ヘタレ転移者 ~孤児院を救うために冒険者をしていたら何故か領地経営をすることになったので、嫁たちとスローライフを送るためにも頑張ります~

茶山大地

文字の大きさ
20 / 317
第二章 ヘタレ冒険者

第四話 哺乳瓶騒動

しおりを挟む
 今、俺とエリナさんは孤児院のリビングで正座をしています。


「良いですか? 兄さまと姉さまが稼いだお金だから別にどう使おうと構わないんです。でもですね、無駄遣いはしちゃ駄目っていつも言っているじゃないですか!」

「でもねクレア、ミコトちゃんが喜びそうだなーって思ったらついね」

「姉さま!」

「ごめんなさい」


 玩具を背負い籠いっぱいに買って、ドヤ顔で帰ったらクレアさんが滅茶苦茶お怒りになられました。
 たしか俺の想像では、「兄さま! 最高の玩具をありがとうございます!」 とクレアさんにお喜び頂けるはずだったのですが。


「姉さまも姉さまですよ。私言いましたよね? 兄さまは暴走するからしっかり気を付けてくださいと」

「委員長、むしろエリナさんの方が暴走していました」

「兄さま!」

「すみません」


 俺達は今、クレアさんに籠の中身を取り出されながら、一つ一つ物的証拠を突き付けられています。
 先程から一生懸命ご説明申し上げているのですが、こちらの言い分を一切聞いて頂けません。
 孤児院の他の皆様は、俺達から距離を取ってミコトさんと遊んでいらっしゃるようです。
 こちらを一切見ようともしません。
 無視しないで助けてください。


「こんなに......しかも良く見たら同じ玩具もあるじゃないですか!」

「それ色違いなの。ミコトちゃんは何色が好きかなーって流れで」

「姉さま!」

「ごめんなさい」


 ガサガサと持ち物検査をする委員長。ヤバいです。
 籠の下の方に行く程、高額商品になっていきます。

 先程から椅子に乗って籠の中に上半身を突っ込んで玩具を取り出してるクレアさんに、「パンツ見えてます」と言ったら殺されてしまうと思いますので、言わずにそっと目を背けます。

 そういえば最近は安定して稼げるようになったので、前にエリナさんが「女の子はおしゃれしなくちゃ」と、女子チームの皆さんに服を何度かプレゼントしていました。
 下着までちゃんと買ってあげていたのですね。
 ゴムを使った日本にあってもおかしくないようなデザインで、多分庶民にはちょっとお高そうなパンツです。
 エリナさんはアホですけれど、普段は弟妹達には凄く優しい良い姉なのです。


「あっ! 二歳児用とか三歳児用とかも買い込んでます!」

「ミコトさんは賢いから一歳児用だとすぐ飽きちゃうかなと思いまして」

「兄さま!」

「すみません」

「私がこれからミコトちゃん用の玩具を選びます。残りは野菜売りのおばさまの家に差し上げて来て下さい。貰い乳でお世話になりますし、あの家には丁度二歳の子と五ヶ月の子がいますから。良いですね!?」

「「わかりました」」

「それと明らかに高額っぽい箱入りの玩具は開けないでおくのでそのまま返品してきてください。どうみても貴族用じゃないですか」

「......返品ですか?」

「そうですけど? 兄さまそれが何か?」

「何でもございません」

「今後は絶対無駄遣いはしちゃ駄目ですよ! 碌な大人になりませんからね!」

「「申し訳ありませんでした」」


 お金の使い方を学ばなければいけないのはガキんちょさん達ではなく、まずは俺達でした。

 更に籠の一番底には、ヤバいブツが入っています。
 貴族用の玩具が出てきたのでそろそろクレアさんに見つかってしまいます。
 手持ちのお金じゃ足りなくて、わざわざ冒険者ギルドに行ってお金を下してきて買った超高額商品です。

 俺の隣で正座をしてるエリナさんは、クレアさんのパンツの色のような真っ青な顔でぷるぷる震え出しました。
 全く役に立たない妹で、兄としてはとても悲しく思いました。

 見つかる前に自白したほうが罪が軽くなるかもしれないと思った俺は、椅子に乗ってほぼパンツ丸出し状態でぶつぶつ文句を仰りながら、玩具を籠の底の方から取り出しているクレアさんに、勇気を出して自白することに致しました。
 もちろんパンツのことは指摘しません。怖いので。


「あの、すみませんクレアさん」

「何ですか兄さま」


 籠の中から上半身を出し、まるでゴミを見るような視線を向けるクレアさん。
 怖いです。でも頑張ります。


「哺乳瓶という非常に素晴らしいアイテムを買ったのですが」

「中に母乳を入れて赤ちゃんにお乳を飲ませる道具の事ですね」

「毎回おばちゃんに来てもらうのも悪いので、朝と夕方の二回、エリナさんに母乳を貰いに行かせれば良いかなーと考えて買った物なのです。ゴムとガラスを使ってるのでちょっとだけ高価だったのですが、それだけはお許し頂けないでしょうか」

「そういうちゃんとした考えをする時の兄さまは、とても頼り甲斐があって好きですよ。でも暴走癖とか変な事を言う癖は治してくださいね」

「ありがとうございます。肝に銘じます」


 やりました成功です。
 いつもの可愛らしい妹に戻ってにっこり微笑んでくれました。
 やはりミコトさんに授乳できるという事で喜んで頂けたのでしょう。


「で、何個買ったんですか?」

「......個です」

「はい?」

「十個です」

「兄さま!!!!!」


 結局哺乳瓶は、孤児院で二個、おばちゃんの家に二個プレゼントして、残りは貴族用の玩具と一緒に返品してこいと怒鳴られた俺は泣きながらお店に行き、エリナも半泣き状態で、哺乳瓶とクレアが選ばなかった玩具をおばちゃんの家に届けに行きました。


「お兄ちゃん、怒られちゃったね」

「まぁ玩具売り場でテンション上がったまま、哺乳瓶見せられて、今ここにあるだけ持ってこいとか言っちゃったしな。無事返品を受け付けてくれたから良かったけど」

「私も、これでミコトちゃんにごはんをあげられる! って事だけ考えちゃってたからあまり深く考えられなかったよ」

「ミコトが母乳を飲む姿を想像したら、普通は舞い上がっちゃうよな」

「うんうん!」

「ミコトが喜ぶ玩具をどっちが見つけられるか勝負しようぜ! とか言い出したあたりからおかしくなったな」

「そうだねー、完全にあれからだねー」


 クレアから命令されたミッションを無事遂行した俺達は台所で晩飯づくりだ。
 エリナが具だくさんスープを作り、俺はハンバーグを焼くだけ。
 付け合わせは無し。
 手早く作れる献立で、なんとかお説教タイムがあった後でもいつもの時間帯には食事が提供できそうだ。
 ちなみに食事当番というのは、単に食材のお金を出す順番の事である。


「おばさんに玩具と哺乳瓶を渡したらすごく喜んでくれたよ」

「無駄にならなくて良かったよ。返品をお願いするのってヘタレには辛いから。貴族用の玩具と哺乳瓶は向こうも多分返品してくるんじゃないかと思ってたって言ってくれたけど。未開封だったしすんなり返品対応してくれて助かった」

「本当に十個も買うんですか? って店員さんも言ってたしね」

「一個銀貨八枚もしたからな。クレアには内緒だぞ」

「うん、もちろん」

「でも早速今日の夕方と夜の二回分の貰い乳を哺乳瓶でカバー出来て良かったな」

「クレアも哺乳瓶使ってミコトちゃんのごはんをあげられるし、凄く喜んでくれると思うよ」

「ミコトに哺乳瓶で母乳を飲ませるのはクレアに任せろよ。特に最初の内は」

「うん。怒りが収まった頃を見計らって、ちょっとやらせてってお願いするよ」

「その方が良い。あいつキレると怖いから。普段はめっちゃ優しいし良く気が付く良い子なんだけどな。その分ギャップがヤバい」


 料理が完成し、リビングへ運ぶ。
 メニューがハンバーグだと知ったガキんちょ共は大騒ぎだ。


「えー、皆さま。お食事の用意が出来ました」

「兄ちゃんがまた変な事言い出した」

「違います一号さん。反省しているだけです」

「返品から帰ってきたら元に戻ってたのに......。また兄さまが......」

「では皆さま、お召し上がりください」

「「「いただきまーす」」」

「そろそろ誰か文字でこの挨拶を書き起こしてくれよ。毎回気になるんだよ」

「おにーさん、ちーずはんばーぐおいしーよー」

「ミリィは食事の時以外にも俺に絡んで来いよ。あと明日の昼はハムサンドとか食パン使ったメニューにするから、おやつにラスク作っておくぞラスク」

「わー! らすくすきー!」

「声張れるんか。パンの耳も単体で買ってきたから大量に作っておくからな」

「おにーさんだいすきー」


 いやまて、いずれガキんちょ共が社会に出るだろ?
 その時、同僚なり友人に「好きなお菓子って何?」「ラスク!」「あの四角の形をした奴ね」「え、パンの耳だよ?」「ぷげら」ってなるじゃないか!

 イカン。虐められる。ぷげらされたら人生終わってしまう。


「なあミリィ、お前の好きなお菓子って何?」

「らすくー」

「エリナーー!!」

「なぁにお兄ちゃん。またいつもの発作?」


 俺に呼ばれたエリナがぽてぽてと俺の側に寄ってくる。


「お前好きなお菓子は何?」

「ラスク」

「それを外で他の人に喋った事あるか?」

「んー、無いかな?」

「よし、じゃあ好きなお菓子は何ですかと聞かれたら、ケーゼクーヘンとキルシュザーネトルテと答えろ」

「けーぜくーへん? きるしゅざーねとるて?」

「チーズケーキとさくらんぼのショートケーキだ。ドイツ語で言うと、良くわからないけど語感で高級感がさらに増すぞ。ボールペンなんかクーゲルシュライバーって言うんだぞ。百円ショップで五本入りで売られててもクーゲルシュライバーだ。一本で二千円くらいしそうな名前なのに五本も入って百円なんだぞ。凄いだろ」

「ケーキかー、聞いたことあるけど食べたこと無いなぁ」

「いいか? ガキんちょ共が将来社会に出た時に、良い物を食わせてないとぷげらされちゃうんだぞ」

「ぷげら?」

「ぷげらされちゃうと人生終わっちゃうんだぞ。お兄ちゃんなんか動画流出して拡散されたんだぞ。日本国内で動画視聴者が一%だとしても百二十万人。動画まとめサイトとかに纏められちゃったら更にぷげらされちゃってることになるんだ。恐ろし過ぎるだろ、人生終わっちゃうんだぞ。お兄ちゃんはその前に人生終わってたけど」

「お兄ちゃん、何を言ってるか全然わからないよ。緊急事態だから魔法を使うね<治癒>!」

「いやいや、病気じゃないって。俺じゃなくてマジで孤児院が緊急事態なんだって。ぷげらだけはヤバいんだって。人生終わっちゃうんだって」

「もうお兄ちゃんったら」


 あぐらで座って、ぷげらされる恐ろしさを必死で説明する俺の頭をエリナは優しく抱きしめてきた。


「はいはい、お兄ちゃん落ち着いて。お兄ちゃんは良い子ですねー」


 エリナに頭をなでられていると落ち着いて来た。
 そういえば最近はちょっと柔らかくなったかな?
 エリナもちゃんと成長してるんだなぁ。
 あ、なんか和んだ。


「ありがとうエリナ、お兄ちゃんちょっと危機的状況で焦ってた」

「で、落ち着いたところで結局何が言いたいの?」

「つまりだ、明日はダッシュエミューを狩れるかの調査が終わったら、ケーキ買いに行くぞケーキ」

「ケーキ? なんで?」

「ケーキを食べないとぷげらされちゃうから。俺はケーキなんて作ったことないし、せいぜい前にこいつらに作ったクッキーとかドーナツ位しかレパートリーが無いし」

「よくわかんないけど、みんなにケーキを食べさせたいって事でいいのね?」

「そうそう流石エリナ。ケーキを売ってる場所はわかるか?」

「大体わかるよ。じゃあ明日は西の平原ね」

「おう」

「エリナ姉ちゃんすげぇな」

「姉さま流石ですね」

「どうアラン、クレア。お兄ちゃんの事なら私に任せて!」

「そういやクレアはミコトに飯食わせたのか?」

「ええ兄さま! ミコトちゃんとっても可愛かったです! 哺乳瓶をありがとうございます! とっても素敵な道具ですね!」

「あと夜に一回飲ませるんだっけ?」

「ええ、二十時頃の予定ですね」

「その時見せて貰っていいか?」

「はい! 一生懸命ちゅーちゅーするミコトちゃんは可愛いですよ!」

「クレア! 私も見たい!」

「ええ、姉さまも是非見てください。ミコトちゃん凄く可愛いんですから!」


 これミコトを出汁にすれば、クレアの怒りを解くのって簡単なんじゃないだろうか?
 いや待て、クレアは賢い子だ。
 アホなエリナと同じように考えたらまた怒られてしまう。


「エリナは朝と夕方におばちゃんの所に行く時はちゃんと防御魔法を使って行くんだぞ」

「はーい!」

「兄さまは本当に心配性ですね。姉さまなら大丈夫......、では無いので、正常な時の兄さまの言う事をちゃんと聞いてくださいね、姉さま」

「うん!」


 しまった藪蛇だった。
 しかも正常な時って......。
 クレアからの信頼度がまた下がってるじゃないか。

 まあゆっくり信頼回復していこう。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった

ぐうのすけ
ファンタジー
無才・貧乏・底辺高校生の稲生アキラ(イナセアキラ)にゲームの悪役貴族が憑依した。 悪役貴族がアキラに話しかける。 「そうか、お前、魂の片割れだな? はははははは!喜べ!魂が1つになれば強さも、女も、名声も思うがままだ!」 アキラは悪役貴族を警戒するがあらゆる事件を通してお互いの境遇を知り、魂が融合し力を手に入れていく。 ある時はモンスターを無双し、ある時は配信で人気を得て、ヒロインとパーティーを組み、アキラの人生は好転し、自分の人生を切り開いていく。

処理中です...