244 / 317
第十一章 ヘタレリゾート
第四話 スライム材を使った玩具(水着回Ⅲ)
しおりを挟む
リゾートホテル滞在二日目、茅ヶ崎感満載の真っ黒なビーチにもなんとなく慣れてきた。
ビーチの名前は聞かなかったが、サザ〇ビーチかチャ〇の海岸とかどうせそのあたりだろうと聞いてはいない。
ホテルも迎賓館としての機能を持っているだけのことはあり、温泉をはじめとした施設は素晴らしく豪華だったし、今回の俺たちは大部屋だがスイートルームも完備された高級ホテルだった。
そんな設備を持つホテルの食事も素晴らしく美味しいので、俺の機嫌もだんだん良くなっていったのだ。
昨日は一日デッキチェアで横になっていただけなので、今日は水に入ろうと意気揚々とビーチに向かうことにした。
「あー、おにーさんだー」
飲み物を買ってから行くかと海の家に入ると、ミリィが海の家で菓子をバリバリ食べていた。朝食バイキングを食べた直後なのに。
「ミリィ……朝食バイキングで大量に食べた後だろ……」
「おいしーからねー」
「滅茶苦茶食べてる割には体は細いままなんだよな」
黒のビキニという年の割には大胆な水着のミリィの細い体を眺める。この体のどこにあの量の料理やお菓子が入ってるんだ……。
「おにーさんも食べる?」
「ミリィが自分の食べ物を他人に進めるのって初めて見たわ。でも腹いっぱいだから俺は飲み物だけを買って行くからいらないぞ」
「おいしーのに」
「小遣いが無くなったら言うように。でも食べ過ぎは駄目だからな」
「はーい。ありがとーおにーさん」
バリバリとラスクを食べ始めたミリィをその場に放置して、スライム材で作られた透明カップの飲み物だけを買う。
すでにガキんちょどもが水際でバチャバチャ水遊びを始めているのを眺めつつ、空いていた適当なデッキチェアにタオルやら飲み物を置き、水際に向かう。
「パパ!」
「兄さま」
波まで完全再現されているこの巨大湖に入ろうとすると、ミコトとクレアに声をかけられる。
「パパ! いっしょにあそぼー!」
花を模した赤い飾りのついた黄色のタンキニを着たミコトが、浮き輪を持って一緒に遊ぼうと言ってくる。
……浮き輪? ビニール?
「兄さま、先ほどロイドさんがみんなの分の浮き輪を持って来てくれたんですよ」
「そういや昨日、爺さんがなんか次の準備をしてくるとか言ってたな……」
「スライム材が加工する時の温度によって性質が変わるのを利用して、薄く延ばして柔軟性を持たせた防水性の素材を開発したとのことですよ」
「それで浮き輪を作ったのか。というか玩具じゃなくもっと有効利用できる分野があるだろ……」
「なんでも兄さまを落とすにはまず子供たちからの方が手っ取り早いとかなんとか言ってましたね……」
……たしかに俺はガキんちょどものことになると少しだけ甘くなる傾向があるからな。
地元感溢れるリゾート地で意気消沈した俺の反応を見た爺さんが、急遽スライム材作った新素材を使ってガキんちょどもの為に浮き輪を用意したのか。多分徹夜で。
債務の減免に関しては一応アイリーンに一言言っておくか。
余った竜の素材を市場に流せば債務の大半は無くなるから自業自得なんだけどな。
というか素材の独占って良くないんじゃないのか? ファルケンブルクが異常過ぎて他の場所じゃ竜種そのものがレア過ぎて一年に一回程度の頻度で王都のオークションに出てくる程度だしな。
「まあ魔導士協会の債務に関しては考えておくよ」
「そうしてあげてください。すごく必死だったので……」
「パパ!」
「おう、ミコトすまんすまん。じゃあ一緒に水に入るか」
「うん!」
カニタイプの浮き輪を装備しているせいか、全く水を怖がらないミコトの手を引いて水に入る。
クレアも一緒に入るが、泳げるクレアは浮き輪を装備していない。
数年前に川でガキんちょどもに水泳を教えたらあっという間に習得したんだよな。
何故か海と同じ塩分を含む水を湛えたこの湖は、穏やかな波があっても浮きやすくなってるし泳ぎやすいみたいだ。
「ミコト、足をバタバタやると前に進めるんだぞ!」
「やってみる!」
「ミコトちゃん上手ですよ」
「えへへ!」
俺に両手を引っ張られながらバタ足をするミコトが、クレアに褒められてご機嫌だ。
「そういやエマは? いつもミコトと一緒なのに珍しいな」
「エマちゃんはね、エリナママといっしょにすごいのをつくってるよ!」
「すごいの?」
「ないしょ! できたらパパに見せるんだって!」
「へー。じゃあ楽しみにしておくか」
なんだろう? 「ぱぱのおかお!」とか言って俺の顔でも砂浜に描いてくれてるのかな。
真っ白なビーチじゃなくて黒に近い灰色の砂だからわかりにくいかもしれないけど。
エマの見せてくれる創作物に思いを馳せながら、今日一日はたっぷりとミコトと遊んだのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
水着回続きます!
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
特に前々回から連載しております水着回は必見です!絵師様の渾身のヒロインたちの水着絵を是非ご覧ください!
小説家になろう版やカクヨム版ヘタレ転移者の方でもブクマ、評価の方を頂けましたら幸いです。
ビーチの名前は聞かなかったが、サザ〇ビーチかチャ〇の海岸とかどうせそのあたりだろうと聞いてはいない。
ホテルも迎賓館としての機能を持っているだけのことはあり、温泉をはじめとした施設は素晴らしく豪華だったし、今回の俺たちは大部屋だがスイートルームも完備された高級ホテルだった。
そんな設備を持つホテルの食事も素晴らしく美味しいので、俺の機嫌もだんだん良くなっていったのだ。
昨日は一日デッキチェアで横になっていただけなので、今日は水に入ろうと意気揚々とビーチに向かうことにした。
「あー、おにーさんだー」
飲み物を買ってから行くかと海の家に入ると、ミリィが海の家で菓子をバリバリ食べていた。朝食バイキングを食べた直後なのに。
「ミリィ……朝食バイキングで大量に食べた後だろ……」
「おいしーからねー」
「滅茶苦茶食べてる割には体は細いままなんだよな」
黒のビキニという年の割には大胆な水着のミリィの細い体を眺める。この体のどこにあの量の料理やお菓子が入ってるんだ……。
「おにーさんも食べる?」
「ミリィが自分の食べ物を他人に進めるのって初めて見たわ。でも腹いっぱいだから俺は飲み物だけを買って行くからいらないぞ」
「おいしーのに」
「小遣いが無くなったら言うように。でも食べ過ぎは駄目だからな」
「はーい。ありがとーおにーさん」
バリバリとラスクを食べ始めたミリィをその場に放置して、スライム材で作られた透明カップの飲み物だけを買う。
すでにガキんちょどもが水際でバチャバチャ水遊びを始めているのを眺めつつ、空いていた適当なデッキチェアにタオルやら飲み物を置き、水際に向かう。
「パパ!」
「兄さま」
波まで完全再現されているこの巨大湖に入ろうとすると、ミコトとクレアに声をかけられる。
「パパ! いっしょにあそぼー!」
花を模した赤い飾りのついた黄色のタンキニを着たミコトが、浮き輪を持って一緒に遊ぼうと言ってくる。
……浮き輪? ビニール?
「兄さま、先ほどロイドさんがみんなの分の浮き輪を持って来てくれたんですよ」
「そういや昨日、爺さんがなんか次の準備をしてくるとか言ってたな……」
「スライム材が加工する時の温度によって性質が変わるのを利用して、薄く延ばして柔軟性を持たせた防水性の素材を開発したとのことですよ」
「それで浮き輪を作ったのか。というか玩具じゃなくもっと有効利用できる分野があるだろ……」
「なんでも兄さまを落とすにはまず子供たちからの方が手っ取り早いとかなんとか言ってましたね……」
……たしかに俺はガキんちょどものことになると少しだけ甘くなる傾向があるからな。
地元感溢れるリゾート地で意気消沈した俺の反応を見た爺さんが、急遽スライム材作った新素材を使ってガキんちょどもの為に浮き輪を用意したのか。多分徹夜で。
債務の減免に関しては一応アイリーンに一言言っておくか。
余った竜の素材を市場に流せば債務の大半は無くなるから自業自得なんだけどな。
というか素材の独占って良くないんじゃないのか? ファルケンブルクが異常過ぎて他の場所じゃ竜種そのものがレア過ぎて一年に一回程度の頻度で王都のオークションに出てくる程度だしな。
「まあ魔導士協会の債務に関しては考えておくよ」
「そうしてあげてください。すごく必死だったので……」
「パパ!」
「おう、ミコトすまんすまん。じゃあ一緒に水に入るか」
「うん!」
カニタイプの浮き輪を装備しているせいか、全く水を怖がらないミコトの手を引いて水に入る。
クレアも一緒に入るが、泳げるクレアは浮き輪を装備していない。
数年前に川でガキんちょどもに水泳を教えたらあっという間に習得したんだよな。
何故か海と同じ塩分を含む水を湛えたこの湖は、穏やかな波があっても浮きやすくなってるし泳ぎやすいみたいだ。
「ミコト、足をバタバタやると前に進めるんだぞ!」
「やってみる!」
「ミコトちゃん上手ですよ」
「えへへ!」
俺に両手を引っ張られながらバタ足をするミコトが、クレアに褒められてご機嫌だ。
「そういやエマは? いつもミコトと一緒なのに珍しいな」
「エマちゃんはね、エリナママといっしょにすごいのをつくってるよ!」
「すごいの?」
「ないしょ! できたらパパに見せるんだって!」
「へー。じゃあ楽しみにしておくか」
なんだろう? 「ぱぱのおかお!」とか言って俺の顔でも砂浜に描いてくれてるのかな。
真っ白なビーチじゃなくて黒に近い灰色の砂だからわかりにくいかもしれないけど。
エマの見せてくれる創作物に思いを馳せながら、今日一日はたっぷりとミコトと遊んだのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
水着回続きます!
本作は小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。
よろしければそちらでも応援いただけますと励みになります。
また、小説家になろう版は、序盤から新規に挿絵を大量に追加したうえで、一話当たりの文字数調整、加筆修正、縦読み対応の改稿版となります。
ファンアート、一部重複もありますが、総数で100枚を超える挿絵を掲載し、九章以降ではほぼ毎話挿絵を掲載しております。
是非挿絵だけでもご覧くださいませ。
特に前々回から連載しております水着回は必見です!絵師様の渾身のヒロインたちの水着絵を是非ご覧ください!
小説家になろう版やカクヨム版ヘタレ転移者の方でもブクマ、評価の方を頂けましたら幸いです。
0
あなたにおすすめの小説
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、
幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。
もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
俺以外にも魔道具職人はいるさ。
落ちぶれて行く追放したパーティ。
俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる