Destiny one‘s whereabouts

上社玲衣

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第Ⅰ話『願いを持つ少女』

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異世界、ネフィレス
平和だった国に100年前に突如現れた災厄、魔物、悪しきネクロマンサー、狼人、ヴァンパイア。…そして巨大な魔獣。
それらの災厄を退けるためにネフィレス全土の教会を統治していたある教会が、数十年かけて二つの人選を生み出した
その二つとは、魔術・法術を自在に使いこなす『司教』、そして物理攻撃を得意とする『退魔士』
『司教』と『退魔士』はそれぞれペアを組み、戦いに投ずる、だが、それは一般市民は知らされずにいた
彼らは普段、教会の中でひっそりと暮らしているからだ。

第一話『願いを持つ少女』

夢に見るのはあの時の光景・・・・破壊された家、人っ子一人いない場所、そして・・・・そこに佇む少年・・・・

「す・・・・し・・・す・・・・シース!シース!!」

「ん・・・・、レヴィ・・・?」

「何度起きろと言ったと思う」

銀髪の青年、シルヴァ・エル・マニスフィアは部屋の壁にもたれかかっている黒髪の青年、仕事の相棒であるレヴィを見た。
此処はシルヴァに割り当てられた自室だ。本来なら自分の使役している使い魔がいるはずなのが・・・

「ごめん、でも、いつもならレフィアが起こしてくれるんだけどな・・・」
「レフィアは仕事の下調べだ」
「ああ・・・・そうだっけ、昨日、俺がそう命じたんだ」

思い出したかのように手をうつシルヴァ

「早く着替えて書類を片付けろ」

レヴィの有無を言わさない目にシルヴァは苦笑して
「はいはい、わかってる」

真っ白で金色で縁取られた司教服に着替えたシルヴァは髪留めで長い髪を後ろで結いそのまま私室から仕事部屋に向おうとしてレヴィが動かないのに不思議に思い

「あれ?レヴィは仕事ねぇの?」
「俺の仕事で残っているのは外のだけだ」
「もう終わったんだ・・・・早いな」
「お前が遅いだけなんだ」
「そうかもな・・・・、でも、今日の仕事入るかもしれないから一緒に来てくれよ」
「ああ、相棒のお前が言うんじゃ仕方ないな・・・」

仕事部屋についたシルヴァはそのままたまってた書類を片付け始める
と部屋のドアがノックされた

「誰だ」
レヴィがドアを開けるとそこには水色の髪で朱色の目をした女性が立っていた

「ああ、メニィじゃないか。どうしたんだ?」
女性・・・・メニス・マーガレットはレヴィにお辞儀をして挨拶をするとそのままシルヴァの前に立ち

「先日の報告書です」
「そっか、ありがとう、メニィ。」
「それと・・・・・懺悔室に女の子が先ほどまで来ていました」
懺悔室、本来なら自らの罪や過ちを告白する場所だがこの教会では別名『願いの部屋』とも呼ばれている、自らではどうしようもない事が起こった市民達はその中で祈り、それの解決を待つとされている、実際にはその願いを『司教』や『退魔士』が聞き届け、力を貸しているのだ。
だが小さい願いは上に却下されている、彼らが解決してきたのは主に『災厄』と呼ばれる魔物たちが関連している事件だけだった。

「・・・その子の願いは?」
「はい、一ヶ月前から行方不明な兄を探して欲しいと言う内容です」
「わかった、上に掛け合ってみるよ」
「お願いします・・・・」
そのまま、一礼をするとメニスは部屋を去った
「・・・・奴らと関連ありそうだな」
「ああ、誘拐ってのは奴らの手口だからな、とにかく、上に掛け合わないと・・・」
そう言ってチラリとレヴィを見るシルヴァ
「俺も行くんだろうな、その様子だと」
「当たり」
ニヤっとシルヴァは笑った 

その夜、シースとレヴィは上に呼ばれたので教会の最奥、シルヴァ曰く『拷問部屋』と名づけた部屋の前に立っていた。

「司教トップ、シルヴァ・エル・マニスフィアと退魔士トップ、デグロイド・レヴィレス、ただ今参りました」

中から「入れ」と声がして扉が開く、中にはずらりと物見の見物のように並べられた椅子があり、その一つ一つを埋め尽くすように人が座っている、全員がフードを深く被っているために顔は見えない

「・・・・お前の申請を聞いた、だが、その少女の兄が『災厄』の魔物に捕らえられている確率は低い。」
とフードの男が一蹴する。
「・・・・そう・・・ですか」
「しかし、誘拐事件としてのみ片付けるのは良くないと判断し、新人の司教、退魔士を使ってならこの事件を解決する事を許す。」
「それは・・・新人の能力を試すということですか?」
「・・・・そういうことにもなる」
「わかりました。」
「言っておくが貴様はこの教会から出る事は許さん、わかっておるな?」
「・・・はい。」
「では、いい報告を待っている」

そのまま二人は退室するように命じられた

「はぁ・・・・本当にあの部屋にいると気が滅入るなぁ・・・」
「俺も同じくだ・・・・あのジジイどもを見てるとなんだかこっちまで気分が悪くなりそうだ・・・」
「一気に精気持って行かれそうになるもんな。」
苦笑したシルヴァは突然背後から誰かに抱きつかれた
「シース様っ」
「うわっ・・・びっくりした・・・レフィアじゃないか、お帰り」
とほほ笑むと真っ白な肌に金色の目、鮮やかな赤く長い髪を称えた女性。レフィアは涙ぐみながら微笑んで。彼女はシルヴァの使い魔であり、本性は大蛇である、巨大な力を秘めているためにこうして抑えつける意味で人の形をとることが適っているだけだが本人は窮屈よりも気に入っているらしい。

「何日も会えなくて寂しかったですわっ」
「何日って・・・・昨日の今日じゃないか」
「いいえっ、私にとっては何日もなのですわ!敬愛する主のお側を離れてしまうとどんな虫がつくかと思うと私心配で・・・」
「虫って・・・・俺は教会の中にしかいないから・・・」
「教会にも虫はいますわ、新人のディトリッヒとか・・・」
「あはは・・・・とにかく、無事でよかったよ、レフィア」
「ありがとうございますわ・・・あら、レヴィ様と一緒にいらっしゃるということは・・・・例の『拷問部屋』に?」
「まぁな・・・・次の仕事の申請だよ」
「仕事と言うよりは『願い事叶わせる』と言う感じだがな」
「レヴィは嫌なのか?」
「そういうのは面倒だ・・・・第一、それだけが俺達の仕事になってきているのも嫌なんだ」
「じゃあ、今から戻ってジジイ達を殴ってこれば?」
「・・・・していいのか?」
「・・・・冗談に決まってるじゃないか」
本気にしそうな相棒に少し冷や汗を掻くシルヴァだった
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