繰り返しのその先は

みなせ

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第25話 神の世界 5

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 ひらひら ひらひら


 神の力が降り注ぐ。


 ひらひら ひらひら


 隣の世界に近づくようにと、神は世界に力を使う。


 光は優しく世界を照らし、雨はしっとりと降りそそぐ。
 風は鳥を、水は魚を、炎は獣を作りだし、大地を覆う緑はますます深くなり、より多くの実りをもたらした。

 ひらひら ひらひら

 神が力を使うたび、世界は豊かになっていく。



 自らの世界の広がりに気持ちよくなった神はさらに力をあふれさせた。


 それは、そこに生きる二人にも与えられた。

 ひらひら ひらひら

 隣の世界に生きるものたちと同じように、男の言う幸せを感じられるようにと与えられたのは、知恵だった。

 野を駆け回るばかりだった二人が、生き物から人になった。

 お互いの違いを知り、ただ生きるばかりの生活をやめ、互いを支えあうようになった。

 そして新しい命を生み出した。


 たった二人で乗り越えた痛みの後、笑顔で新しい命を抱きしめている。

 それはまるで隣の世界そのものだった。



―――そういえば前の世界でも、新しい命の誕生は喜ばれていたな。



 神は、奪い合う世界で見た穏やかな喜びを思い出した。



 ひらひら ひらひら

 神は自然と新しい命に今までとは違う力を使った。


 ―――苦しまないように。
 ―――悲しまないように。
 ―――傷つかぬように。
 ―――飢えぬように。


 男が言ったからではない。




 それは、初めて命に対して生まれた神の願いだった。





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