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バックドアからの依頼人
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日が沈む頃になると、戦士ギルドの冒険等の受付も終了となる。今日も受付カウンターの業務を終えたカフェオは、まず冒険者がギルドの建物内に残っていないかを確認だ。誰もいないと分かれば、内側から正面入口の施錠をする事になっていた。直ぐに帰宅したいのだが、事務的な仕事が残っている。
カウンター業務をしてくれる者を募集しようか。そんな考えが頭によぎるカフェオ。やれやれと思いながらもギルド長室の机に座り、事務処理を始めた。
ギルド長室には、外に出入り出来る扉が存在している。この裏口を何時もは、使用される事は無かった。通常の冒険等のミッションで対応出来ない依頼がある場合に、開かれる。そのような依頼をバックドアミッションと呼んでいた。
事務の仕事も終わろうとする頃に、そのドアをノックする音がした。カフェオの顔が曇る。別に、帰りたいのに誰だよ今頃。そう思ったからではない。そもそもこのドアから依頼する用件は、人目をはばかりたいので、ギルドが閉まってからになるのが必然なのだから……。カフェオは、バックドアからの相談依頼が、そろそろ有るのではないか? そう予想していた。それが当たった事が残念でならなかったのだ。そんな依頼をする気持ちになる者は誰かと気にする。
「ゲータか……」
ドアを開けたカフェオの前には、窶れた姿の靴屋のゲータが立っていた。ゲータは、カフェオと会って張り詰めていた気が緩んだのか、突然に泣き出した。
「ううっ。カフェオ、ごめんよ。ネアリスの為に頑張ってくれたのに。ぐすっ。全部が駄目になっちまったよ。み、店も滅茶苦茶にされて……もう俺達家族は、これからどうやって暮らせればいいのか……」
カフェオは、入口で泣きながら語るゲータを宥めながら来客用の椅子に座らせる。その後は、迅速に温かい珈琲を出す準備をする。勿論、己の分もだ。それが、ミッション依頼を受ける時の彼の流儀なのだ!
出された珈琲を口にすると、心が少し落ち着いた気がしたゲータは、事の次第をカフェオに話し出した。
*****
ゲータの家族に起こっている事を全て把握できたカフェオ。後は依頼の確認をするだけとなった。
「なるほどな……。それでは、娘のラビリアとニヒルン酒場の連中との縁を切らせる事がミッション依頼でいいのだな? と言っても、一筋縄ではいかぬ用件だが」
ゲータは、頷いた。しかしゲータも奴らが、すんなりと手を引く連中ではないことは分かる。何よりもラビリアが男に夢中なのだから……。
カフェオは、ゲータが大変なのも考慮して、ミッションに必要な手付金や相談料も含めての全ての料金を、成功した暁とした。
ギルドに来た時に比べて、依頼を話し終えたゲータは、落ち着きを取り戻していた。顔もすっきりした表情をしている様に見えたカフェオは、安心してゲータを見送ることが出来たのだ。
*****
翌日の早朝の事である。戦士ギルドの前から、手紙を脚に付けられた二羽の伝書鳩が飛ばされた。
「頼んだよ、鳩君達……」
カフェオは、青い大空を飛んで行く鳩を遠い目で見ているのだった。
カウンター業務をしてくれる者を募集しようか。そんな考えが頭によぎるカフェオ。やれやれと思いながらもギルド長室の机に座り、事務処理を始めた。
ギルド長室には、外に出入り出来る扉が存在している。この裏口を何時もは、使用される事は無かった。通常の冒険等のミッションで対応出来ない依頼がある場合に、開かれる。そのような依頼をバックドアミッションと呼んでいた。
事務の仕事も終わろうとする頃に、そのドアをノックする音がした。カフェオの顔が曇る。別に、帰りたいのに誰だよ今頃。そう思ったからではない。そもそもこのドアから依頼する用件は、人目をはばかりたいので、ギルドが閉まってからになるのが必然なのだから……。カフェオは、バックドアからの相談依頼が、そろそろ有るのではないか? そう予想していた。それが当たった事が残念でならなかったのだ。そんな依頼をする気持ちになる者は誰かと気にする。
「ゲータか……」
ドアを開けたカフェオの前には、窶れた姿の靴屋のゲータが立っていた。ゲータは、カフェオと会って張り詰めていた気が緩んだのか、突然に泣き出した。
「ううっ。カフェオ、ごめんよ。ネアリスの為に頑張ってくれたのに。ぐすっ。全部が駄目になっちまったよ。み、店も滅茶苦茶にされて……もう俺達家族は、これからどうやって暮らせればいいのか……」
カフェオは、入口で泣きながら語るゲータを宥めながら来客用の椅子に座らせる。その後は、迅速に温かい珈琲を出す準備をする。勿論、己の分もだ。それが、ミッション依頼を受ける時の彼の流儀なのだ!
出された珈琲を口にすると、心が少し落ち着いた気がしたゲータは、事の次第をカフェオに話し出した。
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ゲータの家族に起こっている事を全て把握できたカフェオ。後は依頼の確認をするだけとなった。
「なるほどな……。それでは、娘のラビリアとニヒルン酒場の連中との縁を切らせる事がミッション依頼でいいのだな? と言っても、一筋縄ではいかぬ用件だが」
ゲータは、頷いた。しかしゲータも奴らが、すんなりと手を引く連中ではないことは分かる。何よりもラビリアが男に夢中なのだから……。
カフェオは、ゲータが大変なのも考慮して、ミッションに必要な手付金や相談料も含めての全ての料金を、成功した暁とした。
ギルドに来た時に比べて、依頼を話し終えたゲータは、落ち着きを取り戻していた。顔もすっきりした表情をしている様に見えたカフェオは、安心してゲータを見送ることが出来たのだ。
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翌日の早朝の事である。戦士ギルドの前から、手紙を脚に付けられた二羽の伝書鳩が飛ばされた。
「頼んだよ、鳩君達……」
カフェオは、青い大空を飛んで行く鳩を遠い目で見ているのだった。
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