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第三章「騎士と姫と魔法使い」
第32話「果て無き旅路へ」
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長い暗闇を抜け、生い茂ったツタを切り開くと、光が差し込み、外へと出る。
山間にひっそりと隠れる様にできた祠の様な小さな建造物。王都の地下水路から続いていた遺跡は、その建物へと続いていた。
複雑に入り組んでいた地下遺跡。何の頼りもなく彷徨い歩き、ようやく外へと出る事ができた。
外に出て、見晴の良さそうな場所から辺りを眺める。丁度目の前に高い城壁に囲われた城塞都市――マイクリクス王国王都が姿を見せる。その大きく威圧感の有る城塞都市の全容を目にし、ようやくこの場が王都の外であると理解する。
遠くに見える大きく巨大な城塞都市を目にし、アーネストは息を付く。
長い間地下を彷徨っていたためだろう、すでに日は暮れ始めており、茜色の西日が王都を赤く彩っていた。
「名残惜しいですか?」
しばらくそうして、茜色に染まる王都の姿を眺めていると、背後からフィーヤの声がかかった。振り返ると、フィーヤが少し沈んだ様な表情でアーネストの姿を見ていた。
「本当に、よろしかったのですか? 私と共にいて……」
不安の色を見せながらフィーヤは尋ねて来る。
「今更ですね」
「しかし……後戻りは、出来ないのですよ。もう、二度と、家族や友人たちと顔を合わせる事は、出来ないかもしれないのですよ? それでも、良いのですか?」
「かも……しれませんね。けれど、そうではないかもしれません」
国王殺しの大罪人。その罪を着せられたフィーヤ。そんな彼女共にいる事は、それはそのまま王国の反逆者と取られる事となる。そうなれば、もう家族や友人達を関わる事は許されない。そんなことをしてしまえば、彼らを危険に巻き込んでしまうかもしれない。
「私には、大切なものが居ました。大切で、私はずっとそうであると言い続けてきました。けれど、私はそのものの言葉に耳を貸さず、そのものと真に向き合う事をせず生きてきました。
それどころか、彼女の想いを裏切る様な事さえしました。大切だと言いながら、私はそんなひどい事をしたのです。
今となっては、彼女がなのを望み、何を求めていたかは分かりません。けれど、私は、彼女の生きた時間を、無為なものにしようとしてしまった。
私はそれが許せなかった。だから、今度は、その思いから目を逸らしたくないんです。
ですから、私は、引くわけにはいきません」
胸に手を当て、軽く服の上から卵の欠片が括り付けられネックレスを握る。
「そうですか……強いのですね」
アーネストの言葉を聞き、フィーヤは少し安心したようなそんな表情を浮かべ、笑う。
「どうですかね? そうありたいとは、思っていますけど」
アーネストも、それに小さく笑みを浮かべ、答えを返す。そして、再び王都へと目を向ける。
『名残惜しさ』それが、あるのだろうか? 茜色に染まった王都を目にし、そこから離れる事を考えると、どうしてか後ろ髪引かれる思いが生まれる。
王都にそれほど思い入れはない。生まれた故郷でもなければ、最も長い時間を過ごした場所でもない。この地に戻ってきたのは、つい数か月前の事でしかない。けれど、ここで過ごした時間は酷く長い時間の様に感じられた。
ここで出会った者達。その者達が今後どうなっていくか、どれが少しだけ心残りに思えた。
アーネストは一度目を閉じ首を振る。
無責任かもしれない。けれど、すべてを選び取ることは出来ない。だから、一番大切だと思うものを選択した。
そう言い聞かせ、目を開き、そして王都から視線を外す。目の前には、荒い道なき道が広がっていた。
この先は、どうなっていて、何処へ続いているかは分からない。それでも、進んだ先に求めるものがあると信じて、アーネストは歩みを始めた。
山間にひっそりと隠れる様にできた祠の様な小さな建造物。王都の地下水路から続いていた遺跡は、その建物へと続いていた。
複雑に入り組んでいた地下遺跡。何の頼りもなく彷徨い歩き、ようやく外へと出る事ができた。
外に出て、見晴の良さそうな場所から辺りを眺める。丁度目の前に高い城壁に囲われた城塞都市――マイクリクス王国王都が姿を見せる。その大きく威圧感の有る城塞都市の全容を目にし、ようやくこの場が王都の外であると理解する。
遠くに見える大きく巨大な城塞都市を目にし、アーネストは息を付く。
長い間地下を彷徨っていたためだろう、すでに日は暮れ始めており、茜色の西日が王都を赤く彩っていた。
「名残惜しいですか?」
しばらくそうして、茜色に染まる王都の姿を眺めていると、背後からフィーヤの声がかかった。振り返ると、フィーヤが少し沈んだ様な表情でアーネストの姿を見ていた。
「本当に、よろしかったのですか? 私と共にいて……」
不安の色を見せながらフィーヤは尋ねて来る。
「今更ですね」
「しかし……後戻りは、出来ないのですよ。もう、二度と、家族や友人たちと顔を合わせる事は、出来ないかもしれないのですよ? それでも、良いのですか?」
「かも……しれませんね。けれど、そうではないかもしれません」
国王殺しの大罪人。その罪を着せられたフィーヤ。そんな彼女共にいる事は、それはそのまま王国の反逆者と取られる事となる。そうなれば、もう家族や友人達を関わる事は許されない。そんなことをしてしまえば、彼らを危険に巻き込んでしまうかもしれない。
「私には、大切なものが居ました。大切で、私はずっとそうであると言い続けてきました。けれど、私はそのものの言葉に耳を貸さず、そのものと真に向き合う事をせず生きてきました。
それどころか、彼女の想いを裏切る様な事さえしました。大切だと言いながら、私はそんなひどい事をしたのです。
今となっては、彼女がなのを望み、何を求めていたかは分かりません。けれど、私は、彼女の生きた時間を、無為なものにしようとしてしまった。
私はそれが許せなかった。だから、今度は、その思いから目を逸らしたくないんです。
ですから、私は、引くわけにはいきません」
胸に手を当て、軽く服の上から卵の欠片が括り付けられネックレスを握る。
「そうですか……強いのですね」
アーネストの言葉を聞き、フィーヤは少し安心したようなそんな表情を浮かべ、笑う。
「どうですかね? そうありたいとは、思っていますけど」
アーネストも、それに小さく笑みを浮かべ、答えを返す。そして、再び王都へと目を向ける。
『名残惜しさ』それが、あるのだろうか? 茜色に染まった王都を目にし、そこから離れる事を考えると、どうしてか後ろ髪引かれる思いが生まれる。
王都にそれほど思い入れはない。生まれた故郷でもなければ、最も長い時間を過ごした場所でもない。この地に戻ってきたのは、つい数か月前の事でしかない。けれど、ここで過ごした時間は酷く長い時間の様に感じられた。
ここで出会った者達。その者達が今後どうなっていくか、どれが少しだけ心残りに思えた。
アーネストは一度目を閉じ首を振る。
無責任かもしれない。けれど、すべてを選び取ることは出来ない。だから、一番大切だと思うものを選択した。
そう言い聞かせ、目を開き、そして王都から視線を外す。目の前には、荒い道なき道が広がっていた。
この先は、どうなっていて、何処へ続いているかは分からない。それでも、進んだ先に求めるものがあると信じて、アーネストは歩みを始めた。
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