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プロローグ

プロローグ

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 俺は自由で楽でふざけた人生を送りたい平凡な大学生八神圭。自分でいうのもあれだが、ふざけた人生を送るには平凡すぎる男だ。来世に期待しよう。
 
 最近俺は焦りを感じている。大学生活は楽しい、非常に楽しい、さすが人生の夏休みと言われるだけのことはある。しかーし、この楽しい夏休みももうそろそろ折り返しを迎えてしまう。さらに、来年には就活が始まってしまうため実質残り1年くらいしかない。この幸せな生活が終わってしまう。実家はある程度太く、一人暮らしをさせてもらい仕送りまで送ってもらっている。バイトも週2だけしか入らず、貯金も少し溜まってきている。まあ、彼女はいないんだけどね。
 
 はあ、、、
 
 どうすればいいのだろうか
と、まあこんなくだらないことを考えているが、あまり真剣に考えてないし真剣に考えても意味のないことなので、散歩でもして忘れよう。
 
 最近もう一つ悩みがある。なまの異性にあまり魅力を感じないということだ。なまの異性って少しエロいな。かわいいなとかはもちろん思うのだが、如何せん性的魅力を感じないのだ。好きな人は何人かいたことがあるのだが、年齢=彼女なしだし、この子と初夜を迎えたいなどと思ったことがない。もちろん、ちょうど二十歳のお年頃だし、性欲は有り余っており自慰行為は大好きなのだが、画面の中の人にしか興奮しない。やばいやる機会があったら、勃たないとか普通にありそうで怖い。
 
 そんなくだらないことばかり、全然くだらなくはないのだが、実際ありえないことばかりを考えて散歩している。やっぱ深夜の散歩っていいね、特に冬の散歩は最高だ。空気が透き通っているし、星もよく見える。俺はかなりの田舎からの上京だったから、愛おしい夜空が見えないかもしれないと思ったが、こうして東京でも時間帯を選べば星だって見える。実に素晴らしい。
 
 寒さもちょうどいい、10度くらいの気温が一番気持ちいい。こういう時に飲む温かいコーヒーが最高なんだよな。

 「コーヒーでも買うか」
  
 ポケットから財布を取り出し、100円玉と10円玉が数枚あることを確認し近くの自動販売機に向かう。

 「おっ、あったかいコーヒーあるな」
 
 100円玉2枚と10円玉2枚を落とさないように、自販機に入れてあたたかいコーヒーっと。もちろん、ジョーズィアのコーヒーに決まっている。

 ーーガコンッ

 あたたかいコーヒーを少しの間、ポケットに入れて末端冷え性の手をじっくり解かした後、飲むのが至福である。

 コーヒーを飲めてリフレッシュできたし帰ろうかな。帰りは音楽を聴きながらでも帰ろうかな。行きと違う道を通って我が家に向かう。そういえば上京してきて感じたことなのだが、マンションって一軒家より断然暖かいよな。夏はあまり温度の違いは感じないが冬になると暖房もいらないくらいの気温になる。暖房をあまりかけたくない俺にとってマンションは快適である。そんなこんなで家に到着。

 「たでーま。」

 誰もいない家に向かって一応帰ってきたあいさつをして、リビングに向かう。筋トレが趣味な俺は男の一人暮らしではあまり見かけない等身大鏡がある。リビングのドアを開いた瞬間自分が映し出されるから、初めて来る人にびっくりされるんだよな。
 
 そんなことを思いながらリビングのドアを開ける。いつも通りポージングを決めようと、等身大鏡を覗き込むと。
 
 えっ、、
 恐怖のあまり声が出ない。
 
 後ろにフードを被った高身長の人影が映し出される。廊下の暗さで、顔までは見えない。
思考が止まる。こんなシチュエーション何千何万回とシュミレーションしてきたのに、、
 
 グサッーーー
 後ろを振り返ろうとした俺の心臓を一突き。
 人生の絶頂期の真っただ中、八神圭の人生は静かに幕を閉じた
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