琥珀の方舟

Sa4mi

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 手で掬った砂が零れ落ちるように、なんて美しい表現をあてがうものだなぁと思う。
 指の隙間から落ち、空中に慎ましやかなグラデーションを描き出す砂は人の目にさぞ美しく映ることだろう。散る桜、落ちる露。消えゆくものこそ美しい、この国の美的観念だ。
 儚いものを愛で、それをとっとと忘れ、人々は生きていく。忘れられない僕を置いて。
「てのひらから零れ落ちるように、――がなくなってしまって。」
 画面に映る同年代ほどの少女は神妙な面持ちでそう語った。僕はテレビの電源を落とした。
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