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4☆狐のお姫様と魔法使いの最後のキス
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上機嫌な狐のお姫様は魔法使いにお城であったことを嬉しそうに報告します。
「それは良かったな。オレの努力の甲斐があった」
と、ニヤリと笑って意地悪をいいます。
狐のお姫様はむっ!としますがそれはほんとうは意地悪ではなく優しさを隠す魔法使いの照れ隠しも入っていると最近は気付きました。
「そうですね、魔法使いのおかげです。なので、人になるキスをいただけませんか?」
「ふふ、素直になられたな」
そう言って狐のお姫様とキスをします。
意地悪でやさしい魔法使いに狐のお姫様は王様にお会いするたびにキスを願うようになっていました。
そのキスが王様に会うための勇気と安心と温かい気持ちをくれて魔法のキスを重ねる度に、魔法使いに心を委ねそうになってしまいます。
それは『魔法』のせいだと狐のお姫様は思っていました。
魔法使いとキスをすれば簡単に狐のお姫様の望む人間の姿になることができしました。
けれど、所詮は魔法のキス。
本当の人間になることができません。
時間が経つと狐に戻ってしまうのです。
なので、本物の人間になりたいと強くねがうのです。
そのためには、王様のキスがどうしても欲しいとおもうのです。
狐のお姫様は王様と愛し合うよりも人間になりたいという望みが強くなっていました。
☆
「それにしても、狐の姫はどうして人間になりたいのだ?」
と魔法使いは狐姿の姫に訪ねました。
「人間になったら何でも好きなことができる。人と…王様と恋ができる……愛し合うことだって出来るからです」
肉球を眺めていいました。
「それに、人間の手なら何でもつかめて便利です。」
魔法使いは苦笑し、
「それは、王様とではないのか?」
「もちろん王様と恋をしたい愛し合いたいです…」
と思うもののなぜだか恋をしたい相手の顔が思い浮かぶのは魔法使いでした。
狐のお姫様はついうつむいてしまうのは魔法使いが、じっと狐のお姫様を真剣に見つめます。
「……恋をしたいなら、オレと恋をすればいい…」
魔法使いは、秘めていた思いをつい口に出してしまいました。
言葉にしてしまった口を抑えて真っ赤に顔を染めています。
驚いて狐のお姫様は魔法使いを見つめます。
魔法使いは改めて狐のお姫様をじっと見つめて真剣です。
健気な狐のお姫様を見守ってキスを重ねるうちに狐のお姫様を好きになっていたのです。
「でも、わたしは…王様が、好きなのです…」
揺れる想いが瞳から読み解かれると思って顔を逸らしてそう言いました。
「……もし、王様とのキスをしたなら、魔法のキスは出来なくなる…もう会えなくなってしまうぞ……」
そのことを思ってか魔法使いは辛そうに言いました。
王様の恋人になってしまえば王様以外の男は狐のお姫様に近づく事もできなくなってしまいます。
「そ、それでも、王様がいいのです…!」
頑なに魔法使いの方を見ないでそう告げました。
胸がドキドキ鳴って嬉しいのに、王様を好きにならなくては、王様と両思いの恋をしていなければ、本当の人間になることができません。
王様とお会いするたびに恐れ多くも胸が高鳴り王様と恋人になりたいと思います。
やさしい王様のことを本当に好きで、恋しているはずなのに……魔法使いの顔を見るとドキドキしてこの頃では顔を合わすことがなぜだか恥ずかしいのです。
それは王様に恋をしている心と似ていて、王様を好きだという心に偽りを囁くようです。
その苦しい心を振り切るように、
「人間になるために王様と恋をしなくてはいけないのです!」
そう狐のお姫様は頑固に自分の心を否定する様にいいきりました。
魔法使いはふられて悲しげな顔をマントのフードで隠しました。
「それでは、最後のキスだ…」
魔法使いは狐のお姫様を人間にするために顔に手を添えました。
狐のお姫様の胸はドキドキからズキズキと疼きました。
これが最後のキスという言葉も胸を締め付けます。
最後の優しく冷たいキスが姫を人間に変身させました。
煙が立ち上がると狐の姿から人の姿に変身しました。
狐の姫の頬を触れる魔法使いの指に涙が伝いました。
なぜこんなに胸が辛いのかわからないのです。
その痛みが涙となって溢れてきました。
そんな愛おしい狐のお姫様の涙をいつものように拭いてあげようとした魔法使いの手を狐のお姫様は振り払い、暗い森の中に逃げていってしまったのです。
「それは良かったな。オレの努力の甲斐があった」
と、ニヤリと笑って意地悪をいいます。
狐のお姫様はむっ!としますがそれはほんとうは意地悪ではなく優しさを隠す魔法使いの照れ隠しも入っていると最近は気付きました。
「そうですね、魔法使いのおかげです。なので、人になるキスをいただけませんか?」
「ふふ、素直になられたな」
そう言って狐のお姫様とキスをします。
意地悪でやさしい魔法使いに狐のお姫様は王様にお会いするたびにキスを願うようになっていました。
そのキスが王様に会うための勇気と安心と温かい気持ちをくれて魔法のキスを重ねる度に、魔法使いに心を委ねそうになってしまいます。
それは『魔法』のせいだと狐のお姫様は思っていました。
魔法使いとキスをすれば簡単に狐のお姫様の望む人間の姿になることができしました。
けれど、所詮は魔法のキス。
本当の人間になることができません。
時間が経つと狐に戻ってしまうのです。
なので、本物の人間になりたいと強くねがうのです。
そのためには、王様のキスがどうしても欲しいとおもうのです。
狐のお姫様は王様と愛し合うよりも人間になりたいという望みが強くなっていました。
☆
「それにしても、狐の姫はどうして人間になりたいのだ?」
と魔法使いは狐姿の姫に訪ねました。
「人間になったら何でも好きなことができる。人と…王様と恋ができる……愛し合うことだって出来るからです」
肉球を眺めていいました。
「それに、人間の手なら何でもつかめて便利です。」
魔法使いは苦笑し、
「それは、王様とではないのか?」
「もちろん王様と恋をしたい愛し合いたいです…」
と思うもののなぜだか恋をしたい相手の顔が思い浮かぶのは魔法使いでした。
狐のお姫様はついうつむいてしまうのは魔法使いが、じっと狐のお姫様を真剣に見つめます。
「……恋をしたいなら、オレと恋をすればいい…」
魔法使いは、秘めていた思いをつい口に出してしまいました。
言葉にしてしまった口を抑えて真っ赤に顔を染めています。
驚いて狐のお姫様は魔法使いを見つめます。
魔法使いは改めて狐のお姫様をじっと見つめて真剣です。
健気な狐のお姫様を見守ってキスを重ねるうちに狐のお姫様を好きになっていたのです。
「でも、わたしは…王様が、好きなのです…」
揺れる想いが瞳から読み解かれると思って顔を逸らしてそう言いました。
「……もし、王様とのキスをしたなら、魔法のキスは出来なくなる…もう会えなくなってしまうぞ……」
そのことを思ってか魔法使いは辛そうに言いました。
王様の恋人になってしまえば王様以外の男は狐のお姫様に近づく事もできなくなってしまいます。
「そ、それでも、王様がいいのです…!」
頑なに魔法使いの方を見ないでそう告げました。
胸がドキドキ鳴って嬉しいのに、王様を好きにならなくては、王様と両思いの恋をしていなければ、本当の人間になることができません。
王様とお会いするたびに恐れ多くも胸が高鳴り王様と恋人になりたいと思います。
やさしい王様のことを本当に好きで、恋しているはずなのに……魔法使いの顔を見るとドキドキしてこの頃では顔を合わすことがなぜだか恥ずかしいのです。
それは王様に恋をしている心と似ていて、王様を好きだという心に偽りを囁くようです。
その苦しい心を振り切るように、
「人間になるために王様と恋をしなくてはいけないのです!」
そう狐のお姫様は頑固に自分の心を否定する様にいいきりました。
魔法使いはふられて悲しげな顔をマントのフードで隠しました。
「それでは、最後のキスだ…」
魔法使いは狐のお姫様を人間にするために顔に手を添えました。
狐のお姫様の胸はドキドキからズキズキと疼きました。
これが最後のキスという言葉も胸を締め付けます。
最後の優しく冷たいキスが姫を人間に変身させました。
煙が立ち上がると狐の姿から人の姿に変身しました。
狐の姫の頬を触れる魔法使いの指に涙が伝いました。
なぜこんなに胸が辛いのかわからないのです。
その痛みが涙となって溢れてきました。
そんな愛おしい狐のお姫様の涙をいつものように拭いてあげようとした魔法使いの手を狐のお姫様は振り払い、暗い森の中に逃げていってしまったのです。
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