色々物語

旅の途中で！

「せいまとの旅で一番最初に訪れる場所！そこですることといえば～！！」

「せんえ、何をするの？」

「もちろんお金稼ぎだよ～！」

「せんえ、お金好きだよね。」

「お金があればなんでもできるもん！」

「その土地のグルメとか興味ないの？」

「名物にうまいものなしって言うでしょ～。それに、食べ物はいつでも作れるから～。」

「え、せんえちゃん、どういうこと？」

「せいま、見ててね～！」

私は何もないところに、どこからかあらわれた杖を片手に持って、振りかざした。
すると、目の前に、お皿にのったケーキがふわりと空中に現れた。

「わ！せんえ、すごい！」

空に浮かぶそのケーキをそっと手に取り、せいまに渡す。

「食べていいの？」

「いいよ！」

せいまはそれを適度なサイズに切り分けて口に運んだ。

「え、味も美味しい……！」

「こういうことができるから、食べ物は私にとっては重要じゃないの！」

「すごいことができるんだね！魔法すごい‥何もないところから‥どういうことなの？」

「えへへー」と私は得意げな顔で言った。

「実はね、何もないように見えても、空気中には元素があるんだよ。この世界は全部、元素でできてるの。私も、食べ物も、川や山や、木だって全部！」

「この空中にも見えないけど、元素がただよってる。それを集めて、魔法で形を作って……ケーキができあがりってわけ！」

「なんだか分からないけど、せんえちゃん凄い！」

せいまはパクパクとケーキを食べながら、ふと疑問を口にした。

「ちなみにこの味って、どうやって出したの？」

「クロスモーダル効果って知ってる？」

「なにそれー！」

「ふふ、たとえばね、かき氷の話が分かりやすいんだけど、実はシロップって全部同じ味なんだよ。いちごとかメロンとかの味って、色や香りで『それっぽく』感じてるだけなの。見た目や香りが、味覚に影響を与えるの。これがクロスモーダル効果！」

「え～、じゃあこのケーキも、見た目のせいで美味しく感じるってこと？」

「まあ、それもあるけど……実はそれ、ただの知識をひけらかしただけで～」

私はちょっとイタズラっぽく笑った。

「ほんとはね、私が今まで食べたケーキの記憶の“味”を、このケーキにエンチャントしたんだよ！」

「エンチャント……？ 魔法で味をつけたってこと？」

「そうそう！私の“思い出の味”を、せいまに共有したの！」

「すごい……！せんえの好きな味、ちゃんと美味しいよ！」

「ふふっ　しかもね、材料はゼロから元素で作ってるから、砂糖も乳製品も使ってないの！身体にやさしくて、アレルギーも心配なし！健康第一！」

「ええー！？魔法って便利すぎる……！」

「でしょでしょ！だから食べ物よりお金が欲しいの！」