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4. 貴族というもの
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ブランゼス様への伝言を頼み屋敷に帰った私は、何も考えられないままただ窓の外を見ていた。
先に帰ると伝言したのだからブランゼス様は気にもしていないだろう。マイラ嬢と一緒なのだから私が帰ったことも最後まで気が付かなかったのかもしれない。
白んでいく空を見て、私はようやく眠りについた。
翌朝になり、ブランゼス様が昨晩我が家に寄り、体調を気に掛けるカードと花束を置いて行ったとカイリが教えてくれた。
正直言ってそれを受け取りたくないという気持ちと、気にしてくれたのだという嬉しさとが心の中でせめぎ合う。
また部屋で何をするでもなく過ごしていると、母がお茶をしようと訪ねてきた。
「フェリ?あなた大丈夫?」
「お母様…」
昨日一人で先に帰ってきたことと、お母様の耳にも入っているあの噂のことをお母様なりに心配しているのだろう。
お母様はお父様とは相愛なのだから、私のような思いはしていないと思う。でも、お母様の浮かべる表情は、なんだかすべてわかっている大人の顔だ。
大人だから当たり前か。
私はその顔を見て、全てを吐き出した。言いたいことも何もかもを。
すると母は、小さな笑顔を浮かべて、私を諭すようにゆっくりと話し始めた。
「私のお義姉様…今の王妃様には恋人がいたのよ。幼いころから将来は結婚すると両親も認めていたのに、その当時の王太子の婚約者がやらかしたの」
「やらかした…?」
「そう、それでその時に新しい婚約者にと白羽の矢が立ったのがお義姉様だったの」
お母様の話では、その打診を断ることができなかった伯母様は、恋人と別れ王太子と婚約そして結婚をしたそうだ。そして長い年月を一緒に過ごしていくうちに今では仲睦まじい国王夫妻として有名になったのだと話してくれた。
貴族という特権階級にいるのだから、わがままなど許されるわけがないと伯母様も理解して、その恋人とは今では純粋な友人として接することができているらしい。
夫である国王陛下も納得されているほど、今では信頼関係を築けているのは聞いていても羨ましいと思う。
「始まりは政略でも何でも、長い年月の中で歩み寄ることもできるわ。心を通わせることができるものなのよ。フェリもブランゼス様のことで悩んでいても辛くなるのならきっちり線を引いて、そこから始めなさい。それでもだめなら私に言いなさいね」
お母様はいつでも味方なのだとそっと手を握って微笑んで。とんでもなく力強い味方ね。
(新しいスタートか…)
そして私は今までの淡い恋心はすべて過去のものとして心の奥底に追いやろうと決めた。
この国での不貞は罪が重い。
いくら夫婦関係が破綻していようと、そういう関係は社会的にも抹殺に近い扱いを受けるのだ。
とくにシタ方は最悪だ。下手をすると高額な罰金に加えて公衆の面前での鞭打ちの刑も課されることもあるのだから。
流石に高位貴族ともなると鞭打ちはないだろうが、相手が子爵家であれば片方だけが刑を執行される可能性もある。
愛している相手ならそれは避けたいだろうし、本当に彼女を愛しているのならば私との婚約を回避し彼女を選ぶ気概を見せるだろう。
だが、結婚を間近に控えてその様子は全くない。
今はいい。まだ婚約者なのだから。
でも結婚したらその時はブランゼス様にもきちんとけじめをつけてもらって、一緒に歩んでいければとそう思う。
私はブランゼス様から届いた贈り物を前にして、この先どう事が動くのだろうかと考え込んでいた。
先に帰ると伝言したのだからブランゼス様は気にもしていないだろう。マイラ嬢と一緒なのだから私が帰ったことも最後まで気が付かなかったのかもしれない。
白んでいく空を見て、私はようやく眠りについた。
翌朝になり、ブランゼス様が昨晩我が家に寄り、体調を気に掛けるカードと花束を置いて行ったとカイリが教えてくれた。
正直言ってそれを受け取りたくないという気持ちと、気にしてくれたのだという嬉しさとが心の中でせめぎ合う。
また部屋で何をするでもなく過ごしていると、母がお茶をしようと訪ねてきた。
「フェリ?あなた大丈夫?」
「お母様…」
昨日一人で先に帰ってきたことと、お母様の耳にも入っているあの噂のことをお母様なりに心配しているのだろう。
お母様はお父様とは相愛なのだから、私のような思いはしていないと思う。でも、お母様の浮かべる表情は、なんだかすべてわかっている大人の顔だ。
大人だから当たり前か。
私はその顔を見て、全てを吐き出した。言いたいことも何もかもを。
すると母は、小さな笑顔を浮かべて、私を諭すようにゆっくりと話し始めた。
「私のお義姉様…今の王妃様には恋人がいたのよ。幼いころから将来は結婚すると両親も認めていたのに、その当時の王太子の婚約者がやらかしたの」
「やらかした…?」
「そう、それでその時に新しい婚約者にと白羽の矢が立ったのがお義姉様だったの」
お母様の話では、その打診を断ることができなかった伯母様は、恋人と別れ王太子と婚約そして結婚をしたそうだ。そして長い年月を一緒に過ごしていくうちに今では仲睦まじい国王夫妻として有名になったのだと話してくれた。
貴族という特権階級にいるのだから、わがままなど許されるわけがないと伯母様も理解して、その恋人とは今では純粋な友人として接することができているらしい。
夫である国王陛下も納得されているほど、今では信頼関係を築けているのは聞いていても羨ましいと思う。
「始まりは政略でも何でも、長い年月の中で歩み寄ることもできるわ。心を通わせることができるものなのよ。フェリもブランゼス様のことで悩んでいても辛くなるのならきっちり線を引いて、そこから始めなさい。それでもだめなら私に言いなさいね」
お母様はいつでも味方なのだとそっと手を握って微笑んで。とんでもなく力強い味方ね。
(新しいスタートか…)
そして私は今までの淡い恋心はすべて過去のものとして心の奥底に追いやろうと決めた。
この国での不貞は罪が重い。
いくら夫婦関係が破綻していようと、そういう関係は社会的にも抹殺に近い扱いを受けるのだ。
とくにシタ方は最悪だ。下手をすると高額な罰金に加えて公衆の面前での鞭打ちの刑も課されることもあるのだから。
流石に高位貴族ともなると鞭打ちはないだろうが、相手が子爵家であれば片方だけが刑を執行される可能性もある。
愛している相手ならそれは避けたいだろうし、本当に彼女を愛しているのならば私との婚約を回避し彼女を選ぶ気概を見せるだろう。
だが、結婚を間近に控えてその様子は全くない。
今はいい。まだ婚約者なのだから。
でも結婚したらその時はブランゼス様にもきちんとけじめをつけてもらって、一緒に歩んでいければとそう思う。
私はブランゼス様から届いた贈り物を前にして、この先どう事が動くのだろうかと考え込んでいた。
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