ヘタレ転移者 ~孤児院を救うために冒険者をしていたら何故か領地経営をすることになったので、嫁たちとスローライフを送るためにも頑張ります~

茶山大地

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第十章 ヘタレ異文化交流

第十二話 物産展 エルフ王国の場合

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「パパ! かわいい?」

「可愛いぞミコト!」

「ぱぱ! えまは?」

「エマも可愛いぞ!」

「「わーい!」」


 着物を着てくるくる回りながら俺に服を見せてくるふたりがやたら可愛い。
 こんなに可愛いとすぐ誘拐されてしまうんじゃなかろうか。
 ファルケンブルクではここ数年そういう事件は発生してないほど治安が良いんだが。
 最近は闇金業者も大量に捕まって地下組織をいくつも潰してるし。


「でも脱ごうな。これから昼飯を食べるんだから」

「「えー!」」


 着付けに時間のかかる和服を十着ほど試着してあれもこれもと衣装に合わせた小物なんかも揃えてたらあっという間に時間が過ぎてしまったのだ。
 もうすでに昼飯の時間を過ぎてしまっていた。ふたりがあまりにも可愛いからつい調子に乗ってしまった結果だ。


「せっかく買った服が汚れちゃうだろ? それとも汚れないように一口サイズのサンドイッチとかにするか?」

「エルフさんたちのごはんが食べたい!」

「えまも!」

「じゃあ脱ごう。家に帰ったらまた着ていいから」

「「はーい!」」

「じゃあ店員さんお願いします。エリナとクレアも一緒について行ってやってくれ。着せ方とか聞いておいてくれな」

「わかった!」

「わかりました兄さま」


 鼻息の荒い亜人の店員にミコトとエマが試着室に連れていかれ、エリナとクレアがふたりを守るために後を付いていく。
 エリナとクレアも浴衣を新調したが、汚したくないとすぐに包んでしまっていた。


「甚平が欲しいんだが」

「「「……」」」


 再度店員に話しかけるも華麗にスルーされる。
 どうやら甚平はここでは売ってないようだな。うんそうに違いない。
 寂しくなりながらも、男物の吊るしゾーンで色々物色してみる。


「普通に甚平売ってるじゃないか……」

「「「……」」」


 どうするかな、試着するかな。でもなんとなくここで買いたくないな。
 甚平を手にして迷っていると、ミコトとエマがいつもの服を着てこちらにやってくる。


「パパ! ご飯食べよう!」

「ぱぱ! えるふさんのごはん!」

「よし行くか。なんだかんだ全部を試着してたらもう昼過ぎたしな」

「お兄ちゃんは何も買わないの?」

「甚平が欲しいんだけど売ってくれないんだよ……」

「?」


 こてり、と首をかしげているエリナをそのままに、右手をミコト、左手をエマに繋がれて外に出る。
 娘ふたりが超絶ご機嫌だ!
 結構な散財をしたけどこんなご褒美があるなら毎日でも何か買ってやりたいな。
 領主としての給料はクリスに任せて、公共事業などに使ってるから、実質的に狩りや竜種の素材の売却益でしか俺の収入って無いんだよな。
 天竜とかまた出現しないかな?


「えへへ! パパ大好き!」

「ぱぱだいすき!」


 明日から竜を探しに出かけるかな?
 もっと娘のために頑張らないと! と思いながら娘ふたりと手を繋ぎ、すぐ隣にあるエルフ王国の商業区画へと歩いていく。
 隣といっても結構歩くんだけど。

 ミコトとエマに合わせてぽてぽて歩いていると、やがてエルフ王国の区画へと入っていく。
 昼を少し過ぎているのだが、食べ物を提供している店はまだまだ混雑しているようだ。


「ミコト、エマ、何か食べたいものがあれば言えよ」

「「はーい!」」


 店をのぞきながら歩いていると、エルフの店員は全員アロハを着用しているようだ。
 民族衣装とか言ってたけどやたらと似合ってるな。
 売ってたら涼しそうだし一着くらい買うかな? 甚平買えなかったし。


「センセ!」

「閣、トーマさん!」


 呼ばれて振り返ると、マリアとエカテリーナがアロハな格好で呼び込みをしていた。


「あー! マリアお姉ちゃんとエカテリーナお姉ちゃんだー!」

「まりあねー! かちゅねー!」


 かちゅねー? ああエカテリーナの愛称ってカチューシャって言うんだっけ。
 何故かこの世界も日本人には馴染みのない愛称があるんだよな。

 いつの間にかエルフ姉妹にすっかり懐いている娘たちに引っ張られる。


「ミコトちゃん! エマちゃん! こんにちは!」

「「こんにちは!」」

「お昼ご飯はもう食べたん?」

「「まだー」」

「じゃあうちの店で食べていかへん? サービスするで!」

「「うん!」」

「あーじゃあ世話になるか。どこ見ても混んでるみたいだけど席は空いてるのか?」

「ちょうど大テーブルが空く所やってん、ちょうどよかったです!」


 関西弁のようなイントネーションで席に案内される。
 たしかに八人掛けのテーブルが今ちょうど空いたところだった。


「ここでだしてる食事ってどんな料理なんだ?」

「肉ですよ! 今エカテリーナが持ってきますよって、少々お待ちくださいね」

「エルフ族が肉好きなのはわかってるから肉料理ってのは想像できるんだが」

「まあまあ楽しみにしとってください」

「ちょっと不安になってきた」


 少しヘタレな俺の発言を無視して、マリアはドリンクの入ったタンブラーをエリナたちの前に置いていく。


「これはサービスですから。お代わりもサービスしますから遠慮なく言ってくださいね」

「ありがとー! マリアお姉ちゃん!」

「ありがとー!」

「うふふ、ミコトちゃんとエマちゃんは偉いなあ」

「お待たせいたしましたー!」


 エカテリーナが串に刺された巨大な肉とともにテーブルにやってくる。


「うわー! 凄いよお兄ちゃん!」

「パパ! すごい!」

「おっきいおにくだ!」

「兄さま、これは凄いですね!」

「シュラスコだっけ?」

「センセ流石ですね!」


 エカテリーナのあとに、同じく串にささったソーセージや鶏肉、更には大皿に乗せられた鶏の丸焼きなどがどんどん運ばれてくる。


「これは凄いな」

「これをお客様の食べたい量だけお皿に取り分けて、色んなテーブルを回るんです。この札をお渡ししますので、お腹いっぱいになったらひっくり返してくださいね」

「たしかにマリアが言った通り、ここで出す料理は肉だな。まさに」

「でしょう⁉」


 ニコニコと、俺たちの皿に色々な肉を切り分けて置いていく。
 付け合わせはパンがあるが、エルフ族はパンもあまり食べないって話だけど、さすがにそこはファルケンブルクの人間に合わせてるのな。
 それにしても肉だらけでちょっと引いたけど。
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