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日記③
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少女はゆっくりと手を広げ、やわらかな空気を集めはじめた。
目に見えない光の粒が集まって、小さな器にふんわりと浮かび上がる。
「はい、これ、食べてみて」
器の中には、やさしい色のとろりとしたおかゆが現れた。
まだ幼いせんえは、不思議そうにそれを見つめる。
少女は微笑みながら、せんえの口元にスプーンをそっと近づけた。
「ゆっくりね。これは世界のお友だちが作ってくれた、ごちそうだよ」
せんえはほんの少し口を開けて、やわらかいおかゆを味わった。
その温かさとやさしい甘みが体の中に広がり、ふわっと安心感が満ちていく。
「おいしい……」
せんえの目がキラキラと輝いた。
少女は嬉しそうに笑った。
「この世界は、あなたを守っているんだよ。怖くないからね」
少女は庭先で濡れた衣服を手に取り、そっと息をはいた。
すると、服から水がふわりと空気に溶けていき、あっという間に乾いてしまった。
せんえは目を見開き、その光景をじっと見つめる。
「どうやってるの?」と、つい声に出した。
少女はにっこり笑いながら答えた。
「この世界には、目には見えないけどたくさんのものがあるんだよ。風とか、空気のかたまりとか、光の粒とかね」
せんえは首をかしげて、不思議そうに聞いた。
「目に見えないものって、なに?」
少女はやさしく答えた。
「それはね、この世界の小さな友だちみたいなもの。みんなと仲良くなれば、力を貸してくれるんだ」
少女は手をふわっと動かしてみせる。
「たとえば、濡れた服の水を空気に返してしまったり、おいしいごはんをパッと作り出したり。世界とお友だちになれば、こんなことができるんだよ」
「ねえ……それ、どうやってるの?」
せんえの小さな声に、少女はゆっくりと振り返った。
その瞳には、どこか遠くを思い出すような、やさしい光があった。
「うん、これはね……」
少女はそっと空を見上げた。
「この世界と、友だちになったからできるんだよ」
せんえは、また少し首をかしげた。
少女は続ける。
「世界はね、見えないけれど、ちゃんと私たちのことを見てる。ごはんがほしいなって思ったときも、寒いなって思ったときも――そういうの、気づいてくれるんだ」
少女はそっと手を広げた。風がその手の中にふわりと寄ってくる。
「だから、私はいつも心の中で話しかけてるの。“お願い”じゃなくて、“ありがとう”って」
「……ありがとう?」
「うん。このおかゆも、服を乾かしてくれる風も、ぜんぶ“この世界の気持ち”なんだよ。
わたしたちがそれを感じて、受け取って、返していく。そうするとね、どんどん仲良くなれるの。世界と、ひとつになれるの」
少女は小さく笑って、そばにしゃがみ込む。
「だから私は、お願いするんじゃなくて――“一緒にやろうね”って思ってる。
そうすれば、世界はちゃんと答えてくれるの」
少女の言葉が、せんえの心にそっと降り積もっていった。
目に見えない光の粒が集まって、小さな器にふんわりと浮かび上がる。
「はい、これ、食べてみて」
器の中には、やさしい色のとろりとしたおかゆが現れた。
まだ幼いせんえは、不思議そうにそれを見つめる。
少女は微笑みながら、せんえの口元にスプーンをそっと近づけた。
「ゆっくりね。これは世界のお友だちが作ってくれた、ごちそうだよ」
せんえはほんの少し口を開けて、やわらかいおかゆを味わった。
その温かさとやさしい甘みが体の中に広がり、ふわっと安心感が満ちていく。
「おいしい……」
せんえの目がキラキラと輝いた。
少女は嬉しそうに笑った。
「この世界は、あなたを守っているんだよ。怖くないからね」
少女は庭先で濡れた衣服を手に取り、そっと息をはいた。
すると、服から水がふわりと空気に溶けていき、あっという間に乾いてしまった。
せんえは目を見開き、その光景をじっと見つめる。
「どうやってるの?」と、つい声に出した。
少女はにっこり笑いながら答えた。
「この世界には、目には見えないけどたくさんのものがあるんだよ。風とか、空気のかたまりとか、光の粒とかね」
せんえは首をかしげて、不思議そうに聞いた。
「目に見えないものって、なに?」
少女はやさしく答えた。
「それはね、この世界の小さな友だちみたいなもの。みんなと仲良くなれば、力を貸してくれるんだ」
少女は手をふわっと動かしてみせる。
「たとえば、濡れた服の水を空気に返してしまったり、おいしいごはんをパッと作り出したり。世界とお友だちになれば、こんなことができるんだよ」
「ねえ……それ、どうやってるの?」
せんえの小さな声に、少女はゆっくりと振り返った。
その瞳には、どこか遠くを思い出すような、やさしい光があった。
「うん、これはね……」
少女はそっと空を見上げた。
「この世界と、友だちになったからできるんだよ」
せんえは、また少し首をかしげた。
少女は続ける。
「世界はね、見えないけれど、ちゃんと私たちのことを見てる。ごはんがほしいなって思ったときも、寒いなって思ったときも――そういうの、気づいてくれるんだ」
少女はそっと手を広げた。風がその手の中にふわりと寄ってくる。
「だから、私はいつも心の中で話しかけてるの。“お願い”じゃなくて、“ありがとう”って」
「……ありがとう?」
「うん。このおかゆも、服を乾かしてくれる風も、ぜんぶ“この世界の気持ち”なんだよ。
わたしたちがそれを感じて、受け取って、返していく。そうするとね、どんどん仲良くなれるの。世界と、ひとつになれるの」
少女は小さく笑って、そばにしゃがみ込む。
「だから私は、お願いするんじゃなくて――“一緒にやろうね”って思ってる。
そうすれば、世界はちゃんと答えてくれるの」
少女の言葉が、せんえの心にそっと降り積もっていった。
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