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2.真実とは
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「殿下!」
「貴様、殿下に毒を飲ませたのか!」
あら、殿下の護衛とはいえ仮にも公爵令嬢に向かって、その態度は無いのではなくて。
「ううっ……」
苦しそうな殿下。もうすぐ楽になりますからね。
これで殿下はわたくしのものです。
わたくしの体にも変化が。
まばゆい光を放つ。
まあ光るだけなのですけれど。
「こ、これは? どういうことだ?」
殿下は自分の体を見ながら不思議そうに呟く。
「殿下! わたくしを欺けるとお思いでしたか?」
「ど、どういう事だ?」
「殿下があの娘に気持ちが無い事ぐらい直ぐに分かりました」
「!?」
殿下のタイプは守りたくなる女性では無く共に歩いて行ける相手。
そう、わたくしの様な女性であると分かっていますから。
「わたくしを遠ざけるため。今後わたくしが結婚しやすい様に、わざと悪役を演じてくださったのではないでしょうか?」
王太子が自らの都合で公爵令嬢との婚約を破棄した。
そうなればわたくしには非はない。
むしろ勝手な都合で婚約破棄された可哀想な女性と周りには映る。
そういう配慮の下だったのだろう。
そう決してわたくしの事が嫌いになったという事では無いはず。
では、何故そのような事をしたのでしょうか。
「殿下の体調が優れないのは薄々感じていました」
「!?」
「それが治らないものであるという事も」
「き、気付いていたのか……」
殿下の顔が申し訳なさそうに歪む。
「わたくしを心配させない様にと隠しておられたのですね」
「すまぬ、君に心配を掛けたくなかったのだ」
色々と苦悩があったのでしょう。
「殿下に飲んでいただいた果実酒に毒は入ってはおりません」
「そうか……」
殿下は複雑そうな顔をする。
「むしろ毒でも良かったのだがな。君の前で最後を迎えられるのならば……」
「殿下に飲んでいただいたものは薬です」
「薬?」
「はい。わたくしの父が持たせてくれた秘伝の薬です」
もしもの時の為に肌身離さず持っていろと言われていた。
健常者が飲んでも身体が光るだけだけれど。
「ま、まさか」
「はい。殿下のご病気は治っているばずです」
「そんな事が。しかし……宮廷医師たちを呼べ!」
王家でも手に入らない薬をわたくしの父が持っているのも不思議ではあるけれど父には感謝したい。
その後、殿下を診た宮廷医師たちは驚き、信じられないと騒いでいた。
「間違いありません。殿下の体調は完全に快復されました!」
宮廷医師たちの結論は出た様だ。
効果があって良かった。
「殿下、ご快復おめでとうございます」
わたくしは満面の笑みで気持ちを伝える。
「ああ、ありがとう君のお陰だ」
「いえ、お元気になられて良かったですわ」
顔色も良いのでもう大丈夫だろう。
「我々も感謝を。疑って申し訳ありませんでした」
護衛の人達も謝ってきた。
「いえ、お気になさらず。護衛として主を思うのは当然の事です」
護衛達はわたくしに跪く。
「ご配慮感謝いたします。殿下の事をこれからもよろしくお願いいたします」
「はい」
殿下の事を一番分かっているのも一番愛しているのも、わたくしだと自負しております。
「アイラ、これからも私を支えて欲しい。私の妃は君しかいない。結婚してくれ」
「ふふ、もちろんですわ殿下。わたくしは殿下の婚約者なのですから」
わたくしは殿下の愛と家臣の信頼を手に入れた。
「貴様、殿下に毒を飲ませたのか!」
あら、殿下の護衛とはいえ仮にも公爵令嬢に向かって、その態度は無いのではなくて。
「ううっ……」
苦しそうな殿下。もうすぐ楽になりますからね。
これで殿下はわたくしのものです。
わたくしの体にも変化が。
まばゆい光を放つ。
まあ光るだけなのですけれど。
「こ、これは? どういうことだ?」
殿下は自分の体を見ながら不思議そうに呟く。
「殿下! わたくしを欺けるとお思いでしたか?」
「ど、どういう事だ?」
「殿下があの娘に気持ちが無い事ぐらい直ぐに分かりました」
「!?」
殿下のタイプは守りたくなる女性では無く共に歩いて行ける相手。
そう、わたくしの様な女性であると分かっていますから。
「わたくしを遠ざけるため。今後わたくしが結婚しやすい様に、わざと悪役を演じてくださったのではないでしょうか?」
王太子が自らの都合で公爵令嬢との婚約を破棄した。
そうなればわたくしには非はない。
むしろ勝手な都合で婚約破棄された可哀想な女性と周りには映る。
そういう配慮の下だったのだろう。
そう決してわたくしの事が嫌いになったという事では無いはず。
では、何故そのような事をしたのでしょうか。
「殿下の体調が優れないのは薄々感じていました」
「!?」
「それが治らないものであるという事も」
「き、気付いていたのか……」
殿下の顔が申し訳なさそうに歪む。
「わたくしを心配させない様にと隠しておられたのですね」
「すまぬ、君に心配を掛けたくなかったのだ」
色々と苦悩があったのでしょう。
「殿下に飲んでいただいた果実酒に毒は入ってはおりません」
「そうか……」
殿下は複雑そうな顔をする。
「むしろ毒でも良かったのだがな。君の前で最後を迎えられるのならば……」
「殿下に飲んでいただいたものは薬です」
「薬?」
「はい。わたくしの父が持たせてくれた秘伝の薬です」
もしもの時の為に肌身離さず持っていろと言われていた。
健常者が飲んでも身体が光るだけだけれど。
「ま、まさか」
「はい。殿下のご病気は治っているばずです」
「そんな事が。しかし……宮廷医師たちを呼べ!」
王家でも手に入らない薬をわたくしの父が持っているのも不思議ではあるけれど父には感謝したい。
その後、殿下を診た宮廷医師たちは驚き、信じられないと騒いでいた。
「間違いありません。殿下の体調は完全に快復されました!」
宮廷医師たちの結論は出た様だ。
効果があって良かった。
「殿下、ご快復おめでとうございます」
わたくしは満面の笑みで気持ちを伝える。
「ああ、ありがとう君のお陰だ」
「いえ、お元気になられて良かったですわ」
顔色も良いのでもう大丈夫だろう。
「我々も感謝を。疑って申し訳ありませんでした」
護衛の人達も謝ってきた。
「いえ、お気になさらず。護衛として主を思うのは当然の事です」
護衛達はわたくしに跪く。
「ご配慮感謝いたします。殿下の事をこれからもよろしくお願いいたします」
「はい」
殿下の事を一番分かっているのも一番愛しているのも、わたくしだと自負しております。
「アイラ、これからも私を支えて欲しい。私の妃は君しかいない。結婚してくれ」
「ふふ、もちろんですわ殿下。わたくしは殿下の婚約者なのですから」
わたくしは殿下の愛と家臣の信頼を手に入れた。
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