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遠征軍と未踏の特殊区画と人の悪意
110 真剣勝負は備えの後に
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「コレットは上手くやったようだな」
「はい、まるで本当に怒りに我を忘れているように見えました。あれならゼベルも警戒をしないでしょう」
シビルフィズの領城を無限工房に収納した俺は、シオンとコウエンとともにコレットのやりとりを見守っていた。
シオンもコレットの演技に感心しているようだ。スキル【超感覚】を持つシオンは、相手の嘘を見抜く力に秀でている。
そんなシオンにそこまで言わせるとは、コレットは役者の才能があるのかもしれない。
すでにゼベルの悪行についての証拠は揃っている。
シビルフィズ領を力で叩き潰したところで後のレインベルと冒険者ギルドの立場に問題はない。
だが、決闘という形を取ることで、さらに確実を期すことができる。
無法者が無法者をねじ伏せたのではなく、正義が悪を断罪したという構図が欲しい。
ただ力で奪えば良かった迷宮とは違い、人間には人間のルールがあるのだ。
俺の目的をスムーズに達成するためには、人間が納得する形で事を収めたほうが都合がよい。
若き女領主が苦しめられた領民を救うため、大貴族を決闘で打ち破った。
そうなれば、後のレインベル領の発展はさらに加速するだろう。
余裕のない世界だ。人々は力と徳を備えた者の元へ集まりたがる。
敵を倒して終わりではない。その後の領の発展も俺の目的にとって重要なのだ。
それにコレットにとってゼベルは親の仇であり、自分や領民を苦しめた憎き相手である。
彼女は復讐を望んでいる。
コレットは俺の所有物だ。俺の所有物は万全の状態でなければならない。
復讐を遂げることでコレットの心が安らぎ、心の闇が少しでも晴れるのなら、それは良いことだ。
この数日でコレットのことをより知ることができた。
コレットなら、復讐を遂げることで燃え尽き無気力になり、その価値を落とすことはない。
コレットはどこまでも気高く、責任感が強い。
自分の恨みを晴らすよりも、ゼベルによって死んでいった者たちの無念を晴らすために復讐を望んでいることはわかっている。
コレットとゼベル、互いの提示した条件は“全て”。
勝った側が負けた側にすべてを差し出す。古の決闘の決まりに則ったものだ。
決闘は貴族が真の意味で貴族であった時の名残であり、現在の肥え太った貴族たちが決闘を行うことはないらしい。あっても代理人を出すということだ。
だが今回は違う。本当の意味での決闘だ。
コレットがゼベルを倒せば、当面の問題に決着がつくことになる。
「…閣下、あのゼベルという男、かなりやるようです。トシゾウ殿を装備していないコレット殿が勝てるのでしょうか」
コウエンが若干不安そうにしている。
たしかにゼベルは現在の人族の中ではかなり上位の力を持っている。
先ほどまでのコレットなら勝負にならなかっただろう。だが…。
「問題ない」
「はっ」
ここからはコレットの戦いだ。
ゼベルは、コレットがコレット自身の力で排除すべき障害だ。
この戦いを乗り越えることで、コレットの価値はまた一つ高くなるだろう。
「シビルフィズ領主、ゼベル・シビルフィズの名において、たとえ死しても、この決闘の結果に従うことを宣誓する」
「レインベル領主、コレット・レインベルの名において、たとえ死しても、この決闘の結果に従うことを宣誓しますわ」
ゼベルとコレットが武器を抜き、柄を両手で握り体の前で垂直に立てる。
魔法契約をした以上、本当は宣誓も見届け人も必要ないが、二人はあえて形式通りに進めるつもりらしい。
まるで合わせ鏡のようだ。
双方とも堂に入った所作。貴族としての作法の一つなのかもしれないな。
決闘はその場で行われることになった。
ゼベルは追い詰められており、一発逆転をかけた決闘を引き延ばす理由がない。
コレットも、下手な対策を打たれる前にここで決着を付けたいと考えているのだろう。
「…始まるようです。コレット、がんばって」
シオンが両手を強く握りしめている。
コレットを応援しつつも、コレットが負けて死んでしまうことを恐れているようだ。
「シオン、心配するな。コレットなら問題ない」
「…はい!ご主人様はコレットを信用しているのですね。ご主人様が問題ないと言われるのなら、問題ないに違いありません」
「うむ、そうだな」
シオンが少しだけ体の力を抜いた。まじめなシオンはかわいいな。
まるで演劇を見てハラハラしている子供のようだ。純粋かわいい。
俺からすれば、これは出来レースだ。
圧倒的に優位な状況で、わざわざ対等な戦いなどする理由がない。
シオンやコレットには悪いが、過程はどうあれ結果は決まっている。
もしもコレットが負けそうになった場合は、俺が魔法契約書ごとひっくり返すつもりだ。
くだらないお約束も、因縁やルールなども知ったことではない。
その気になればさっさとゼベルを殺すか洗脳するかすれば解決するのだ。
コレットが勝てば全てにおいて最も良い結果となるからこの選択肢をとっているに過ぎない。
…まぁそれは言わないでおこう。
コレットが勝てば一番なのは間違いないからな。
「はい、まるで本当に怒りに我を忘れているように見えました。あれならゼベルも警戒をしないでしょう」
シビルフィズの領城を無限工房に収納した俺は、シオンとコウエンとともにコレットのやりとりを見守っていた。
シオンもコレットの演技に感心しているようだ。スキル【超感覚】を持つシオンは、相手の嘘を見抜く力に秀でている。
そんなシオンにそこまで言わせるとは、コレットは役者の才能があるのかもしれない。
すでにゼベルの悪行についての証拠は揃っている。
シビルフィズ領を力で叩き潰したところで後のレインベルと冒険者ギルドの立場に問題はない。
だが、決闘という形を取ることで、さらに確実を期すことができる。
無法者が無法者をねじ伏せたのではなく、正義が悪を断罪したという構図が欲しい。
ただ力で奪えば良かった迷宮とは違い、人間には人間のルールがあるのだ。
俺の目的をスムーズに達成するためには、人間が納得する形で事を収めたほうが都合がよい。
若き女領主が苦しめられた領民を救うため、大貴族を決闘で打ち破った。
そうなれば、後のレインベル領の発展はさらに加速するだろう。
余裕のない世界だ。人々は力と徳を備えた者の元へ集まりたがる。
敵を倒して終わりではない。その後の領の発展も俺の目的にとって重要なのだ。
それにコレットにとってゼベルは親の仇であり、自分や領民を苦しめた憎き相手である。
彼女は復讐を望んでいる。
コレットは俺の所有物だ。俺の所有物は万全の状態でなければならない。
復讐を遂げることでコレットの心が安らぎ、心の闇が少しでも晴れるのなら、それは良いことだ。
この数日でコレットのことをより知ることができた。
コレットなら、復讐を遂げることで燃え尽き無気力になり、その価値を落とすことはない。
コレットはどこまでも気高く、責任感が強い。
自分の恨みを晴らすよりも、ゼベルによって死んでいった者たちの無念を晴らすために復讐を望んでいることはわかっている。
コレットとゼベル、互いの提示した条件は“全て”。
勝った側が負けた側にすべてを差し出す。古の決闘の決まりに則ったものだ。
決闘は貴族が真の意味で貴族であった時の名残であり、現在の肥え太った貴族たちが決闘を行うことはないらしい。あっても代理人を出すということだ。
だが今回は違う。本当の意味での決闘だ。
コレットがゼベルを倒せば、当面の問題に決着がつくことになる。
「…閣下、あのゼベルという男、かなりやるようです。トシゾウ殿を装備していないコレット殿が勝てるのでしょうか」
コウエンが若干不安そうにしている。
たしかにゼベルは現在の人族の中ではかなり上位の力を持っている。
先ほどまでのコレットなら勝負にならなかっただろう。だが…。
「問題ない」
「はっ」
ここからはコレットの戦いだ。
ゼベルは、コレットがコレット自身の力で排除すべき障害だ。
この戦いを乗り越えることで、コレットの価値はまた一つ高くなるだろう。
「シビルフィズ領主、ゼベル・シビルフィズの名において、たとえ死しても、この決闘の結果に従うことを宣誓する」
「レインベル領主、コレット・レインベルの名において、たとえ死しても、この決闘の結果に従うことを宣誓しますわ」
ゼベルとコレットが武器を抜き、柄を両手で握り体の前で垂直に立てる。
魔法契約をした以上、本当は宣誓も見届け人も必要ないが、二人はあえて形式通りに進めるつもりらしい。
まるで合わせ鏡のようだ。
双方とも堂に入った所作。貴族としての作法の一つなのかもしれないな。
決闘はその場で行われることになった。
ゼベルは追い詰められており、一発逆転をかけた決闘を引き延ばす理由がない。
コレットも、下手な対策を打たれる前にここで決着を付けたいと考えているのだろう。
「…始まるようです。コレット、がんばって」
シオンが両手を強く握りしめている。
コレットを応援しつつも、コレットが負けて死んでしまうことを恐れているようだ。
「シオン、心配するな。コレットなら問題ない」
「…はい!ご主人様はコレットを信用しているのですね。ご主人様が問題ないと言われるのなら、問題ないに違いありません」
「うむ、そうだな」
シオンが少しだけ体の力を抜いた。まじめなシオンはかわいいな。
まるで演劇を見てハラハラしている子供のようだ。純粋かわいい。
俺からすれば、これは出来レースだ。
圧倒的に優位な状況で、わざわざ対等な戦いなどする理由がない。
シオンやコレットには悪いが、過程はどうあれ結果は決まっている。
もしもコレットが負けそうになった場合は、俺が魔法契約書ごとひっくり返すつもりだ。
くだらないお約束も、因縁やルールなども知ったことではない。
その気になればさっさとゼベルを殺すか洗脳するかすれば解決するのだ。
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…まぁそれは言わないでおこう。
コレットが勝てば一番なのは間違いないからな。
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