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5. 次期公爵夫人となり
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そしてあっという間に月日は流れた。
二年の婚約期間を終えブランゼス様と結婚をした私は今では次期公爵夫人として彼を支えている。
結婚式を終え公爵家へと足を踏み入れた私は、与えられた部屋の豪華さに驚いたことを今でも思い出す。
華美すぎるのではなく、私の好きなブランドの家具やカーテンが嫌味のないほどに使われていて、お義母様が選んでくれたのだろうとその心づかいが嬉しかったのだ。もちろん、クローゼットにも新しいドレスが誂えられていて、衣裳部屋が別にいるほどだった。
そんな驚きから始まった結婚生活だからか、私も気合が入った。きちんと公爵夫人として認めてもらえるように頑張らなければと。
とはいえ、彼は騎士団での仕事がある為、毎日王宮の敷地内に隣接する騎士団の詰め所へ出仕している。
結婚を機に寮を引き払ったのだが、屋敷までの距離もあり朝は早く夜は遅く帰ることになった。
式が終わった後にはしっかりと蜜月と呼ばれる休暇も取っていたようで、初夜も心配することなく終わり、普通に新婚と呼ばれるほどの交わりはあった。
その程度はどれほどが普通なのかはわからないが…だ。
そしていつも通り口数も少ないブランゼス様と過ごすその日々はなんとも緊張を強いるものだった。
そして蜜月も終わり、普通の生活が始まるようになってからは毎日が忙しいの一言だった。
次期公爵夫人としての仕事を覚えて熟していく。
ブランゼス様も結婚をしたことで騎士団での立場が変わったらしく、彼もまた忙しいらしい。
そんな毎日を過ごしながら、顔を合わせる時の会話は一言二言と増えていき、結婚をして一年が過ぎるころには会話が成り立つようにはなってきたのではと思うようになった。
もちろん、それに甘えることなく自分を磨くことに手を抜くこともなかった。
メイド達の協力もあって、美しさを保つ努力も惜しまなかった。
やはり、社交界でも人気の高い旦那様の隣に立ち続けるためにも、少しでも相応の姿をとどめておきたいからだ。
だが、外見だけではダメで内面も自分なりに努力をした。
まだ打ち解けて笑顔を浮かべながら話をしたり出掛けたりすることはできないが、お母様の言う通り一緒に過ごす長い月日が、いつかブランゼス様との関係も良くなっていくのではないかとそう感じさせたのだ。
そしてこの頃、ミカエルとビアンカがようやく婚約した。
ビアンカ様がミカエルのカスティロ伯爵家に入り次期伯爵夫人になるのだが、ミカエルのあのデレデレした顔を見ると、手に持つ扇で引っ叩きなるくらいイラついた。だが、さすがに祝いの席でそんなことはできない。
二人の結婚式に参列した時、教会で並んで立つ二人の姿を見てやっとだと思い、涙が出そうになった。
ビアンカの幸せそうな顔を見て、自分の結婚式の時はどんな顔をしていたのだろうかと考えてしまったほどだ。
そして私の意識は二人にのみ向かっていたので、今、隣に座る旦那様がどう思っていたのかは全く気にならなかったし、そしてどんな顔をしていたかも全く知らない。
そして結婚式を終えて屋敷に帰る馬車の中で、この日初めてと言っていいほど旦那様の声を聞いた(気がする)。
「君は…ミカエル殿と仲が良かっただろう?」
「…(今更ですか?)そうですね。幼馴染ですから」
「幼馴染…ね」
「ええ。彼が私に会うのはビアンカのことを聞く事が目的でしたけど」
「…そうなのか?」
この人は今の今まで何を見ていたのだろうか?
誰が見てもミカエルの視線はビアンカだけを見ていたというのに、まったくもって理解できない。
「そういう旦那様は…いえ、いいですわ」
私はマイラ様のことを口にしようとして、その口を噤んだ。今日は二人のことで気分がいいのだから、自分から悪い方へ持っていく必要はない。
二年の婚約期間を終えブランゼス様と結婚をした私は今では次期公爵夫人として彼を支えている。
結婚式を終え公爵家へと足を踏み入れた私は、与えられた部屋の豪華さに驚いたことを今でも思い出す。
華美すぎるのではなく、私の好きなブランドの家具やカーテンが嫌味のないほどに使われていて、お義母様が選んでくれたのだろうとその心づかいが嬉しかったのだ。もちろん、クローゼットにも新しいドレスが誂えられていて、衣裳部屋が別にいるほどだった。
そんな驚きから始まった結婚生活だからか、私も気合が入った。きちんと公爵夫人として認めてもらえるように頑張らなければと。
とはいえ、彼は騎士団での仕事がある為、毎日王宮の敷地内に隣接する騎士団の詰め所へ出仕している。
結婚を機に寮を引き払ったのだが、屋敷までの距離もあり朝は早く夜は遅く帰ることになった。
式が終わった後にはしっかりと蜜月と呼ばれる休暇も取っていたようで、初夜も心配することなく終わり、普通に新婚と呼ばれるほどの交わりはあった。
その程度はどれほどが普通なのかはわからないが…だ。
そしていつも通り口数も少ないブランゼス様と過ごすその日々はなんとも緊張を強いるものだった。
そして蜜月も終わり、普通の生活が始まるようになってからは毎日が忙しいの一言だった。
次期公爵夫人としての仕事を覚えて熟していく。
ブランゼス様も結婚をしたことで騎士団での立場が変わったらしく、彼もまた忙しいらしい。
そんな毎日を過ごしながら、顔を合わせる時の会話は一言二言と増えていき、結婚をして一年が過ぎるころには会話が成り立つようにはなってきたのではと思うようになった。
もちろん、それに甘えることなく自分を磨くことに手を抜くこともなかった。
メイド達の協力もあって、美しさを保つ努力も惜しまなかった。
やはり、社交界でも人気の高い旦那様の隣に立ち続けるためにも、少しでも相応の姿をとどめておきたいからだ。
だが、外見だけではダメで内面も自分なりに努力をした。
まだ打ち解けて笑顔を浮かべながら話をしたり出掛けたりすることはできないが、お母様の言う通り一緒に過ごす長い月日が、いつかブランゼス様との関係も良くなっていくのではないかとそう感じさせたのだ。
そしてこの頃、ミカエルとビアンカがようやく婚約した。
ビアンカ様がミカエルのカスティロ伯爵家に入り次期伯爵夫人になるのだが、ミカエルのあのデレデレした顔を見ると、手に持つ扇で引っ叩きなるくらいイラついた。だが、さすがに祝いの席でそんなことはできない。
二人の結婚式に参列した時、教会で並んで立つ二人の姿を見てやっとだと思い、涙が出そうになった。
ビアンカの幸せそうな顔を見て、自分の結婚式の時はどんな顔をしていたのだろうかと考えてしまったほどだ。
そして私の意識は二人にのみ向かっていたので、今、隣に座る旦那様がどう思っていたのかは全く気にならなかったし、そしてどんな顔をしていたかも全く知らない。
そして結婚式を終えて屋敷に帰る馬車の中で、この日初めてと言っていいほど旦那様の声を聞いた(気がする)。
「君は…ミカエル殿と仲が良かっただろう?」
「…(今更ですか?)そうですね。幼馴染ですから」
「幼馴染…ね」
「ええ。彼が私に会うのはビアンカのことを聞く事が目的でしたけど」
「…そうなのか?」
この人は今の今まで何を見ていたのだろうか?
誰が見てもミカエルの視線はビアンカだけを見ていたというのに、まったくもって理解できない。
「そういう旦那様は…いえ、いいですわ」
私はマイラ様のことを口にしようとして、その口を噤んだ。今日は二人のことで気分がいいのだから、自分から悪い方へ持っていく必要はない。
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