適うと思ったか?」
九尾の狐しっぽも九本は狐の頭になって陰陽寮長を食いちぎろうと襲ってくる。
「これはやはりお手を煩わすことになるな……残念だが……」
陰陽寮長は陛下のお部屋から逃げ出し廊下に出る。
九尾の狐は勢い良く追いかけようとするが結界の壁に衝突した。
寝室自体強力な結界になっていた。
寝室の四方に達筆の仏の札が貼られていた。
九尾の狐が出ようともがくほどビリビリと電流が襲う。
「あの阿闍梨の皇族め……厄介な力をやどしおって……!」
九尾の狐は苦々しげに言う。
そして、その気配のある柱を睨む。
その柱の影から東親王は現れる。
「ほんっと!大妖怪だね!」
東親王は大狐の九尾の姿をみて興奮するように頬を高調させて瞳を輝かせていた。
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