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遠征軍と未踏の特殊区画と人の悪意
104 ゲス勇者パーティはせせら笑う
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俺たちは迷宮15層、特殊区画の入り口だった場所に戻ってきた。
【常雨の湿地】への入り口である水たまりは、すでに跡形もなく消滅している。
遠征軍が集積していた物資と、それを守る兵士も姿を消しているな。
【蒐集ノ神】を発動し、周囲の生物と宝の気配を探る。
…やはりいるな。
大部屋を封鎖するように、通路で息をひそめている気配が複数。
その中からひと際レベルが高く、良い装備を持つ者が4名ほどこちらへ向かってくる。
いずれも人族だ。全員レベル25を超えている。こいつらが勇者パーティか。
細目と大男とインテリメガネと熟女だな。
装備の上からでもわかりやすい特徴をしたやつらだ。
名前を覚える必要もなく終わるだろうし、これで充分だろう。
「やぁ、こんにちは。君たちがレインベルの遠征軍で間違いないかい?」
中央の細目が口を開いた。煌びやかな全身鎧を装備している。
どうやらこいつがリーダーらしい。
一見すると柔和な微笑みを浮かべているように見えるが、その瞳と口の端から、どこかこちらを値踏みしているような、ネバつくような印象を受ける。不快だ。
「ええ、私たちが遠征軍ですわ。ですが、迷宮で接触してくるのならば、まず自分から名乗るのがマナーではありませんこと?」
コレットが答える。
俺はすぐさまこいつらを叩き潰しても問題ないと思うのだが、万が一、勇者が貴族に都合よく利用されている可能性を考えてコレットが交渉することに決めていた。
「はは、そうだね。僕としたことが。僕の名はホスロー。勇者だと言えば通じるかな?」
ホスローがどこか得意げに宣言する。
細目のホスローだな、覚えられる気がしない。もう細目でいいか。
細目は俺たちが勇者と聞いてもまったく反応しないことに、少し気を悪くしたように目を細めた。もはや目をつぶっているレベルである。
「これは勇者様、ご高名はかねがね伺っておりますわ。それで我々遠征軍に何か御用でしょうか」
コレットはあくまでも勇者に対して丁寧に対応するようだ。
「軍、軍だって?強がるんじゃねぇよ。もうたった4人しか残ってないじゃねぇか。お前らが最初は50を超える集団だったことは知っているんだぜ。大損害を出した無能が、いっちょまえにしゃべるんじゃねぇよ」
コレットの余裕ある態度が気に食わないのか、細目の隣にいる大男が不快そうに口を開く。
「こら、本当のこととはいえ失礼ですよ。僕たちはゼベル・シビルフィズ卿に依頼されて、【常雨の湿地】のボスを討伐しに来たのですよ。シビルフィズ卿は慈悲深いお方でね。無能なレインベルの領主に滅ぼされつつあるレインベルを救おうと立ち上がられたのですよ」
「あら、それはそれは。レインベルへ散々嫌がらせをしたくせに、今度は救世主気取りですの。ですが残念ながら無駄足になってしまったようですわね。【常雨の湿地】なら私たちが開放しました。シビルフィズ卿にはどうぞよろしくお伝えくださいまし」
「呆れるね。まだ自分が貴族でいられると思っているのかい?ボスを討伐するために知恵ある魔物に媚を売り、それでなお、たかだか15層ボスの討伐に50もの精兵を失うなんて。僕だったら恥ずかしくて自害するけどね。知恵ある魔物と言っても、実際は雑魚だったということか。これなら白竜を倒したというのもペテンだろうね」
「…なぜ私たちが損害を出したと決めつけているのですか?他の遠征軍はすでにレインベル領へ帰還しただけですわ」
「ははは、君たちが帰還の結晶石を特殊区画に持ち込まなかったことは調査済みさ。荷を軽くするために、ここに物資を集めて見張りの兵を置いていたのだろう?その兵はシビルフィズ卿が雇った傭兵さ。君たちの行動は筒抜けだったんだよ」
「良いのですか?そのようなことをしゃべって。シビルフィズ卿が遠征軍を妨害したということを認めるのですね。勇者様もそれに加担しておられる様子。それが明るみに出れば、いくらあなた方でも、失脚は免れませんわ」
「ふん。証拠もないのに、誰が信じるというんだい?無能な領主の言い訳より、勇者と大貴族の言葉の方が説得力があるのさ。君は本当に馬鹿なんだね。死んだ兵士たちが報われないよ。それに、まだ状況が理解できていないらしい」
「状況?どういうことですの」
「わからねぇのか?お前たちは生きて迷宮から出られないって言ってるんだよ」
大男が背負った大剣を威嚇するように見せびらかす。良い剣だ。後でもらおう。
「まったく理解に苦しみますね。ホスロー様、もう筋書きを教えてやれば良いのでは?」
インテリメガネが馬鹿にしたようにこちらを見下している。不快だ。
「そうだね、こんな筋書きがあるんだ。レインベル遠征軍は奮闘するも全滅。シビルフィズ卿から依頼された僕たち勇者が代わりにボスを討伐。勇者の名声はますます高まり、レインベル領は僕たちのものとなる。なかなか涙ぐましい話だね」
勇者パーティにためらう様子はない。
どうやら脅しや殺しを日常的に行っているらしいな。
【常雨の湿地】への入り口である水たまりは、すでに跡形もなく消滅している。
遠征軍が集積していた物資と、それを守る兵士も姿を消しているな。
【蒐集ノ神】を発動し、周囲の生物と宝の気配を探る。
…やはりいるな。
大部屋を封鎖するように、通路で息をひそめている気配が複数。
その中からひと際レベルが高く、良い装備を持つ者が4名ほどこちらへ向かってくる。
いずれも人族だ。全員レベル25を超えている。こいつらが勇者パーティか。
細目と大男とインテリメガネと熟女だな。
装備の上からでもわかりやすい特徴をしたやつらだ。
名前を覚える必要もなく終わるだろうし、これで充分だろう。
「やぁ、こんにちは。君たちがレインベルの遠征軍で間違いないかい?」
中央の細目が口を開いた。煌びやかな全身鎧を装備している。
どうやらこいつがリーダーらしい。
一見すると柔和な微笑みを浮かべているように見えるが、その瞳と口の端から、どこかこちらを値踏みしているような、ネバつくような印象を受ける。不快だ。
「ええ、私たちが遠征軍ですわ。ですが、迷宮で接触してくるのならば、まず自分から名乗るのがマナーではありませんこと?」
コレットが答える。
俺はすぐさまこいつらを叩き潰しても問題ないと思うのだが、万が一、勇者が貴族に都合よく利用されている可能性を考えてコレットが交渉することに決めていた。
「はは、そうだね。僕としたことが。僕の名はホスロー。勇者だと言えば通じるかな?」
ホスローがどこか得意げに宣言する。
細目のホスローだな、覚えられる気がしない。もう細目でいいか。
細目は俺たちが勇者と聞いてもまったく反応しないことに、少し気を悪くしたように目を細めた。もはや目をつぶっているレベルである。
「これは勇者様、ご高名はかねがね伺っておりますわ。それで我々遠征軍に何か御用でしょうか」
コレットはあくまでも勇者に対して丁寧に対応するようだ。
「軍、軍だって?強がるんじゃねぇよ。もうたった4人しか残ってないじゃねぇか。お前らが最初は50を超える集団だったことは知っているんだぜ。大損害を出した無能が、いっちょまえにしゃべるんじゃねぇよ」
コレットの余裕ある態度が気に食わないのか、細目の隣にいる大男が不快そうに口を開く。
「こら、本当のこととはいえ失礼ですよ。僕たちはゼベル・シビルフィズ卿に依頼されて、【常雨の湿地】のボスを討伐しに来たのですよ。シビルフィズ卿は慈悲深いお方でね。無能なレインベルの領主に滅ぼされつつあるレインベルを救おうと立ち上がられたのですよ」
「あら、それはそれは。レインベルへ散々嫌がらせをしたくせに、今度は救世主気取りですの。ですが残念ながら無駄足になってしまったようですわね。【常雨の湿地】なら私たちが開放しました。シビルフィズ卿にはどうぞよろしくお伝えくださいまし」
「呆れるね。まだ自分が貴族でいられると思っているのかい?ボスを討伐するために知恵ある魔物に媚を売り、それでなお、たかだか15層ボスの討伐に50もの精兵を失うなんて。僕だったら恥ずかしくて自害するけどね。知恵ある魔物と言っても、実際は雑魚だったということか。これなら白竜を倒したというのもペテンだろうね」
「…なぜ私たちが損害を出したと決めつけているのですか?他の遠征軍はすでにレインベル領へ帰還しただけですわ」
「ははは、君たちが帰還の結晶石を特殊区画に持ち込まなかったことは調査済みさ。荷を軽くするために、ここに物資を集めて見張りの兵を置いていたのだろう?その兵はシビルフィズ卿が雇った傭兵さ。君たちの行動は筒抜けだったんだよ」
「良いのですか?そのようなことをしゃべって。シビルフィズ卿が遠征軍を妨害したということを認めるのですね。勇者様もそれに加担しておられる様子。それが明るみに出れば、いくらあなた方でも、失脚は免れませんわ」
「ふん。証拠もないのに、誰が信じるというんだい?無能な領主の言い訳より、勇者と大貴族の言葉の方が説得力があるのさ。君は本当に馬鹿なんだね。死んだ兵士たちが報われないよ。それに、まだ状況が理解できていないらしい」
「状況?どういうことですの」
「わからねぇのか?お前たちは生きて迷宮から出られないって言ってるんだよ」
大男が背負った大剣を威嚇するように見せびらかす。良い剣だ。後でもらおう。
「まったく理解に苦しみますね。ホスロー様、もう筋書きを教えてやれば良いのでは?」
インテリメガネが馬鹿にしたようにこちらを見下している。不快だ。
「そうだね、こんな筋書きがあるんだ。レインベル遠征軍は奮闘するも全滅。シビルフィズ卿から依頼された僕たち勇者が代わりにボスを討伐。勇者の名声はますます高まり、レインベル領は僕たちのものとなる。なかなか涙ぐましい話だね」
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どうやら脅しや殺しを日常的に行っているらしいな。
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