1 / 1
壊れた脳
何気ない日常で出会う1人の女性と既婚彼との話
しおりを挟む
何気なく仕事をしていたある日のこと。ようやく仕事にも社会にも慣れてきた彼女は、いつも通り業務をこなしていた。定時に近づく時間帯に、転勤でやってきた1人の男性。彼を見るなり、彼女は凍りつく。どストライクだったからだ。見た目も声のトーンも居心地のいい。まるで夢の中にいるような感覚。そこから彼の事を特別視して見るようになった。一緒に仕事をするにつれて、言葉の選び方や働く姿勢、彼のキャラクターに惚れ、今までに抱いたことの無い感覚に陥る。だが、彼には家庭がある。妻がいる。子供がいる。現実問題セーブしなければならないというか、諦めないと行けない相手。だが、そんなある日、彼に飲み会に誘われる。夢のような時間をすごし、飲み会を終えてからも彼に惹かれていくばかり。嫌いになる要素がなかった。むしろ、酷く彼に惹かれていった。その日女性は彼と関係をもった。何かの間違い。私なんて相手にされるわけがない。そんなことを思っていたが、ズルズル関係は続き1年程関係をもった。初めは体からの関係。だが、そんな体の関係がなくなっても彼は女性を手放す事はなかった。時には仕事の愚痴を話、時には家庭の愚痴を話す。どんな関係なのかハッキリさせたい女性は何度も自分の立ち位置を確認するが曖昧な返しばかり。それでもよかった。彼といられたら。一般的な不倫の話かもしれない、だけど、自分と彼との関係は特別な関係、そう思いたかった。家庭での居場所がない、妻に毎日小言を言われる、自分が悪いのは分かっている、だけれど、居場所がないから帰りたくない。そんな弱ってる彼をみて、離婚して欲しいと心の声が漏れてしまった。こんなにも彼のことを幸せにする自信しかない私と一緒にいた方が絶対的に幸せである。彼の仕事の事情も分かってあげられるし、こんなにも愛しいと思える存在に出会えたのは初めてだから。だが、彼は離婚という話を聞いた途端顔色を変えた。離婚して欲しいと思うなら関係は続けられない。子供のこともある、世間体もある、そんな簡単には離婚なんてできないんだと。彼と離れるくらいなら自分の気持ちを犠牲にしてでも一緒にいる選択肢しかなかった。そこから時間が進み1年が経つ。気づいたら同棲をしていた。彼は単身赴任だったため、衣食住を共にした1年も経つと体の関係はもちろんなくなる。だが、それ以上に二人の関係性は良かった。スキンシップはしてくれる。大切にされている感じはする。そんな幸せな生活にもタイムリミットが訪れる。彼の転勤が決まったのだ。毎日がタイムリミット。転勤の日が近づくにつれていてもたっても居られない気持ちになる。毎日もがいた。毎日泣いた。けれど現実はそう甘くない。仕事が続き彼は帰ってこない日もあった。それでも待ち続けた。都合のいい関係?それでもいい。彼と一緒に居られるならなんだっていい。そう思いながら引越しの準備をし、気づいたら転勤先へ着いてきてしまっていた。なにしてるんだろう。何度も思ったが、後悔などしていない。むしろこの関係に後悔したことなど1度もない。彼と出会ってから毎日が充実していた。こんなにも人を好きになることがあるなんて。こんなにも愛しいと思える人に出会えることがあるなんて、想像もしていなかった。傍から見たらタダの不倫関係の二人かもしれない。けど、自分の中では違う。そう思いながらどんどん脳は麻痺していく。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た
しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。
学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。
彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。
そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
好きな人と結婚出来ない俺に、姉が言った
しがついつか
恋愛
グレイキャット伯爵家の嫡男ジョージには、平民の恋人がいた。
彼女を妻にしたいと訴えるも、身分の差を理由に両親から反対される。
両親は彼の婚約者を選定中であった。
伯爵家を継ぐのだ。
伴侶が貴族の作法を知らない者では話にならない。
平民は諦めろ。
貴族らしく政略結婚を受け入れろ。
好きな人と結ばれない現実に憤る彼に、姉は言った。
「――で、彼女と結婚するために貴方はこれから何をするつもりなの?」
待ってるだけでは何も手に入らないのだから。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
白椿の咲く日~遠い日の約束
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに姉の稚子(わかこ)と会う。真由子の母、雪江は妻を亡くした水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。実之には俊之、稚子、靖之の三人の子がいた。
稚子と話をしているうちに、真由子は雪江と庭の白椿の木に、何か関係があることに気がつき……
大人の恋物語です。
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
冬薔薇の謀りごと
ono
恋愛
シャルロッテは婚約者である王太子サイモンから謝罪を受ける。
サイモンは平民のパン職人の娘ミーテと恋に落ち、シャルロッテとの婚約破棄を望んだのだった。
そしてシャルロッテは彼の話を聞いて「誰も傷つかない完璧な婚約破棄」を実現するために協力を申し出る。
冷徹で有能なジェレミア公爵やミーテも巻き込み、それぞれが幸せを掴むまで。
ざまぁ・断罪はありません。すっきりハッピーエンドです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる