4 / 6
第Ⅳ話 『蠢く闇』
しおりを挟む
とある場所の地下・・・
6つの影が一人を円のように座って囲んでいる。
中心にいるのはピエロのように化粧を施した燕尾服を着ている。
『ドーラよ。何故、あの男に接触した。』
と影のうちの一人が言う。
ピエロの男・・・ドーラ・ゾルデナははて、と首を傾げて
「そんなに気に入りませんでしたか?彼の能力はとても素晴らしい!ぜひ我々としてもあの力は手に入れたいところではなかったのでしょうか。」
『そんなことを聞いているのではない!奴に接触するのは決まりではもっと後の話ではなかったのか!それをむざむざと貴重な実験体まで壊されよって!』
ドンと椅子の肘おきを叩く音がした。
「おお、怖い怖い。私は私のできるまでのことしただけですよ。遅かれ早かれあの実験体は司教か対魔師のどちらかに見つかっていたことでしょう。」
『それを隠して守り切るのが貴様の役目だったではないか!』
「思った以上にアレの成長速度は速くて隠し切れなかったのですよ。もう少し成長していれば壊した瞬間に半径1キロメートルに毒ガスを吹き出すまでに成長していたでしょうがね。」
『そんなことは聞いておらんぞ!貴様、我々を憚ったのか!』
「憚ったなど人聞きの悪い・・・聞かれなかったので答えなかったまでですよ。」
『なんだと!?』
と喧嘩腰になる一人をもう一人が手をあげて制する。
『ドーラよ、アレの危険性についてはもう一度要点をまとめて提出せよ。
しかし、何故あの男と接触したかを私は答えがほしい。』
「・・・本来、対魔師とは相棒の司教がいてからこその真の力を発揮すると言っても過言ではありません。いえ、ネフィレス全土ではそれが『当たり前』であると信じられてきました。
故に、二人一組という制度がいまだに残っているのです。
ですが、彼はその常識をものともせずに一人でアレを始末してみせた。危険性があるのはそうですが、なによりあの力があれば危険指定Sを抑えつけることができるのではないかとそう思います。」
『たしかに。危険指定Sは何よりも我々の計画に邪魔な存在だ。それを抑えることができるのならば使えるのには越したことはない。・・・だが、具体的にはどうするのだ。奴を捕らえることができるのか?』
「いえいえ、まさか。捕らえられないのならばこちらの首輪をつけてしまえばいいだけです。
幸いにも奴らをおびき出すための餌ならば豊富にありますからねェ。」
『・・・では、それについてはお前に任せよう。しかし無暗に実験体を浪費するのだけはやめるように。消費するならば結果を出したまえ。』
「はい、かしこまりました。」
『それでは、これで定例会を終えることとする。ガルバディアに叡智の祝福あれ。』
『『『『『『『ガルバディアに叡智の祝福あれ』』』』』』
と掛け声とともに6つの影は消える。
後に残ったのはドーラだけだった。
「・・・まったく、消費せずには無茶をおっしゃることだな。しかし、それを成し遂げてこそ私の信用の株も上がるというものだ。さて、それではとっておきの実験用具を用意するのに取り掛かろうか。」
とクックックと笑いながら背後のカーテンを引き上げる。
そこにあったのは巨大な水槽の中に浮かび上がる『メガイアス』の心臓だった。
「まだ成長段階ではあるが、無垢なる皮を使わずともいずれはバンフェルドへ進化することができる可能性を秘めたメガイアス達よ。お前たちが持つ、その獰猛な遺伝子を私に見せてくれ!!」
そのころ、教会ではシルヴァが報告書に埋もれていたのをレヴィが救出したところであった。
「悪い、この前の一件からずーっとひっきりなしに書類が回ってきてな。」
「・・・よほどお前を現場の方に回したくないんだろう。あのジジイたちは。」
「だよなぁ・・・・。明らかに多忙にさせてやるっていう強い意志が感じられるところだ。」
と黙々と書類を整理する手は緩めずに会話を続けていく
「レフィアに探らせている方の調査はどんな感じなんだ?」
「流石にまだ結果は出ねぇよ。けど、だいたいはレヴィが言ったとおりに噂話でしか情報が出てこないみたいだな。よほど慎重に行動している奴等らしい。」
「この街には少なくともそういったゴシップ記事に鼻の利く記者が何人もいたはずだ。そいつらさえも何も掴んでいないということはそういうことなんだろう。」
「だろうな。・・・っと、レヴィそこにある書類とってくれ。」
「ん、これだな。」
「ああ、ありがと・・・。ん?」
「どうかしたか?」
「いや、ここ最近スラムの子供たちの姿が少ないと思ったら。夜な夜な奇妙な笛の音が聞こえるっていう報告が上がってる。」
「笛の音・・・・?そんな異音がするなら俺が気づかないはずないんだが。」
「証言者も子供みたいだからな。大人には聞こえないらしい。」
「・・・それもなんだか怪しいな。」
「ああ、とりあえずこの調査は新人の方に一度任せてみよう。ディトリッヒと相棒のソニアの手が空いていたはずだ。」
「わかった、二人に後で書類を届けるように手配しておこう。」
「よろしく頼む。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「え?俺とソニアが任務を?」
と驚いたように声を上げるのはディトリッヒ・ヴァ―ゲン。教会に所属して半年の新人司祭だ。
茶色い髪の毛が短すぎて逆立っているのを必死で撫でつけて抑えている。
「ええ、さっきレヴィレス様から指令所をいただいたばかりだもの。
今度はちゃんと標的に見つからないようにできるんでしょうね?」
とため息をつくのは相棒のソニア・ゴーマイン。
肩まである赤毛の毛先が跳ねている褐色肌の女性だ。
「わ、わかってるよ。流石になんどもヘマしないって!」
「じゃあ、今度はちゃんと任務がこなせるようにしてよね。」
「お、おう・・・。」
と一抹の不安を覚えながらも新人の二人は街へ繰り出すのであった。
6つの影が一人を円のように座って囲んでいる。
中心にいるのはピエロのように化粧を施した燕尾服を着ている。
『ドーラよ。何故、あの男に接触した。』
と影のうちの一人が言う。
ピエロの男・・・ドーラ・ゾルデナははて、と首を傾げて
「そんなに気に入りませんでしたか?彼の能力はとても素晴らしい!ぜひ我々としてもあの力は手に入れたいところではなかったのでしょうか。」
『そんなことを聞いているのではない!奴に接触するのは決まりではもっと後の話ではなかったのか!それをむざむざと貴重な実験体まで壊されよって!』
ドンと椅子の肘おきを叩く音がした。
「おお、怖い怖い。私は私のできるまでのことしただけですよ。遅かれ早かれあの実験体は司教か対魔師のどちらかに見つかっていたことでしょう。」
『それを隠して守り切るのが貴様の役目だったではないか!』
「思った以上にアレの成長速度は速くて隠し切れなかったのですよ。もう少し成長していれば壊した瞬間に半径1キロメートルに毒ガスを吹き出すまでに成長していたでしょうがね。」
『そんなことは聞いておらんぞ!貴様、我々を憚ったのか!』
「憚ったなど人聞きの悪い・・・聞かれなかったので答えなかったまでですよ。」
『なんだと!?』
と喧嘩腰になる一人をもう一人が手をあげて制する。
『ドーラよ、アレの危険性についてはもう一度要点をまとめて提出せよ。
しかし、何故あの男と接触したかを私は答えがほしい。』
「・・・本来、対魔師とは相棒の司教がいてからこその真の力を発揮すると言っても過言ではありません。いえ、ネフィレス全土ではそれが『当たり前』であると信じられてきました。
故に、二人一組という制度がいまだに残っているのです。
ですが、彼はその常識をものともせずに一人でアレを始末してみせた。危険性があるのはそうですが、なによりあの力があれば危険指定Sを抑えつけることができるのではないかとそう思います。」
『たしかに。危険指定Sは何よりも我々の計画に邪魔な存在だ。それを抑えることができるのならば使えるのには越したことはない。・・・だが、具体的にはどうするのだ。奴を捕らえることができるのか?』
「いえいえ、まさか。捕らえられないのならばこちらの首輪をつけてしまえばいいだけです。
幸いにも奴らをおびき出すための餌ならば豊富にありますからねェ。」
『・・・では、それについてはお前に任せよう。しかし無暗に実験体を浪費するのだけはやめるように。消費するならば結果を出したまえ。』
「はい、かしこまりました。」
『それでは、これで定例会を終えることとする。ガルバディアに叡智の祝福あれ。』
『『『『『『『ガルバディアに叡智の祝福あれ』』』』』』
と掛け声とともに6つの影は消える。
後に残ったのはドーラだけだった。
「・・・まったく、消費せずには無茶をおっしゃることだな。しかし、それを成し遂げてこそ私の信用の株も上がるというものだ。さて、それではとっておきの実験用具を用意するのに取り掛かろうか。」
とクックックと笑いながら背後のカーテンを引き上げる。
そこにあったのは巨大な水槽の中に浮かび上がる『メガイアス』の心臓だった。
「まだ成長段階ではあるが、無垢なる皮を使わずともいずれはバンフェルドへ進化することができる可能性を秘めたメガイアス達よ。お前たちが持つ、その獰猛な遺伝子を私に見せてくれ!!」
そのころ、教会ではシルヴァが報告書に埋もれていたのをレヴィが救出したところであった。
「悪い、この前の一件からずーっとひっきりなしに書類が回ってきてな。」
「・・・よほどお前を現場の方に回したくないんだろう。あのジジイたちは。」
「だよなぁ・・・・。明らかに多忙にさせてやるっていう強い意志が感じられるところだ。」
と黙々と書類を整理する手は緩めずに会話を続けていく
「レフィアに探らせている方の調査はどんな感じなんだ?」
「流石にまだ結果は出ねぇよ。けど、だいたいはレヴィが言ったとおりに噂話でしか情報が出てこないみたいだな。よほど慎重に行動している奴等らしい。」
「この街には少なくともそういったゴシップ記事に鼻の利く記者が何人もいたはずだ。そいつらさえも何も掴んでいないということはそういうことなんだろう。」
「だろうな。・・・っと、レヴィそこにある書類とってくれ。」
「ん、これだな。」
「ああ、ありがと・・・。ん?」
「どうかしたか?」
「いや、ここ最近スラムの子供たちの姿が少ないと思ったら。夜な夜な奇妙な笛の音が聞こえるっていう報告が上がってる。」
「笛の音・・・・?そんな異音がするなら俺が気づかないはずないんだが。」
「証言者も子供みたいだからな。大人には聞こえないらしい。」
「・・・それもなんだか怪しいな。」
「ああ、とりあえずこの調査は新人の方に一度任せてみよう。ディトリッヒと相棒のソニアの手が空いていたはずだ。」
「わかった、二人に後で書類を届けるように手配しておこう。」
「よろしく頼む。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「え?俺とソニアが任務を?」
と驚いたように声を上げるのはディトリッヒ・ヴァ―ゲン。教会に所属して半年の新人司祭だ。
茶色い髪の毛が短すぎて逆立っているのを必死で撫でつけて抑えている。
「ええ、さっきレヴィレス様から指令所をいただいたばかりだもの。
今度はちゃんと標的に見つからないようにできるんでしょうね?」
とため息をつくのは相棒のソニア・ゴーマイン。
肩まである赤毛の毛先が跳ねている褐色肌の女性だ。
「わ、わかってるよ。流石になんどもヘマしないって!」
「じゃあ、今度はちゃんと任務がこなせるようにしてよね。」
「お、おう・・・。」
と一抹の不安を覚えながらも新人の二人は街へ繰り出すのであった。
0
あなたにおすすめの小説
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる