この世界の魔法は全ての人々を幸せにできるほど万能ではなかった

０話 始まり

魔法とは……人知を超えた不思議の力。人を幸せにする事も出来れば不幸にする事に出来る。そう言われている。だけど私はそう思わない。魔法は、この人の手に余る強大な力は、人を不幸にする事しか出来ない。こう思うのは世界中で私だけかもしれない。でも、私は“あの人”の為に魔法を行使する。



淡く光る粒子に包まれる少女は呟く――



「これで最後……。今度こそ、助けてみせる」







「よっし！ これで100連勝達成！ そろそろ昼飯でも買って来るか」



俺は PCの電源を落とし、着替えてコンビニに向かう。



俺の名前は流川涼人るかわすずと。16歳童貞。最終学歴中学卒業。趣味ネットサーフィン、モデルガンいじり。ニートやってます。母は俺が子供の頃に病死、父は14年程前に俺と姉を祖父母の家に預けてどこかへ行ってしまった。姉は2年前に寮がある高校に進学したのでしばらく会っていない。ニートな俺に2人は何も言って来ないので多少の罪悪感を覚えながらも自堕落に生活させて貰ってる



昼飯を買ったコンビニの帰り道。荷物で少し膨らんだビニール袋を片手に見慣れた道を歩く。



「はぁ……。家、遠いなぁ。俺の家の向かいにコンビニ出来ないかなぁ」



家に着いた時、玄関に厳つい男がいた。



「あの……、すみません。家に何か用ですか？」



「あなたは、流川涼人るかわすずとさんですね？」



「え？ あ、はい。そうですけど……。どうして俺の名前を？」



俺はこの言葉を最後に意識を失った。