221 / 317
第十章 ヘタレ異文化交流
第九話 物産展 亜人国家連合の場合
しおりを挟む
超音速魔導ミサイルの量産許可を出した明朝に、三両の超音速魔導ミサイル搭載車両の配備が済んだという報告を受けた。
仕事が早すぎるというか、許可が出る事前提で動いてるだろ……。
そんな報告を受けた朝、弁当の製造と販売はすでに職員に委託しているため、いつもならゆっくり朝食を食べている時間なのだが、以前領主会議で議題に上がっていた亜人国家連合とエルフ王国のアンテナショップが開店し、各国の特産品を集めた物産展を今日から大々的に行うというので、朝食もそこで食べようということになった。
今日は休日で野球の試合も無いため、ガキんちょどもはいくつかのグループに分かれて物産展に行くようだ。
ならちょうどいいと、朝飯とついでに昼飯も現地で食べるようにとすでに小遣いを渡してある。
「ご主人様っ! 早く行きましょう!」
サクラはぶんぶんと尻尾を振りながら早く早くと俺の腕を引っ張る。
すでにガキんちょどもやエリナたちも物産展へと行ってしまった後だ、ここには俺とサクラしか残っていない。
「わかったわかった」
「ご主人様にお勧めしたいものがいっぱいあるんです!」
数日前から亜人国家連合のアンテナショップに泊まり込んで物産展の準備をしていたのでかなりの張り切りようだ。
逃げられるとでも思っているのか、サクラにガッチリと腕を掴まれて孤児院を出る。
「でもさ、亜人国家連合の食べ物や工芸品なんかはすでにかなりの種類が入ってきてるだろ? 目新しい物なんてあるかな?」
「わんわんっ! ありますよっ! ご主人様でも見たことが無いような凄いものが沢山あるんです!」
眼をキラキラと輝かせながらサクラは物産展のアピールをしてくる。
自分の国をアピールする絶好の場だしな。
「わかった。楽しみにしてるよサクラ」
「わふわふっ! 楽しみにしててくださいねっ!」
サクラは尻尾がちぎれるんじゃないかと思うほどぶんぶんと振りながら、より俺にしがみついてくる。
まだまだガキんちょだな。と思いながらそのままサクラと腕を組んだ状態でてくてくと市場に向かう。
城壁拡張に合わせて区画が広げられ拡張された市場エリアは、ファルケンブルクの商店や露店などが並ぶ区画と、亜人国家連合の商店が並ぶ区画、エルフ王国の商店が並ぶ区画と区割りされている。
まだまだ区画に余裕はあるけどな。
「休日ともなるとかなりの人出だな」
「そうですねっ!」
市場の区画に入ると、早朝にもかかわらずかなりの人でごった返していた。
いや早朝だから混むのか?
ファルケンブルクの区画なのでなじみの店も多い。そういや今日の晩飯の材料をついでに買うかといつもの店を覗いてみるが、野菜売りのおばちゃんの店も肉屋の親父の店も大盛況だ。
声を掛けようかと思ったが滅茶苦茶忙しそうなので、あとで寄るか。
「そういえば亜人国家連合の景気って良くなってるのか?」
「はいっ! 亜人国家連合で算出される鉱石を高く買ってもらえますし、高級米やファルケンブルクでは育たない農産物なんかが売れてますしねっ!」
「なら良かった」
「輸入される魔石や魔導具も、ファルケンブルクで買うのとあまり変わらない値段で買えるので助かってるようですよっ!」
だがこれはアイリーンが亜人国家に対して優しいから考慮したとは言い切れないのだ。
魔導具と、魔導具を動かすために必要な魔石。
多少の利益に目をつぶっても、魔石の産出が少ない亜人国家連合に魔導具への依存度を高めてしまえば、亜人国家連合の首根っこをファルケンブルクが掴むということになりはしないだろうか?
まさかな……。
「魔導具が便利だからってあまり依存しないようになサクラ」
「? はい。でも魔導炊飯器で炊いたご飯がすごく美味しいって犬人国では大人気なんですよっ! すぐに他の国に広がると思いますっ!」
「遅かったか……」
「あっ! ご主人様っ! 着きましたよっ!」
いつの間にか亜人国家連合の区画にたどり着いたようだ。
サクラが指さす方向を見ると……。
「あのさ……」
「どうですかっ? 珍しいでしょ? おでんとか美味しいですし、こけしも可愛いですよねっ!」
「昭和かな?」
「しょーわ?」
「センスがな。でもたしかにおでんとか饅頭は美味そうだ。おっ! 牛すじ豆腐! 豆腐はファルケンブルクじゃ食べられなかったんだよな!」
「ご主人様から教わった充填豆腐を持ってきたんですよっ!」
「おお、実用化したのか」
「技術者の派遣や開発資金の協力もしてもらいましたからねっ!」
「そうか、今後はアンテナショップで豆腐が買えるのか、ありがたいな」
「ですですっ! いっぱい買ってくださいねっ!」
「おう、毎日買っても良いな。和食はもちろんマーボー豆腐とか中華料理にも使えるし」
「ぜひ味をみてくださいっ!」
そう言ってサクラが俺をフードコートと化している場所に連れて行き席に座らせると、煮売りの屋台から牛すじ豆腐を持って来る。
豆腐か、久々だな。
一緒に渡された割り箸をパキっと割り、早速牛すじ豆腐を口に入れてみる。
「美味いぞサクラ! いやー豆腐を食べるの久々だけどやっぱり美味いな!」
「良かったですっ! おでんはどうですかっ?」
「練り物もちゃんとあるのか、大根やロールキャベツ、玉子なんかのおでんは作ったことあるが練り物が無かったんだよな」
「じゃあ持ってきますねっ!」
昔、差別されていた亜人を連れて独立国家の成立に協力したのが日本人の<転移者>って話だから、亜人国家連合は日本文化が珍重されているってのは知ってたけどまさかここまで影響されていたとはな。
こけしとか意味不明すぎる。風鈴とか金魚の入った金魚鉢なんてガラス製品まであるし。
どうせなら魔石を使った携帯ゲーム機とか作ればよかったのに。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
仕事が早すぎるというか、許可が出る事前提で動いてるだろ……。
そんな報告を受けた朝、弁当の製造と販売はすでに職員に委託しているため、いつもならゆっくり朝食を食べている時間なのだが、以前領主会議で議題に上がっていた亜人国家連合とエルフ王国のアンテナショップが開店し、各国の特産品を集めた物産展を今日から大々的に行うというので、朝食もそこで食べようということになった。
今日は休日で野球の試合も無いため、ガキんちょどもはいくつかのグループに分かれて物産展に行くようだ。
ならちょうどいいと、朝飯とついでに昼飯も現地で食べるようにとすでに小遣いを渡してある。
「ご主人様っ! 早く行きましょう!」
サクラはぶんぶんと尻尾を振りながら早く早くと俺の腕を引っ張る。
すでにガキんちょどもやエリナたちも物産展へと行ってしまった後だ、ここには俺とサクラしか残っていない。
「わかったわかった」
「ご主人様にお勧めしたいものがいっぱいあるんです!」
数日前から亜人国家連合のアンテナショップに泊まり込んで物産展の準備をしていたのでかなりの張り切りようだ。
逃げられるとでも思っているのか、サクラにガッチリと腕を掴まれて孤児院を出る。
「でもさ、亜人国家連合の食べ物や工芸品なんかはすでにかなりの種類が入ってきてるだろ? 目新しい物なんてあるかな?」
「わんわんっ! ありますよっ! ご主人様でも見たことが無いような凄いものが沢山あるんです!」
眼をキラキラと輝かせながらサクラは物産展のアピールをしてくる。
自分の国をアピールする絶好の場だしな。
「わかった。楽しみにしてるよサクラ」
「わふわふっ! 楽しみにしててくださいねっ!」
サクラは尻尾がちぎれるんじゃないかと思うほどぶんぶんと振りながら、より俺にしがみついてくる。
まだまだガキんちょだな。と思いながらそのままサクラと腕を組んだ状態でてくてくと市場に向かう。
城壁拡張に合わせて区画が広げられ拡張された市場エリアは、ファルケンブルクの商店や露店などが並ぶ区画と、亜人国家連合の商店が並ぶ区画、エルフ王国の商店が並ぶ区画と区割りされている。
まだまだ区画に余裕はあるけどな。
「休日ともなるとかなりの人出だな」
「そうですねっ!」
市場の区画に入ると、早朝にもかかわらずかなりの人でごった返していた。
いや早朝だから混むのか?
ファルケンブルクの区画なのでなじみの店も多い。そういや今日の晩飯の材料をついでに買うかといつもの店を覗いてみるが、野菜売りのおばちゃんの店も肉屋の親父の店も大盛況だ。
声を掛けようかと思ったが滅茶苦茶忙しそうなので、あとで寄るか。
「そういえば亜人国家連合の景気って良くなってるのか?」
「はいっ! 亜人国家連合で算出される鉱石を高く買ってもらえますし、高級米やファルケンブルクでは育たない農産物なんかが売れてますしねっ!」
「なら良かった」
「輸入される魔石や魔導具も、ファルケンブルクで買うのとあまり変わらない値段で買えるので助かってるようですよっ!」
だがこれはアイリーンが亜人国家に対して優しいから考慮したとは言い切れないのだ。
魔導具と、魔導具を動かすために必要な魔石。
多少の利益に目をつぶっても、魔石の産出が少ない亜人国家連合に魔導具への依存度を高めてしまえば、亜人国家連合の首根っこをファルケンブルクが掴むということになりはしないだろうか?
まさかな……。
「魔導具が便利だからってあまり依存しないようになサクラ」
「? はい。でも魔導炊飯器で炊いたご飯がすごく美味しいって犬人国では大人気なんですよっ! すぐに他の国に広がると思いますっ!」
「遅かったか……」
「あっ! ご主人様っ! 着きましたよっ!」
いつの間にか亜人国家連合の区画にたどり着いたようだ。
サクラが指さす方向を見ると……。
「あのさ……」
「どうですかっ? 珍しいでしょ? おでんとか美味しいですし、こけしも可愛いですよねっ!」
「昭和かな?」
「しょーわ?」
「センスがな。でもたしかにおでんとか饅頭は美味そうだ。おっ! 牛すじ豆腐! 豆腐はファルケンブルクじゃ食べられなかったんだよな!」
「ご主人様から教わった充填豆腐を持ってきたんですよっ!」
「おお、実用化したのか」
「技術者の派遣や開発資金の協力もしてもらいましたからねっ!」
「そうか、今後はアンテナショップで豆腐が買えるのか、ありがたいな」
「ですですっ! いっぱい買ってくださいねっ!」
「おう、毎日買っても良いな。和食はもちろんマーボー豆腐とか中華料理にも使えるし」
「ぜひ味をみてくださいっ!」
そう言ってサクラが俺をフードコートと化している場所に連れて行き席に座らせると、煮売りの屋台から牛すじ豆腐を持って来る。
豆腐か、久々だな。
一緒に渡された割り箸をパキっと割り、早速牛すじ豆腐を口に入れてみる。
「美味いぞサクラ! いやー豆腐を食べるの久々だけどやっぱり美味いな!」
「良かったですっ! おでんはどうですかっ?」
「練り物もちゃんとあるのか、大根やロールキャベツ、玉子なんかのおでんは作ったことあるが練り物が無かったんだよな」
「じゃあ持ってきますねっ!」
昔、差別されていた亜人を連れて独立国家の成立に協力したのが日本人の<転移者>って話だから、亜人国家連合は日本文化が珍重されているってのは知ってたけどまさかここまで影響されていたとはな。
こけしとか意味不明すぎる。風鈴とか金魚の入った金魚鉢なんてガラス製品まであるし。
どうせなら魔石を使った携帯ゲーム機とか作ればよかったのに。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった
ぐうのすけ
ファンタジー
無才・貧乏・底辺高校生の稲生アキラ(イナセアキラ)にゲームの悪役貴族が憑依した。
悪役貴族がアキラに話しかける。
「そうか、お前、魂の片割れだな? はははははは!喜べ!魂が1つになれば強さも、女も、名声も思うがままだ!」
アキラは悪役貴族を警戒するがあらゆる事件を通してお互いの境遇を知り、魂が融合し力を手に入れていく。
ある時はモンスターを無双し、ある時は配信で人気を得て、ヒロインとパーティーを組み、アキラの人生は好転し、自分の人生を切り開いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる