私との婚約は政略ですから、恋人とどうぞ仲良くしてください

稲垣桜

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ルカSIDE 9.

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 リズのデビュタントが近い。
 エスコートしたいところだが、またあの女が横槍を入れてくる。

 だが、俺は何年も考えていたこの時を逃したくない。


 リンデン伯爵家の衣装室はコゼルス侯爵家でも利用している店だ。そのこともあって、リズに送るドレスもサイズを聞かなくても把握できる。そもそも婚約したときに、ドレスを仕立てる必要がある場合を見越して、行事の都度事に直近のサイズを知らせてくれていたのだ。
 今回のデビュタントも白いドレスということは決まっているが、アクセサリーの指定はない。
 だから俺はの濃紺のサファイアを使ったアクセサリーのセットを白いドレスと一緒に送る手配をした。


 今のままでは、エスコートができないかもしれない。あの女の策略に容易く引っ掛かっているわけではないが、リズに実害がないことが一番大切なのだから。

 だから、当日はエスコートができないかもしれないが、会場ではダンスを申し込むことを手紙に書いてドレスとアクセサリーと一緒に送ったのだ。


 白いドレスはリズの可愛らしさを最大限に引き出せるようにシンプルに仕上げてもらって、胸元にはデビュタントで大人の仲間入りを示すようにフリルやリボンではなく、ヒダを作って大人らしさを感じさせるようにした。
 デザイナーからのおすすめという生地を見せてもらい、アクセサリーはドレスとは違い、彼女に似合いそうな可愛らしくこじんまりとしたでざいんにした。
 リズには派手で大ぶりなものは似合わない。もとが可愛いのだから、アクセサリーは小ぶりでも彼女を引き立てるのだ。だから、色だけはしっかりと指定した。

 濃紺。

 今の俺が伝えられる、最大の気持ちだ。

 エミルに届けるようにと頼み、俺はどこかで安心していた。

 リズに関しては、エミルに任せっきりになっていることは否めないが、こればかりは自分が表立って動くことができないのだから仕方がない。
 エミルには別途手当を出す必要があるかもしれないな。





 そして当日。
 案の定、あの女は俺の邪魔をしてきた。
 自分のエスコートをしないのなら、会場でエリザベスさんにしれないわねなどと俺に言ってきた。

 最近、学園でもリリアンナの友人がリズに嫌がらせをしていると耳にしたことがある。
 学園ではリズのことを気にかけてほしいと声はかけておいたが、それは不本意なものだ。俺が直接リズを守りたいのだから。
 だが、今の俺の立場からすると、どう動いてもいい方向にはいかない。


 リズには急いで手紙をしたためたが、こんな直前となっては本人に届くかなどわからない。エミルに直接渡すように頼んだが、彼ならきちんと渡してくれるだろう。



 だが、この会場で見たのは俺を失望させるものだった。
 俺が準備して送ったドレスもアクセサリーも身に着けていないリズを見て、俺は頭が真っ白になった。

 なぜ…?

 どうして…?

 その思いだけが俺の中に渦巻いていた。



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