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第十章 ヘタレ異文化交流
第十五話 引きこもり対策
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エルフ王国の店を覗いていくと、ショーウインドウに楽器を並べてる店を見つけた。
学校の授業に取り入れるのも良いなと思いながらその店に入る。
「ちっすー」
「……」
店の奥のカウンターに座ってるエルフのおっさんに声をかけるが返事はない。
こちらをチラリと見たから気づいてないわけでは無いんだけどな。
まあいいや。俺自身、入店と同時に店員がべったりついてくる店は苦手だから却って都合はいいし。
並んでいる楽器を見てみるとかなり雑多だ。
ウクレレは予想できたが三味線? いや蛇皮だから三線かこれ。弦楽器だけでも大量にあるが、木彫りの笛なんかも並んでいる。
良し悪しはわからんがかなり良い物なんじゃないか?
暇だからっていう理由でも寿命が千年もあるんだ、ちょっと百年間楽器作りにのめり込んだら技術も相当上がりそうだしな。
馴染みの楽器が無いかを探して店内をうろついてみる。
俺が学校で習った楽器って、ハーモニカ、カスタネット、鍵盤ハーモニカ、アルトリコーダーっぽい縦笛くらいか?
店内を一通り見てみたが、鍵盤ハーモニカは無いけれどそれ以外の楽器は揃っているようだ。
値段次第だが、カスタネットとアルトリコーダーくらいは買って習わせたほうが良いかな。
「なあ」
「……」
値段と全校生徒分の数を揃えられるかを確認しようと声をかけるが、こちらを向くだけで反応はない。
流石に塩過ぎるな。この態度は問題だろ。
「このカスタネットと縦笛を大量に購入したいんだが」
「……在庫はここにあるだけしかないよ」
「発注とか可能か?」
「ここにある商品を作ったのは俺だけじゃないし、みんな気まぐれで作ってるからねえ」
「わかった。邪魔したな」
さくっと店を出る。話が早くて助かるな。俺はこういう塩対応は嫌いじゃないけど、流石に商魂無さすぎだな。
どうすっかな。
エルフ族が自主的に生産活動をしてくれるようになればいいんだが。
てくてくと先ほどの衣料店に戻りながら、楽器の生産と学校での音楽の授業の導入など考える。
楽器をこちらで量産するか?
量産品が普及すればエルフ族の作る楽器にプレミアがついて人気が出るようになったりしないかな?
下手したら楽器を作るエルフの仕事が本格的に無くなるが。
エルフ王国内に量産楽器が流通しないようにすれば、元々エルフ族は引きこもりだし影響は無いかな?
学校で音楽を教えるのは良いとしても、職業としては今のところ楽師くらいしかないんだよな。
大道芸的な扱いで路上ライブをしたとしてもスカウトは歩いてないし、そもそも音楽を楽しむという風潮がまだまだだ。
歌の上手いエルフと演奏の上手いエルフを組ませてライブでもやらせてみるかな?
歌手、もしくは楽器奏者としての職業が定着すれば音楽の才能を持つガキんちょがいたとしても将来それで飯が食べられるようになるかもしれん。
まずはエルフでも楽器作りを教えてくれる引きこもりじゃないエルフを探さないとな。と結論付けると、先ほどの衣料店にたどり着く。
「兄さま!」
店に再び入ると、クレアが険しい表情で俺の名を呼んでくる。
「どうしたクレア」
「どうもこうも無いですよ! 一部のサイズが無かったので、注文は可能かどうか聞いたら『作るのめんどくさいからヤダ』と言われたんですよ兄さま!」
なるほど、俺が楽器屋でされたのと同じ対応だったと。俺的には話が早くて助かったが、顧客ファーストのクレアには信じられない対応だったようだ。
「諦めろクレア。楽器店でも同じ対応された」
「兄さま!」
「考えたんだがな、楽器もそうだしアロハもそうだけど、まずはこちらで大量生産しちゃうってのはどうだ?」
「えっ? でもここに置いてある衣料はすごく丁寧に作られてる上にお買い得な値段なんですよ? それに対抗できるんでしょうか?」
「量産品で品質もそこそこで良いんだよ。涼しげな意匠でアロハっぽいデザインが流行れば、品質の良いエルフ作成のアロハがプレミア価格で売れるかもしれない。楽器なんかは特にプレミア化する可能性があるし。そうすれば引きこもりの駄目ルフ連中も、稼げるなら少しは働いてみようかなって思うかもしれないだろ?」
「うーん」
「品質は凄いんだよ。値段も安いしな。ただ楽器もアロハもまだファルケンブルクでは流通してないだろ? いまいちファルケンブルクの人間にエルフ製品の良さが伝わって無いから、このままだと商売にならないと思うんだよな」
「飲食店は盛況でしたよね」
「肉の塊がメインだしな。味の想像もつきやすいし値段も肉が食べ放題なのに手ごろだし、接客もマシなエルフ族が多かったしな」
「飲食店は国営で公務員が給仕をしてると聞きましたよ」
公務員って……。
今回の物産展イベントに公務員を連れてきたのか。そういや亜人国家連合もラーメン屋のおっさんが犬人国の城で主席料理人として働いてたって言ってたな。
いくら引きこもるのが大好きなエルフ族でも、エルフ王国に仕えてる公務員の連中はまだマシってわけか。
それなら公務員のエルフ族の中に楽器作りや歌が得意な人材とかがいて、技術指導とかをお願いできたりできないかな?
「要するにエルフ王国の産物のブームを作ってやろうと。タピオカも流行りそうだしな」
「わかりました。では今回はサイズの合わない子の分は、大きめのサイズのあろはを買って調整をしますね」
「頼むなクレア」
「はい兄さま」
エルフ王国ブームの為にも楽器作りが得意なエルフとかを探さないとな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
学校の授業に取り入れるのも良いなと思いながらその店に入る。
「ちっすー」
「……」
店の奥のカウンターに座ってるエルフのおっさんに声をかけるが返事はない。
こちらをチラリと見たから気づいてないわけでは無いんだけどな。
まあいいや。俺自身、入店と同時に店員がべったりついてくる店は苦手だから却って都合はいいし。
並んでいる楽器を見てみるとかなり雑多だ。
ウクレレは予想できたが三味線? いや蛇皮だから三線かこれ。弦楽器だけでも大量にあるが、木彫りの笛なんかも並んでいる。
良し悪しはわからんがかなり良い物なんじゃないか?
暇だからっていう理由でも寿命が千年もあるんだ、ちょっと百年間楽器作りにのめり込んだら技術も相当上がりそうだしな。
馴染みの楽器が無いかを探して店内をうろついてみる。
俺が学校で習った楽器って、ハーモニカ、カスタネット、鍵盤ハーモニカ、アルトリコーダーっぽい縦笛くらいか?
店内を一通り見てみたが、鍵盤ハーモニカは無いけれどそれ以外の楽器は揃っているようだ。
値段次第だが、カスタネットとアルトリコーダーくらいは買って習わせたほうが良いかな。
「なあ」
「……」
値段と全校生徒分の数を揃えられるかを確認しようと声をかけるが、こちらを向くだけで反応はない。
流石に塩過ぎるな。この態度は問題だろ。
「このカスタネットと縦笛を大量に購入したいんだが」
「……在庫はここにあるだけしかないよ」
「発注とか可能か?」
「ここにある商品を作ったのは俺だけじゃないし、みんな気まぐれで作ってるからねえ」
「わかった。邪魔したな」
さくっと店を出る。話が早くて助かるな。俺はこういう塩対応は嫌いじゃないけど、流石に商魂無さすぎだな。
どうすっかな。
エルフ族が自主的に生産活動をしてくれるようになればいいんだが。
てくてくと先ほどの衣料店に戻りながら、楽器の生産と学校での音楽の授業の導入など考える。
楽器をこちらで量産するか?
量産品が普及すればエルフ族の作る楽器にプレミアがついて人気が出るようになったりしないかな?
下手したら楽器を作るエルフの仕事が本格的に無くなるが。
エルフ王国内に量産楽器が流通しないようにすれば、元々エルフ族は引きこもりだし影響は無いかな?
学校で音楽を教えるのは良いとしても、職業としては今のところ楽師くらいしかないんだよな。
大道芸的な扱いで路上ライブをしたとしてもスカウトは歩いてないし、そもそも音楽を楽しむという風潮がまだまだだ。
歌の上手いエルフと演奏の上手いエルフを組ませてライブでもやらせてみるかな?
歌手、もしくは楽器奏者としての職業が定着すれば音楽の才能を持つガキんちょがいたとしても将来それで飯が食べられるようになるかもしれん。
まずはエルフでも楽器作りを教えてくれる引きこもりじゃないエルフを探さないとな。と結論付けると、先ほどの衣料店にたどり着く。
「兄さま!」
店に再び入ると、クレアが険しい表情で俺の名を呼んでくる。
「どうしたクレア」
「どうもこうも無いですよ! 一部のサイズが無かったので、注文は可能かどうか聞いたら『作るのめんどくさいからヤダ』と言われたんですよ兄さま!」
なるほど、俺が楽器屋でされたのと同じ対応だったと。俺的には話が早くて助かったが、顧客ファーストのクレアには信じられない対応だったようだ。
「諦めろクレア。楽器店でも同じ対応された」
「兄さま!」
「考えたんだがな、楽器もそうだしアロハもそうだけど、まずはこちらで大量生産しちゃうってのはどうだ?」
「えっ? でもここに置いてある衣料はすごく丁寧に作られてる上にお買い得な値段なんですよ? それに対抗できるんでしょうか?」
「量産品で品質もそこそこで良いんだよ。涼しげな意匠でアロハっぽいデザインが流行れば、品質の良いエルフ作成のアロハがプレミア価格で売れるかもしれない。楽器なんかは特にプレミア化する可能性があるし。そうすれば引きこもりの駄目ルフ連中も、稼げるなら少しは働いてみようかなって思うかもしれないだろ?」
「うーん」
「品質は凄いんだよ。値段も安いしな。ただ楽器もアロハもまだファルケンブルクでは流通してないだろ? いまいちファルケンブルクの人間にエルフ製品の良さが伝わって無いから、このままだと商売にならないと思うんだよな」
「飲食店は盛況でしたよね」
「肉の塊がメインだしな。味の想像もつきやすいし値段も肉が食べ放題なのに手ごろだし、接客もマシなエルフ族が多かったしな」
「飲食店は国営で公務員が給仕をしてると聞きましたよ」
公務員って……。
今回の物産展イベントに公務員を連れてきたのか。そういや亜人国家連合もラーメン屋のおっさんが犬人国の城で主席料理人として働いてたって言ってたな。
いくら引きこもるのが大好きなエルフ族でも、エルフ王国に仕えてる公務員の連中はまだマシってわけか。
それなら公務員のエルフ族の中に楽器作りや歌が得意な人材とかがいて、技術指導とかをお願いできたりできないかな?
「要するにエルフ王国の産物のブームを作ってやろうと。タピオカも流行りそうだしな」
「わかりました。では今回はサイズの合わない子の分は、大きめのサイズのあろはを買って調整をしますね」
「頼むなクレア」
「はい兄さま」
エルフ王国ブームの為にも楽器作りが得意なエルフとかを探さないとな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
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