色々物語

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湖の町レイラナへ

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小さな観光地の駅に降り立つと、木の香りがふわりと鼻をくすぐった。
 列車の音が遠くに消えていき、私たちはその静けさの中で顔を見合わせた。

「なんか、のんびりしてていいところだね」

「うん。せんえ、少し寄り道しようよ」

 そう言って、せいまはパンフレットを広げた。
 どうやら、この町には手作りのクラフトショップや、山から湧き出る小さな温泉、川沿いのカフェなど、たくさんの“癒し”が詰まっているらしい。

「……魔女探しもいいけど、こういう場所もたまには、ね」

「そうだね。こういうのも、旅の醍醐味ってやつかも!」

 私たちは歩きながら、風に揺れる草花を見たり、ガラス細工の工房で作品を眺めたり、小さなプリン屋で地元のおばあちゃんとおしゃべりしたり。
 気づけば、すっかり観光を楽しんでいた。

 カフェのテラスでジュースを飲んでいると、白いワンピースを着た女の子が近づいてきた。髪に小さな花を飾っていて、太陽みたいに明るい笑顔だった。

「こんにちは。旅の人?」

「うん、そうだよ。こんにちは」

「よかったら、これ……」

 女の子は、木の葉を使ったしおりを手渡してくれた。

「この町の隣にある“レイラナ”って知ってる? 湖がきれいな町なんだよ。静かで、風が気持ちよくて、空が映るんだ」

「へえ、いいところなんだね!」

「うんっ、私も大好きな場所なの。もしよかったら、行ってみてね!」

 そう言って、少女は楽しそうにスキップして去っていった。
 花飾りが風に揺れ、笑い声が遠くまで弾んでいくようだった。

「レイラナ……なんだか、気になるね」

「うん。行ってみよう、せんえ」

「決まりだね」

 私たちは立ち上がって、風に背中を押されるように、次の目的地へと歩き出した。
 湖に映る空を見に行こう。
 魔女に出会えるかもしれないし、出会えなくても――また、大切な何かが見つかるかもしれない。

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