ヘタレ転移者 ~孤児院を救うために冒険者をしていたら何故か領地経営をすることになったので、嫁たちとスローライフを送るためにも頑張ります~

茶山大地

文字の大きさ
223 / 317
第十章 ヘタレ異文化交流

第十一話 着物

しおりを挟む
 久々の純和風といった感じの食事を済ませ、食後に出された甘酒と饅頭を味わっていると、エリナたちも俺のテーブルに来て同じように甘酒と饅頭を注文する。


「朝飯は済ませたのか?」

「うん! 焼きそば風パスタじゃなくて、本物の焼きそばを食べたよ! お兄ちゃんの言ってた通り、中華麺で作る焼きそばって美味しいね!」

「おいしかったよねーエマちゃん!」

「うん! みこねー!」

「中華麺も量産すればパスタと変わらない程度の価格になりますからね、中華麺を使った焼きそばも販売しましょう兄さま」


 いつもの学校へ行かないメンバーが揃っていきなり騒がしくなった。
 と言ってもさっきまではサクラがひとりで騒いでいたのであまり変わらない気もするが。
 サクラは亜人国家連合の物産展が忙しいということでさっきシバ王に拉致された。


「焼かないカップ焼きそばというものもあるんだぞ、クレア」

「えっ! 焼かないのに焼きそばなんて言って販売したら詐欺なのでは?」

「焼きそば風って感じなんじゃないか? 知らんけど」

「そうだ、兄さま。カップ麺のカップですが、やはり兄さまの言っていたリフィル形式にしようかと思います」

「それが一番だよな。陶器のマグカップを買ってもらって、味付け済みの中身だけ売る。各家庭でマグカップにお湯と一緒に入れて貰う方がコストも安いし」

「紙や木だとコストも重量も増えますしね。味付けしていない鍋で煮戻す即席麺タイプと、味付け済みでマグカップに入れてお湯を注ぐだけのカップ麺タイプの二種類で行こうと思います」

「焼きそば風も同じ麺で行けると思うから、あとでどんな仕組みか教えるぞ」

「わかりました。本当に焼かないんですよね?」

「鍋で煮るタイプはフライパンで作るから焼いていると言っていいのかもしれんが、カップ麺タイプは明らかに焼いてないぞ」

「ならカップ麺タイプの焼きそばを販売する時には、しっかりと『この商品は焼いていません』と説明しないとですね」

「そこまで説明する必要あるんかな……」

「当たり前じゃないですか兄さま! 焼いてない焼きそばなんて意味わかりませんし!」


 クレアが細かいのか、前の世界がそのあたり緩かったのかわからんが、たしかにこちらでは『焼いていないけど焼きそば』と言っておいた方が無難かもしれん。


「お兄ちゃん! ミコトちゃんとエマちゃんの服を買おうと思ってるんだよね。最近少し小さくなったみたいだし」

「年一回作ってるんだけどな。そうかー成長してるんだな。ふたりにたくさん買ってやってくれエリナ」

「「わー!」」

「でね、せっかくだから亜人国家連合の服で可愛いのが無いかなって」

「そうだな、家にはお下がりの服もあるけど、どうしてもデザインはあまり代り映えしないしな」

「そうなの! だからお兄ちゃんも一緒に探して!」

「わかった。じゃあ早速探しに行くか」


 全員が食べ終わったのを確認して席を立つと、矢絣模様の和服と袴を着たお姉さんがさっと食器を片付けてくれる。
 足元は編み上げのショートブーツで、明治、大正時代の女学生みたいな制服だ。馬〇道かな?


「あのお姉さんの来ている服って可愛いねお兄ちゃん! ミコトちゃんとエマちゃんにも似合いそう!」

「「かわいい!」」

「売ってるかもしれないし探してみるか」

「うん!」

「「わー!」」

 いつの間にか女学生の制服を着せられて働かされていたサクラに見送られ、フードコートを離れる。
 可愛い服を買ってもらえると上機嫌のミコトとエマが、いつものように仲良く手を繋ぎ、服屋を探しながらぽてぽて歩いていく。
 亜人国家連合の物産展は、アンテナショップを中心に数十件の商店や露店が並ぶ区画全体を使って行われているのでとにかく広いのだ。


「パパ!」

「ぱぱ! あれ!」


 娘ふたりが、目当ての店をみつけた! とばかりに指さす方向を見ると、大量の和服がショーウインドウに並べられている店があった。
 かなり高級そうだけど大丈夫かな? ちらりとクレアの顔をうかがうが、ニコニコしてるので大丈夫だろう。


「よし、入ってみるか」

「「「うん!」」」


 エリナと娘ふたりが駆け足で店の中に入っていく。もう完全に三姉妹だな……。


「クレアも何着か買うか。和風の服も似合うと思うぞ」

「てへへ、ありがとうございます兄さま。でも高そうですしミコトちゃんとエマちゃんだけで大丈夫ですよ」


 やっぱ値段は気にしてたんだな……。


「まあ入ろう。意外と安いかもしれないし」

「はい兄さま」


 エリナたちに遅れて俺たちも入店する。
 高級店らしく立派なガラス扉だが、よく考えたら箱物もうちが金出したんだよな。


「きゃー! 可愛い!」

「ねえ、お嬢ちゃんたちお姉さんにコーディネートさせてくれない?」

「ちょっと! あんた狐耳族でしょ! 換毛時期なんだからこんな可愛い子に触れちゃ汚い毛がつくでしょ!」

「ちゃんと毎朝ブラッシングしてるわよ! 猫耳族だって換毛期でしょ! 外で毛玉を吐き出してきなさいよ!」


 店内に入ると、ミコトとエマが五、六名の女性店員に囲まれていた。
 あと狐っぽい亜人と猫っぽい亜人が喧嘩してる。
 換毛期って大変なんだな。サクラの犬耳族は換毛しないから楽だって聞いてたけど。
 あと猫の亜人は毛玉を吐き出すの?


「パパ!」

「ぱぱ!」

「お兄ちゃん! なんか大変なことに!」


 各自思い思いの服を持って来てはミコトとエマに着せようと店員同士が威嚇し合ってるのだ。そりゃ怖いよな。毛玉も飛び出すかもしれないし。


「あの、申し訳ないがうちの娘たちから離れてもらって良いか? 怖がっちゃうだろ」

「「「すみません……」」」


 俺が一言言うと落ち着いたのか、店員たちはあっさりミコトとエマから距離を取る。
 店員たちの持つ服を見ると、やはりすべて和風の物だ。先ほどフードコートで見た女学生風の服などもある。
 お、この状況使えるんじゃないか?


「ミコト、エマ。今あの店員さんたちが持ってる服で気に入ったものはあるか?」


 はっと気づいた店員たちが、それぞれの持つ服をミコトとエマに見やすいように自身の体の前で広げる。


「うーん、どれも可愛い!」

「うーんとね、うーんとね」

「試着して気に入ったのを買ってやるから、とりあえず着てみたいのから順番に選んで良いんだぞ」

「じゃああれ!」

「えまも!」


 ミコトとエマに選ばれた服を持つ店員が、滅茶苦茶うれしそうな顔をして試着室へとふたりを連れて行く。
 随分鼻息が荒かったけど大丈夫かな……。


「そうだ、そこの店員さん。このふたりに浴衣を仕立ててやって欲しいんだが。下駄や巾着なんかの小物も併せて一式な」


 そういってエリナとクレアの背中を押して前に出す。


「「「この子たちも可愛い!」」」


 浴衣を持っていた猫耳の亜人がエリナとクレアを鼻息荒く拉致って行く。
 毛玉をちゃんと吐き出して来いよ……。
 いや、狐耳の亜人の単なる悪口かな?


「俺も甚平あたり作るかな」

「「「……」」」

「俺も甚平ほしいなー!」

「「「……」」」


 こいつら……。
 可愛い女の子にしか興味ないのか。
 甚平はほかの店で作るか。

 などと店員にスルーされていると、ミコトとエマが着物を着て出てくる。


「パパ!」

「ぱぱ! みて!」

「お父さん、娘さん最高に可愛いですよ!」

「たしかに最高に可愛いな!」

「えへへ!」

「やったー!」


 娘ふたりが滅茶苦茶可愛いな!
 これはもう購入決定だな。


「よし、これは買うぞ。次は何を着たい?」

「じゃああれ!」

「えまも!」


 結局ふたりは店員の持ってきた服すべてを試着して、すべてをお買い上げするのだった。
 意外と安かったけど、クレアに軽く怒られたのはご愛敬。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。

また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

処理中です...