スローライフに憧れる伝説の王子

6話

**第六話：「第二王子ノブと地獄のお茶会」**  

王宮の庭園。優雅なテーブルに並ぶ豪華なティーセット。  
柔らかな陽射しと風に揺れる花々——一見すると、完璧な貴族の社交の場。  

しかし。  

この場にいるのは、ノブと**5人の婚約者候補**。  
それは、まるで王宮における試練の儀式。  

「王子、紅茶をどうぞ！」  
「王子、私が焼いたお菓子よ！」  
「王子、この茶葉は魔術で摘み取った特別なものなの！」  
「王子、飲んだら即座に婚約成立ということで…？」  

ノブは震える手でカップを取り、紅茶を口にする。  

「……うん、美味いな」  

婚約者たちの目が一斉に輝いた。  

「美味しいってことは、私の魅力を認めたということね！」  
「今すぐ結婚式の準備を…！」  
「愛の契約が成された…！」  

「違う、そうじゃない……！」  

**地獄の宴が開幕**  

戦場の鬼姫は、カップを豪快に叩き割りながら叫ぶ。  
「王子は私の隣で戦う運命なのよ！」  

魔術師令嬢は、紅茶の中に謎の魔法を発動させる。  
「この一口が我々の永遠の絆になるわ…！」  

財閥令嬢は、すでに婚約記念グッズの販売戦略を立てている。  
「王子の名前入り紅茶セットを全国展開しましょう！」  

ノブは静かに立ち上がった。  

「……俺はただ、田舎で静かにお茶を飲みたいだけなんだ……」  

婚約者たちは一斉に叫んだ。  

**「そんなこと認めない！！」**  

こうして、第二王子ノブの苦悩は続くのだった——  

（続く）