87 / 95
スケバンの恋の行方
3☆討伐準備
しおりを挟む
今回はトンネル内で亡くなった暴走族の幽霊退治だ。
暴走族仲間内で噂になっていた怪談だった。
トンネル内で幽霊の暴走族が丑三刻に現れた勝負を挑むという。
その暴走族に負けると命を取られて幽霊の暴走族の仲間にさせられてしまうという恐ろしい噂。
実際トンネル内外でバイク以外の事故も起きている。
腕のある退魔師も挑もうとするがバイクの腕はよろしくなく退治するものはいないらしい。
税金を使ってやっと完成したトンネルの噂を払拭せねばと陛下の命が降るり榊誠と雪が承ることになった。
雪は《宮中の太刀の者》の榊誠のバイクに駆け寄る。
怪我しないようにライダースーツを着た。
プロテクターもつけてもらって武具のようだと思う。
用意してくれたのは桜花子姉。
桜庭家の長女で桜太郎の姉。
ハキハキして世話すぎで明るい女隊長のような従姉妹義姉である。
雪とは真逆な性格をしていたが気が合った。
十二年前は退魔の太刀に選ばれていたが、三年前にコメリカ人と結婚して今は日和に帰省中だった。
「今日から物忌でよかったのか、悪かったのか……事故ったらごめんね?」
榊誠は先に自分の運のなさを雪に両手を合わせて謝る。
榊誠は二十四歳の優男で、桜庭家の道場の愛弟子でもある。
物忌とは運気が悪い時に家に籠って運気が戻るまで閉じこもっていなくてはならないのだが、宮中に勤めるものたちの物忌の基本は陛下に障る運気を避けるためのものなので、本当に運気が悪いというわけではない日もあるのだが、運が悪い事に今日は榊誠の運勢は悪かった。
「まぁ、女難に要注意って書いてあっただけだから事故にはならないと思うから大丈夫だよね?」
あははと、能天気に笑って頭を掻く。
「私、女子ですよ?」
雪も微笑んでそういう。
「そうだったね。まぁ退魔の太刀の気配が女子という事を打ち消しちゃうから大丈夫。うん。」
榊誠は、うんうんと一人で納得している。
《私が、憑依すれば百戦錬磨の超人的な武士になるからな》
女子ではないという事はそういう意味かと納得した。
「女の子扱いしてほしいのは桜太郎さんだけだし…いいですよ。」
その桜太郎は雪のことを許嫁だとしても妹としか思っていない事はバレバレでそのことを思うとイライラする……
そのストレスを今日も悪霊にぶつけてやろうと思うと口元が歪む。
「雪ちゃん。」
榊のバイクに跨ろうとしたら、叔母の咲羅子が声をかけてきた。
手には切り火石をもって背中に切り火を放つ。
「これでいいわ。誠くんもね」
榊誠にも切火をする。
「ありがとうございます。咲羅子さん」
「これはお狐様の力を持った切り火だから凶の運気をも払ってくれるわ…」
そう言って咲羅子は大切そうに切り火をいつも愛おしそうに見つめる。
「これはかけがえのない親友に作ってもらったものなの……きっと橘も守ってくれるわ」
確かに大した怪我もなく悪霊やあやかしと戦えているのは叔母さんの切り火のおかげだと思える。
「本当は私も悪霊退治に行きたいけど、もう年だからね。雪ちゃん、私の分も頑張ってね」
「はいっ、頑張ります!」
雪は咲羅子も大好きだった。
《いつも思うが、咲羅子も柔らかくなったな…》
神様の太刀はそう笑った。
咲羅子の期待になんでも頑張りたくなってしまう。
それは桜太郎と結婚することの根底にあった希望だった……。
血は従姉妹として繋がっていてももっと強い繋がりと家族になりたかった。
暴走族仲間内で噂になっていた怪談だった。
トンネル内で幽霊の暴走族が丑三刻に現れた勝負を挑むという。
その暴走族に負けると命を取られて幽霊の暴走族の仲間にさせられてしまうという恐ろしい噂。
実際トンネル内外でバイク以外の事故も起きている。
腕のある退魔師も挑もうとするがバイクの腕はよろしくなく退治するものはいないらしい。
税金を使ってやっと完成したトンネルの噂を払拭せねばと陛下の命が降るり榊誠と雪が承ることになった。
雪は《宮中の太刀の者》の榊誠のバイクに駆け寄る。
怪我しないようにライダースーツを着た。
プロテクターもつけてもらって武具のようだと思う。
用意してくれたのは桜花子姉。
桜庭家の長女で桜太郎の姉。
ハキハキして世話すぎで明るい女隊長のような従姉妹義姉である。
雪とは真逆な性格をしていたが気が合った。
十二年前は退魔の太刀に選ばれていたが、三年前にコメリカ人と結婚して今は日和に帰省中だった。
「今日から物忌でよかったのか、悪かったのか……事故ったらごめんね?」
榊誠は先に自分の運のなさを雪に両手を合わせて謝る。
榊誠は二十四歳の優男で、桜庭家の道場の愛弟子でもある。
物忌とは運気が悪い時に家に籠って運気が戻るまで閉じこもっていなくてはならないのだが、宮中に勤めるものたちの物忌の基本は陛下に障る運気を避けるためのものなので、本当に運気が悪いというわけではない日もあるのだが、運が悪い事に今日は榊誠の運勢は悪かった。
「まぁ、女難に要注意って書いてあっただけだから事故にはならないと思うから大丈夫だよね?」
あははと、能天気に笑って頭を掻く。
「私、女子ですよ?」
雪も微笑んでそういう。
「そうだったね。まぁ退魔の太刀の気配が女子という事を打ち消しちゃうから大丈夫。うん。」
榊誠は、うんうんと一人で納得している。
《私が、憑依すれば百戦錬磨の超人的な武士になるからな》
女子ではないという事はそういう意味かと納得した。
「女の子扱いしてほしいのは桜太郎さんだけだし…いいですよ。」
その桜太郎は雪のことを許嫁だとしても妹としか思っていない事はバレバレでそのことを思うとイライラする……
そのストレスを今日も悪霊にぶつけてやろうと思うと口元が歪む。
「雪ちゃん。」
榊のバイクに跨ろうとしたら、叔母の咲羅子が声をかけてきた。
手には切り火石をもって背中に切り火を放つ。
「これでいいわ。誠くんもね」
榊誠にも切火をする。
「ありがとうございます。咲羅子さん」
「これはお狐様の力を持った切り火だから凶の運気をも払ってくれるわ…」
そう言って咲羅子は大切そうに切り火をいつも愛おしそうに見つめる。
「これはかけがえのない親友に作ってもらったものなの……きっと橘も守ってくれるわ」
確かに大した怪我もなく悪霊やあやかしと戦えているのは叔母さんの切り火のおかげだと思える。
「本当は私も悪霊退治に行きたいけど、もう年だからね。雪ちゃん、私の分も頑張ってね」
「はいっ、頑張ります!」
雪は咲羅子も大好きだった。
《いつも思うが、咲羅子も柔らかくなったな…》
神様の太刀はそう笑った。
咲羅子の期待になんでも頑張りたくなってしまう。
それは桜太郎と結婚することの根底にあった希望だった……。
血は従姉妹として繋がっていてももっと強い繋がりと家族になりたかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる