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冒険者ギルド世界を変える
147 ある意味馬が合う
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冒険者ギルド フリー団欒スペース
冒険者ギルドのオープンから一週間が経過した。
混雑と多少の混乱は見られるものの、運営はおよそ想定の範囲内だと言える。
シオンやベルなどの幹部をはじめ、他のギルドメンバーも目の回るような忙しさの中よく働いてくれている。皆優秀だ。
とはいえ、ずっと働き通しだと疲れもするだろう。
ここまでフルメンバーで仕事を回していたが、ギルドは少しずつ落ち着きを見せつつある。
そのため俺はギルドメンバーに交代で休暇を取らせていこうと考えた。
宝を最善の状態に保つことは大切だ。人間に適度な休養は欠かせないからな。
ギルドメンバーの多くは元奴隷である。
買われたばかりのころには疑心暗鬼に陥っていたり、最低限の仕事しかしない者もいた。
端的に言えば生きた死人であった。
だが時間が経つにつれ目に見えてその働きは良くなっていった。
特に俺が買った初期のメンバーは、今では生き生きと新人を指導している。
適切な環境さえあれば、人間はよく働く。
宝にそれぞれ適した保管方法があるように、人間にもその価値を発揮するための条件があるのだ。
ギルドを建てたことで、俺は人間の扱い方というものを学びつつあるのかもしれない。
俺はと言えば忙しいことは忙しいが、冒険者ギルドを立ち上げた時に比べればずいぶんと手が空いている。
ほとんどの問題は各班が協力して解決してくれているからだ。
そこで決めきれない問題が上がってくれば、それに対応する方針を伝えるだけだ。
あとは全体の様子を見て回ったり、特別な客が来たら対応するくらいか。
今は、ラザロとサティアという人族の権力者とともに施設を見て回っているところである。
まめに情報を共有し冒険者ギルドのことを説明しておくのは大切だ。
俺たちはギルド内で最も利用者の多い区画を歩く。
食堂や依頼掲示板などが設置されているメインスペースだ。
昼には少し早い時間だが、食堂からは食欲を刺激する香ばしい匂いが漂い、それに釣られた冒険者たちが限られた座席を奪い合っている。
朝一で迷宮から戻って来た冒険者たちがほとんどだ。
前世は魚の卸市場よろしく、新鮮な食材をラ・メイズへ提供している者たちである。
一仕事終えた冒険者たちの表情は明るく、麦酒や蒸留酒が飛ぶように売れていく。
ランクごとに並べられた依頼掲示板の前には人が群がり、自分たちに最も適した依頼を獲得しようとせわしなく目を走らせている。
迷宮30層を超えて潜る必要のあるBランク以上の掲示板では閑古鳥が鳴いているが、依頼そのものは気の早い依頼者が貼り出ししているようだ。
いずれはSランクの掲示板前が賑わうようになれば良いのだが。
俺たちがいるのは、食堂と依頼掲示板の間にあるフリーのスペースだ。
テーブルと椅子が並んでいるのは食堂と同じだが、ここでのサービスは飲食ではない。
「レベル10以上で魔法を使える奴を募集中だ。誰かいないか?」
「8層での素材集めに協力してくれる方はいませんかー?」
「パーティ掲示板にも載せているが我々は新たな前衛を募集中です。レベルは5以上で――」
賑やかな声が至る所から聞こえてくる。
俺は大きな建物の中央にフリーの団欒スペースを設け、情報交換と冒険者たちが仲間を探すための場所とした。
冒険者ギルドに登録した冒険者のレベルや適性を登録した情報を利用し、希望者には条件に合うパーティを紹介するサービスも運用中だ。
拾い屋をしていた者や人族以外の種族なども冒険者ギルドに加入してくる。
新たな人材を獲得したい既存のパーティ。仲間を見つけたい新人冒険者。
需要が噛み合い、この場所はギルド内でも一二を争う混雑を見せている。
「ほっほっほ、これはすごい活気ですな。冒険者はもう引退したというのに、血が滾ってくるのを感じます」
楽し気に辺りを見回しているのはラザロ。人族の王弟だ。
貴族区画で高級宿を経営しているラザロは、いつも柔和な笑みをたたえた初老の紳士である。
外見はジェントルマン、執事と聞いて浮かぶ人物像そのままであるのだが、裏では暗殺に特化したスキルを持ち、足運びにも隙が無い男だ。
「城も冒険者ギルドの話題一色だよ。邪魔な貴族がおとなしくなって風通しも良くなったし、そろそろボクもレベルを上げに迷宮へ潜りたいなぁ。護衛付きのお姫様じゃなくて、普通に冒険者として冒険してみたいんだよね」
自分のことをボクと呼んでいるのはサティア。これでも人族の姫らしい。
王が半隠居状態の今、実質的には人族最高権力者であると言えるだろう。
翡翠の髪は美しく、童顔ながらも整った顔と相まって大人しくしていれば姫と言われても十分に納得できる容姿をしている。
お転婆娘だが頭の回転は速く、天真爛漫ゆえの残酷さも併せ持つ割と有能な人間である。
気楽そうな態度だが、ゼベルの領地や勇者の件などで忙しいのではないだろうかと思ったが。
「だいたいの仕事はダストン爺とその部下に丸投げしてるから、ボクの仕事は実はそんなに多くないんだよね」
爺は頼りになるねと笑うサティア。
「うむ、実は俺もだ。持つべきものは良い所有物だな」
「さすがトシゾウはわかっているね。部下は上手く使って、上はどーんと構えているのが良いんだよ!」
「ほっほっほ、ダストン殿が聞いたら泣くでしょうね」
他人事のように笑うラザロ。
二人はなんというか、力の適切な配分を心得ているらしい。
こいつらとはなんとなく馬が合う。
シオンやコレットとはタイプが違うが、なかなかに面白い人間たちだ。
なお、大量の仕事を抱えた爺ことダストン宰相は今日も今日とて王城で書類を捌いているらしい。ご苦労なことである。
ひょっとすると俺の目的を達成するために最も仕事をしているのはダストンではないだろうか。
倒れられたら困るので、またエリクサーを送りつけておくか。
エリクサーがあれば多少は睡眠時間を削っても問題ないからな。
冒険者ギルドのオープンから一週間が経過した。
混雑と多少の混乱は見られるものの、運営はおよそ想定の範囲内だと言える。
シオンやベルなどの幹部をはじめ、他のギルドメンバーも目の回るような忙しさの中よく働いてくれている。皆優秀だ。
とはいえ、ずっと働き通しだと疲れもするだろう。
ここまでフルメンバーで仕事を回していたが、ギルドは少しずつ落ち着きを見せつつある。
そのため俺はギルドメンバーに交代で休暇を取らせていこうと考えた。
宝を最善の状態に保つことは大切だ。人間に適度な休養は欠かせないからな。
ギルドメンバーの多くは元奴隷である。
買われたばかりのころには疑心暗鬼に陥っていたり、最低限の仕事しかしない者もいた。
端的に言えば生きた死人であった。
だが時間が経つにつれ目に見えてその働きは良くなっていった。
特に俺が買った初期のメンバーは、今では生き生きと新人を指導している。
適切な環境さえあれば、人間はよく働く。
宝にそれぞれ適した保管方法があるように、人間にもその価値を発揮するための条件があるのだ。
ギルドを建てたことで、俺は人間の扱い方というものを学びつつあるのかもしれない。
俺はと言えば忙しいことは忙しいが、冒険者ギルドを立ち上げた時に比べればずいぶんと手が空いている。
ほとんどの問題は各班が協力して解決してくれているからだ。
そこで決めきれない問題が上がってくれば、それに対応する方針を伝えるだけだ。
あとは全体の様子を見て回ったり、特別な客が来たら対応するくらいか。
今は、ラザロとサティアという人族の権力者とともに施設を見て回っているところである。
まめに情報を共有し冒険者ギルドのことを説明しておくのは大切だ。
俺たちはギルド内で最も利用者の多い区画を歩く。
食堂や依頼掲示板などが設置されているメインスペースだ。
昼には少し早い時間だが、食堂からは食欲を刺激する香ばしい匂いが漂い、それに釣られた冒険者たちが限られた座席を奪い合っている。
朝一で迷宮から戻って来た冒険者たちがほとんどだ。
前世は魚の卸市場よろしく、新鮮な食材をラ・メイズへ提供している者たちである。
一仕事終えた冒険者たちの表情は明るく、麦酒や蒸留酒が飛ぶように売れていく。
ランクごとに並べられた依頼掲示板の前には人が群がり、自分たちに最も適した依頼を獲得しようとせわしなく目を走らせている。
迷宮30層を超えて潜る必要のあるBランク以上の掲示板では閑古鳥が鳴いているが、依頼そのものは気の早い依頼者が貼り出ししているようだ。
いずれはSランクの掲示板前が賑わうようになれば良いのだが。
俺たちがいるのは、食堂と依頼掲示板の間にあるフリーのスペースだ。
テーブルと椅子が並んでいるのは食堂と同じだが、ここでのサービスは飲食ではない。
「レベル10以上で魔法を使える奴を募集中だ。誰かいないか?」
「8層での素材集めに協力してくれる方はいませんかー?」
「パーティ掲示板にも載せているが我々は新たな前衛を募集中です。レベルは5以上で――」
賑やかな声が至る所から聞こえてくる。
俺は大きな建物の中央にフリーの団欒スペースを設け、情報交換と冒険者たちが仲間を探すための場所とした。
冒険者ギルドに登録した冒険者のレベルや適性を登録した情報を利用し、希望者には条件に合うパーティを紹介するサービスも運用中だ。
拾い屋をしていた者や人族以外の種族なども冒険者ギルドに加入してくる。
新たな人材を獲得したい既存のパーティ。仲間を見つけたい新人冒険者。
需要が噛み合い、この場所はギルド内でも一二を争う混雑を見せている。
「ほっほっほ、これはすごい活気ですな。冒険者はもう引退したというのに、血が滾ってくるのを感じます」
楽し気に辺りを見回しているのはラザロ。人族の王弟だ。
貴族区画で高級宿を経営しているラザロは、いつも柔和な笑みをたたえた初老の紳士である。
外見はジェントルマン、執事と聞いて浮かぶ人物像そのままであるのだが、裏では暗殺に特化したスキルを持ち、足運びにも隙が無い男だ。
「城も冒険者ギルドの話題一色だよ。邪魔な貴族がおとなしくなって風通しも良くなったし、そろそろボクもレベルを上げに迷宮へ潜りたいなぁ。護衛付きのお姫様じゃなくて、普通に冒険者として冒険してみたいんだよね」
自分のことをボクと呼んでいるのはサティア。これでも人族の姫らしい。
王が半隠居状態の今、実質的には人族最高権力者であると言えるだろう。
翡翠の髪は美しく、童顔ながらも整った顔と相まって大人しくしていれば姫と言われても十分に納得できる容姿をしている。
お転婆娘だが頭の回転は速く、天真爛漫ゆえの残酷さも併せ持つ割と有能な人間である。
気楽そうな態度だが、ゼベルの領地や勇者の件などで忙しいのではないだろうかと思ったが。
「だいたいの仕事はダストン爺とその部下に丸投げしてるから、ボクの仕事は実はそんなに多くないんだよね」
爺は頼りになるねと笑うサティア。
「うむ、実は俺もだ。持つべきものは良い所有物だな」
「さすがトシゾウはわかっているね。部下は上手く使って、上はどーんと構えているのが良いんだよ!」
「ほっほっほ、ダストン殿が聞いたら泣くでしょうね」
他人事のように笑うラザロ。
二人はなんというか、力の適切な配分を心得ているらしい。
こいつらとはなんとなく馬が合う。
シオンやコレットとはタイプが違うが、なかなかに面白い人間たちだ。
なお、大量の仕事を抱えた爺ことダストン宰相は今日も今日とて王城で書類を捌いているらしい。ご苦労なことである。
ひょっとすると俺の目的を達成するために最も仕事をしているのはダストンではないだろうか。
倒れられたら困るので、またエリクサーを送りつけておくか。
エリクサーがあれば多少は睡眠時間を削っても問題ないからな。
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