2 / 24
2. 夜会へ
しおりを挟む
私が婚約をした16歳の時、ブランゼス様は21歳だった。
20歳を超えた令息が婚約者すらいないということは珍しく、どちらかというと結婚している年齢と言ってもおかしくないのだが、ブランゼス様は周囲からの圧力に屈するわけでもなく、公爵家という立場もあってか悠長に構えているようなそんな雰囲気を感じさせる人だった。
また愛想が悪いと思うほどの無表情で、会話もあまりしない人で、私も少し困惑することもないこともなかった。
そして社交界では次期公爵ということとその麗しい容姿も相まって令嬢たちからの人気は高く、婚約が決まった直後の夜会では令嬢方からの視線が痛かったほどだ。
もし会場でダンスでもしようものなら、令嬢たちもそうだがその親世代からも冷たい目で見られた。自分の娘の嫁入り先の優良候補が無くなったのだからまあそれは仕方ない。
ブランゼス様は騎士団に所属しており、その腕はかなりのものだ。
そういえば、親友のビアンカと騎士団が行う大会を観戦した時も何度か見かけた(気がする)が、確かいつも上位に名を連ねていた記憶がある。もしかするとビアンカの従兄が出るからと挨拶に行った時に同じ控室にいたかもしれない。
そのブランゼス様は騎士団の寮で生活し、家に帰ってくるのは用事のある時か連休が取れた時くらいだ。
それが婚約したからと変わる訳でもなく、私と会う日は月に数えるほどだった。
しかもその日も急遽中止になったりすることが多く、婚約して一年が過ぎるころになっても会った回数は10回にも満たなかったほどだ。
だが、断りの連絡があるときには花が届けられたり、誕生日にはきちんと贈り物も届けられた。
ただ、色々な宴に関しては騎士団として会場の警備に着く必要があり、私は家族と参加するか欠席することがほとんどだった。
ブランゼス様も特段気にしていなかったようで、私も社交があまり好きではなかったこともあって、欠席しても問題にはならなかった。
どうしても参加が必要な宴にだけ二人で参加するくらいだった。
婚約者らしい会話もほとんどなく、宴の会場でもある程度の時間がたてば別々に行動することも多々。その冷たい態度は私限定という訳ではないが、繰り返されると私の心も冷えていく。
気持ちが冷えるというのではなく、どこかで寂しく感じているというものだがそれを口にすることはなかった。
そして結婚式をあと半年にせまったある日、会場である話を耳にした。
「ねえマイラ?ブランゼス様はなんて言ってるの?」
「…仕方ないって。親の命令で婚約したって」
「なにそれ?ブランゼス様はマイラと結婚するって言ってたんでしょ?」
「…うん。彼…とても辛そうなの」
(マイラ?ああ、確かエーレ子爵家の令嬢ね)
私はチラリと声のする方を見て、そのマイラという女性を見たが、柔らかな明るいブラウンの髪がよく似合う小柄で可愛らしい女性だ。
確かエーレ子爵は国内でも大きいシラキード商会の会頭だったはず。マイラ様はそこの令嬢なのか。
(二人は結婚する約束をしていたのかしらね。ブランゼス様はこういう女性が好きなのかしら)
私はどこからどう見ても彼女のように可愛い系ではない。赤い髪は気の強さを表すようで、令息には人気がない色だ。彼女のような容姿であれば、ほとんどの令息は私のような女よりも彼女を選ぶだろう。それほど私は可愛らしくはない。
気付かれないようにその場を離れた私は、外に出て風に当たった。
20歳を超えた令息が婚約者すらいないということは珍しく、どちらかというと結婚している年齢と言ってもおかしくないのだが、ブランゼス様は周囲からの圧力に屈するわけでもなく、公爵家という立場もあってか悠長に構えているようなそんな雰囲気を感じさせる人だった。
また愛想が悪いと思うほどの無表情で、会話もあまりしない人で、私も少し困惑することもないこともなかった。
そして社交界では次期公爵ということとその麗しい容姿も相まって令嬢たちからの人気は高く、婚約が決まった直後の夜会では令嬢方からの視線が痛かったほどだ。
もし会場でダンスでもしようものなら、令嬢たちもそうだがその親世代からも冷たい目で見られた。自分の娘の嫁入り先の優良候補が無くなったのだからまあそれは仕方ない。
ブランゼス様は騎士団に所属しており、その腕はかなりのものだ。
そういえば、親友のビアンカと騎士団が行う大会を観戦した時も何度か見かけた(気がする)が、確かいつも上位に名を連ねていた記憶がある。もしかするとビアンカの従兄が出るからと挨拶に行った時に同じ控室にいたかもしれない。
そのブランゼス様は騎士団の寮で生活し、家に帰ってくるのは用事のある時か連休が取れた時くらいだ。
それが婚約したからと変わる訳でもなく、私と会う日は月に数えるほどだった。
しかもその日も急遽中止になったりすることが多く、婚約して一年が過ぎるころになっても会った回数は10回にも満たなかったほどだ。
だが、断りの連絡があるときには花が届けられたり、誕生日にはきちんと贈り物も届けられた。
ただ、色々な宴に関しては騎士団として会場の警備に着く必要があり、私は家族と参加するか欠席することがほとんどだった。
ブランゼス様も特段気にしていなかったようで、私も社交があまり好きではなかったこともあって、欠席しても問題にはならなかった。
どうしても参加が必要な宴にだけ二人で参加するくらいだった。
婚約者らしい会話もほとんどなく、宴の会場でもある程度の時間がたてば別々に行動することも多々。その冷たい態度は私限定という訳ではないが、繰り返されると私の心も冷えていく。
気持ちが冷えるというのではなく、どこかで寂しく感じているというものだがそれを口にすることはなかった。
そして結婚式をあと半年にせまったある日、会場である話を耳にした。
「ねえマイラ?ブランゼス様はなんて言ってるの?」
「…仕方ないって。親の命令で婚約したって」
「なにそれ?ブランゼス様はマイラと結婚するって言ってたんでしょ?」
「…うん。彼…とても辛そうなの」
(マイラ?ああ、確かエーレ子爵家の令嬢ね)
私はチラリと声のする方を見て、そのマイラという女性を見たが、柔らかな明るいブラウンの髪がよく似合う小柄で可愛らしい女性だ。
確かエーレ子爵は国内でも大きいシラキード商会の会頭だったはず。マイラ様はそこの令嬢なのか。
(二人は結婚する約束をしていたのかしらね。ブランゼス様はこういう女性が好きなのかしら)
私はどこからどう見ても彼女のように可愛い系ではない。赤い髪は気の強さを表すようで、令息には人気がない色だ。彼女のような容姿であれば、ほとんどの令息は私のような女よりも彼女を選ぶだろう。それほど私は可愛らしくはない。
気付かれないようにその場を離れた私は、外に出て風に当たった。
130
あなたにおすすめの小説
さよなら 大好きな人
小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。
政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。
彼にふさわしい女性になるために努力するほど。
しかし、アーリアのそんな気持ちは、
ある日、第2王子によって踏み躙られることになる……
※本編は悲恋です。
※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。
※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。
【完結】この地獄のような楽園に祝福を
おもち。
恋愛
いらないわたしは、決して物語に出てくるようなお姫様にはなれない。
だって知っているから。わたしは生まれるべき存在ではなかったのだと……
「必ず迎えに来るよ」
そんなわたしに、唯一親切にしてくれた彼が紡いだ……たった一つの幸せな嘘。
でもその幸せな夢さえあれば、どんな辛い事にも耐えられると思ってた。
ねぇ、フィル……わたし貴方に会いたい。
フィル、貴方と共に生きたいの。
※子どもに手を上げる大人が出てきます。読まれる際はご注意下さい、無理な方はブラウザバックでお願いします。
※この作品は作者独自の設定が出てきますので何卒ご了承ください。
※本編+おまけ数話。
犠牲になるのは、妹である私
木山楽斗
恋愛
男爵家の令嬢であるソフィーナは、父親から冷遇されていた。彼女は溺愛されている双子の姉の陰とみなされており、個人として認められていなかったのだ。
ソフィーナはある時、姉に代わって悪名高きボルガン公爵の元に嫁ぐことになった。
好色家として有名な彼は、離婚を繰り返しており隠し子もいる。そんな彼の元に嫁げば幸せなどないとわかっていつつも、彼女は家のために犠牲になると決めたのだった。
婚約者となってボルガン公爵家の屋敷に赴いたソフィーナだったが、彼女はそこでとある騒ぎに巻き込まれることになった。
ボルガン公爵の子供達は、彼の横暴な振る舞いに耐えかねて、公爵家の改革に取り掛かっていたのである。
結果として、ボルガン公爵はその力を失った。ソフィーナは彼に弄ばれることなく、彼の子供達と良好な関係を築くことに成功したのである。
さらにソフィーナの実家でも、同じように改革が起こっていた。彼女を冷遇する父親が、その力を失っていたのである。
お飾りな妻は何を思う
湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。
彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。
次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。
そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。
たのしい わたしの おそうしき
syarin
恋愛
ふわふわのシフォンと綺羅綺羅のビジュー。
彩りあざやかな花をたくさん。
髪は人生で一番のふわふわにして、綺羅綺羅の小さな髪飾りを沢山付けるの。
きっと、仄昏い水底で、月光浴びて天の川の様に見えるのだわ。
辛い日々が報われたと思った私は、挙式の直後に幸せの絶頂から地獄へと叩き落とされる。
けれど、こんな幸せを知ってしまってから元の辛い日々には戻れない。
だから、私は幸せの内に死ぬことを選んだ。
沢山の花と光る硝子珠を周囲に散らし、自由を満喫して幸せなお葬式を自ら執り行いながら……。
ーーーーーーーーーーーー
物語が始まらなかった物語。
ざまぁもハッピーエンドも無いです。
唐突に書きたくなって(*ノ▽ノ*)
こーゆー話が山程あって、その内の幾つかに奇跡が起きて転生令嬢とか、主人公が逞しく乗り越えたり、とかするんだなぁ……と思うような話です(  ̄ー ̄)
19日13時に最終話です。
ホトラン48位((((;゜Д゜)))ありがとうございます*。・+(人*´∀`)+・。*
双子の姉に聴覚を奪われました。
浅見
恋愛
『あなたが馬鹿なお人よしで本当によかった!』
双子の王女エリシアは、姉ディアナに騙されて聴覚を失い、塔に幽閉されてしまう。
さらに皇太子との婚約も破棄され、あらたな婚約者には姉が選ばれた――はずなのに。
三年後、エリシアを迎えに現れたのは、他ならぬ皇太子その人だった。
勇者になった幼馴染は聖女様を選んだ〈完結〉
ヘルベ
恋愛
同じ村の、ほのかに想いを寄せていた幼馴染のジグが、勇者に選ばれてしまった。
親同士も仲良く、族ぐるみで付き合いがあったから、このままいけば将来のお婿さんになってくれそうな雰囲気だったのに…。
全てがいきなり無くなってしまった。
危険な旅への心配と誰かにジグを取られてしまいそうな不安で慌てて旅に同行しようとするも、どんどんとすれ違ってしまいもどかしく思う日々。
そして結局勇者は聖女を選んで、あたしは――。
この恋を忘れたとしても
喜楽直人
恋愛
卒業式の前日。寮の部屋を片付けていた私は、作り付けの机の引き出しの奥に見覚えのない小箱を見つける。
ベルベットのその小箱の中には綺麗な紅玉石のペンダントが入っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる