リビングデッド

常夏の炬燵

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魔族編

第三十八話

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異空間に戻ったナナシは、すぐにカオスと目が合った。

『ッ!すみません!最悪な位置に…!』

『大丈夫だ』

ナナシは剣を作ろうとポケットに手を突っ込み、ある失態に気づいた。

しまった…!武器に補充を忘れていた!

魔族はこちらに突っ込んできている。

木の枝の残りは、今手に握られている一本。
石は、まだある…もうこれでやりきるしかない…!

魔族に閃光弾を投げるが、魔王の記憶か、本能か、爆発する前に遠くへはじき飛ばした。

「う…ッ!」

ナナシの鼻に魔族の頭突きが命中する。

『名無しさん!二秒、上手く隙を作ってください!また現世に転送します!準備を整えましょう!』

「わかった!」

失敗した…焦って行動を早めてしまった…もっと慎重になるべきだった…いや、今はそんな状況じゃない。名無しさんが作る隙を見極めないと!

だが、それは、そう簡単には行かない。
何とか遠距離武器で牽制しながら距離を取ろうとするが、すぐに追いつかれてしまう。

くそ!俺がもっとしっかりしていれば…!連戦で思考能力が鈍ったか…いや、それは言い訳だ!今考えるのは、隙を作ること…余計な考えは捨てろ!

「…消えた…?」

すると、目の前から魔族の姿が消えた。

『危ない!後ろ!』

「ッ!」

いつもの癖で、剣を作ってしまった。

その剣は魔族に捕まれ、呆気なくへし折られてしまった。

その刃先をナナシに向かって投げる。

ナナシはすぐに剣を消したが、間に合わず右肩に刺さった。

「くっ…!」

二秒…二秒だ…

魔族は雄叫びを上げながらナナシに突っ込む。

閃光弾…さっき弾かれたって事は…

ナナシは複数個、石を持った。

まず一つ、閃光弾を作り、投げる。

今度は躱される。

今だ!

ナナシは空気砲で突撃する。

目の前まで責ったところで、魔族が掴みかかる。
ナナシは閃光弾を爆発させた。

ナナシも巻き添えを食らったが、すぐに空気砲で真上に飛んだ。

アンナが転送準備をした。

だが、それは、魔族によって阻止された。

足を捕まれ引きずり落とされる。

まさか!あの光の中を!?

ぐっ…!こんなところで…!

「終われるかーーーー!!!」

再びナナシに光が宿る。
それは、魔族をも包み込んだ。

ナナシは背中を叩きつけられたが、攻撃が続くことは無かった。

「ナ…ナシ…?」

「は?」

やっと目が慣れて、見えるようになった。
魔族の顔を見ると、かなり強ばっていた。

「貴様…何しやがった…!」

「お前…まさか…」

ナナシはありえないと思いながらも、思い浮かんだ名前を呼んでしまった。

「ゴウキ…」

「ッ…!」

その名前に魔族は酷く動揺した。

そう、魔族の中にはゴウキの魔力が紛れていた。
そのゴウキの魔力が、ナナシの魂力ソウルエネルギーによって呼び覚まされたのだ。

このまま、戦いは収束するのか。
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