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冒険者ギルド世界を変える
131 ビクターはおもしろ黒人枠
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「まず、先ほどお前たちが食堂で口にしたものは、迷宮45層に出現する属性竜の肉だ。何度も言うが、いずれはお前たちの中からSランクに至る者が現れ、属性竜の素材をも手に入れられるようになってほしいと思っている。なんなら祖白竜の鱗を毟れるようになれば最高だ」
「いやいやそれは…」
「だが…」
言葉を失う参加者たち。彼らの到達階層は、最高でも20階層の後半。
無理をしても30階層が精々だ。45階層など現状では夢物語だ。
だが、それを不可能だと否定する者はこの中にいない。
冷静な頭はそれが難しいことをよく理解しているが、心のどこかでは竜を倒す自分を夢想する。高レベルに至る冒険者はそういう者たちだ。必ずどこかで格上を狩り、修羅場を潜り抜けてきている。
いずれはかつての英雄の領域へ至りたいと願う者は多い。
そんな参加者たちの様子を見てトシゾウは満足げに、とても満足げに頷く。
「そうだ。もちろんすぐにとはいかないだろう。力と装備がいる。それに、新たな仲間も必要だな」
「ふむ…」
「そうだな、かつてのように他種族ともパーティを組むべきだろう…」
彼らの一部はトシゾウの言葉に触発され、いかにして強くなり迷宮深層へ挑むかを考え始めていた。
参加者たちの間で視線が行き来する。
勘の良い者はすでに気付いている。
よほどの化け物でもない限り単独、あるいは単一の種族では迷宮深層へ挑むことができないことを。
人族以外が迷宮へ挑む際のレベル制限の撤廃は、まさに冒険者ギルドの代表的な実績の一つだ。さらに、それが迷宮の深層へ挑む冒険者を支援することを目的としていることは明白である。
この知恵ある魔物は、他種族混成のパーティを組めと言っている。
今後は冒険者パーティの再編も活発になりそうだと感じるカルスト。
「うむ、みなやる気があるようで何よりだ。冒険者ギルドはその姿勢を歓迎する。…そして話を戻そう。優れたパーティを組むことも重要だが、それにしても個々の力の底上げは必要になる。今回の報酬はお前たちに直接的な力を授けるというものだ。…セリカ」
「は、はいですぅ!」
突然名前を呼ばれ驚きながらも返事するセリカ。
「午前は協力してくれて感謝する。冒険者ギルドの登録冒険者第一号はお前だ。シオンとも仲良くしてくれているようだし、お前に報酬を体験してもらおうと思う。どうだ?」
「うーん、よくわからないですぅ。体験したらどうなるんですぅ?」
「そうだな、今よりも強くなる。それにシオンと戦わせてやろう」
「えええええ!やるです!やるです!シオン様と戦ってみたいですぅ!」
シオンと戦えると聞いて即答するセリカ。
前のめりになるセリカをカルストが慌てて引き留める。
「まてセリカ。…トシゾウ殿に質問がある。あなたの目的は理解しているつもりだ。テストケースとしてでもセリカにその報酬を与えてくれるというのはありがたい。だがさすがに、なんの見返りもなく力が手に入るなどどうしても怪しい。危険はないのか」
「ししょー、心配してくれているですぅ?」
「当たり前だ。で、どうなんだ?」
「うむ、慎重なのは良いことだ。お前たちは良いパーティだな。仲間を気遣い補い合うのは、深層へ潜るためには必須の要素だ。…危険はないことは保証しよう。だが見返りが必要ないわけではない。本来この報酬を与えるためには、お前たちが迷宮で集めた素材を贄にする必要がある。今回はお披露目だから無償だがな」
「どういうことだ」
「それを今から実践しようと思っていたのだが…。師匠が反対するなら仕方ない。説得するのも面倒だからな。他に誰か望むものはいるか?」
トシゾウはセリカに特にこだわらないらしい。参加者を見回す。
「はい!はい!俺がやりますぜ旦那!これで軍団長もボコボコでさぁ…いでぇ!」
これはチャンスと真っ先に挙手したのはビクター。ドルフ軍団長の懐刀だ。
いらないことを言ってドルフにゲンコツをもらうものの、いたって真面目のようだ。
「あの慎重なビクター殿が立候補するとは、どうやら問題ないらしいな」
「得体の知れない実験に巻き込まれるのかと思ったが、これは何か根拠があるようだ」
「お、俺も立候補します!」
ビクターの態度を見て、参加者たちの態度が急に変わる。
「ほう、ビクターは優秀なのだな」
ビクターの思わぬ影響力にトシゾウは内心驚いていた。
どうやらビクターはスタンピードや遠征時に軍と冒険者を結ぶ重要な役割をこなし、信頼を得ているようだ。
実際のところ人望があるというよりは、どんな窮地に陥ってもなんだかんだでケロリと生還するビクターに、縁起の良さというか、鉱山のカナリヤのような、まぁこいつが言うんだから大丈夫なんじゃね?というニュアンスの反応であったが…。それもビクターの長所なのだろう。
「カルスト、トシゾウの旦那のやることがなんだかんだ問題ねぇのは俺が保証しよう。せっかくだからセリカの嬢ちゃんを強くしてもらえ。皆もそれでいいな?あとビクター、お前は減俸だ」
「あぁ、ドルフがそこまで言うなら問題ない」
「うむ、ではセリカで決定だな」
「やったですぅ!」
「そ、そりゃないですぜ軍団長!」
にわかに騒がしくなった参加者たちを落ち着かせるようにドルフが声を上げる。
ひと悶着あったものの、ドルフの鶴の一声で当初の予定通りセリカに決まったのだった。
「それでは、二人には試合をしてもらう」
トシゾウの指示により、報酬の効果を示すために、まずは現在の状態でシオンとセリカが試合を行うことになった。
「いやいやそれは…」
「だが…」
言葉を失う参加者たち。彼らの到達階層は、最高でも20階層の後半。
無理をしても30階層が精々だ。45階層など現状では夢物語だ。
だが、それを不可能だと否定する者はこの中にいない。
冷静な頭はそれが難しいことをよく理解しているが、心のどこかでは竜を倒す自分を夢想する。高レベルに至る冒険者はそういう者たちだ。必ずどこかで格上を狩り、修羅場を潜り抜けてきている。
いずれはかつての英雄の領域へ至りたいと願う者は多い。
そんな参加者たちの様子を見てトシゾウは満足げに、とても満足げに頷く。
「そうだ。もちろんすぐにとはいかないだろう。力と装備がいる。それに、新たな仲間も必要だな」
「ふむ…」
「そうだな、かつてのように他種族ともパーティを組むべきだろう…」
彼らの一部はトシゾウの言葉に触発され、いかにして強くなり迷宮深層へ挑むかを考え始めていた。
参加者たちの間で視線が行き来する。
勘の良い者はすでに気付いている。
よほどの化け物でもない限り単独、あるいは単一の種族では迷宮深層へ挑むことができないことを。
人族以外が迷宮へ挑む際のレベル制限の撤廃は、まさに冒険者ギルドの代表的な実績の一つだ。さらに、それが迷宮の深層へ挑む冒険者を支援することを目的としていることは明白である。
この知恵ある魔物は、他種族混成のパーティを組めと言っている。
今後は冒険者パーティの再編も活発になりそうだと感じるカルスト。
「うむ、みなやる気があるようで何よりだ。冒険者ギルドはその姿勢を歓迎する。…そして話を戻そう。優れたパーティを組むことも重要だが、それにしても個々の力の底上げは必要になる。今回の報酬はお前たちに直接的な力を授けるというものだ。…セリカ」
「は、はいですぅ!」
突然名前を呼ばれ驚きながらも返事するセリカ。
「午前は協力してくれて感謝する。冒険者ギルドの登録冒険者第一号はお前だ。シオンとも仲良くしてくれているようだし、お前に報酬を体験してもらおうと思う。どうだ?」
「うーん、よくわからないですぅ。体験したらどうなるんですぅ?」
「そうだな、今よりも強くなる。それにシオンと戦わせてやろう」
「えええええ!やるです!やるです!シオン様と戦ってみたいですぅ!」
シオンと戦えると聞いて即答するセリカ。
前のめりになるセリカをカルストが慌てて引き留める。
「まてセリカ。…トシゾウ殿に質問がある。あなたの目的は理解しているつもりだ。テストケースとしてでもセリカにその報酬を与えてくれるというのはありがたい。だがさすがに、なんの見返りもなく力が手に入るなどどうしても怪しい。危険はないのか」
「ししょー、心配してくれているですぅ?」
「当たり前だ。で、どうなんだ?」
「うむ、慎重なのは良いことだ。お前たちは良いパーティだな。仲間を気遣い補い合うのは、深層へ潜るためには必須の要素だ。…危険はないことは保証しよう。だが見返りが必要ないわけではない。本来この報酬を与えるためには、お前たちが迷宮で集めた素材を贄にする必要がある。今回はお披露目だから無償だがな」
「どういうことだ」
「それを今から実践しようと思っていたのだが…。師匠が反対するなら仕方ない。説得するのも面倒だからな。他に誰か望むものはいるか?」
トシゾウはセリカに特にこだわらないらしい。参加者を見回す。
「はい!はい!俺がやりますぜ旦那!これで軍団長もボコボコでさぁ…いでぇ!」
これはチャンスと真っ先に挙手したのはビクター。ドルフ軍団長の懐刀だ。
いらないことを言ってドルフにゲンコツをもらうものの、いたって真面目のようだ。
「あの慎重なビクター殿が立候補するとは、どうやら問題ないらしいな」
「得体の知れない実験に巻き込まれるのかと思ったが、これは何か根拠があるようだ」
「お、俺も立候補します!」
ビクターの態度を見て、参加者たちの態度が急に変わる。
「ほう、ビクターは優秀なのだな」
ビクターの思わぬ影響力にトシゾウは内心驚いていた。
どうやらビクターはスタンピードや遠征時に軍と冒険者を結ぶ重要な役割をこなし、信頼を得ているようだ。
実際のところ人望があるというよりは、どんな窮地に陥ってもなんだかんだでケロリと生還するビクターに、縁起の良さというか、鉱山のカナリヤのような、まぁこいつが言うんだから大丈夫なんじゃね?というニュアンスの反応であったが…。それもビクターの長所なのだろう。
「カルスト、トシゾウの旦那のやることがなんだかんだ問題ねぇのは俺が保証しよう。せっかくだからセリカの嬢ちゃんを強くしてもらえ。皆もそれでいいな?あとビクター、お前は減俸だ」
「あぁ、ドルフがそこまで言うなら問題ない」
「うむ、ではセリカで決定だな」
「やったですぅ!」
「そ、そりゃないですぜ軍団長!」
にわかに騒がしくなった参加者たちを落ち着かせるようにドルフが声を上げる。
ひと悶着あったものの、ドルフの鶴の一声で当初の予定通りセリカに決まったのだった。
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