33 / 35
奇襲
しおりを挟む
深夜三時。
ようやく仕事が終わった。
エルヴィンは椅子で伸びをした。
宰相セシリアも、肩を手で揉む。
二人とも若いので、疲労困憊という程ではないが、少しばかり疲れた。
「セシリア、ご苦労だった」
エルヴィンはセシリアを労い、戸棚からワインと銀杯を二つ取り出した。
疲れの取れる甘いワインを二つの銀杯に注ぐ。
「さあ、飲め」
「ありがとうございます、陛下」
青髪の魔族の美女は、両手で銀杯を押し頂き、コクリと頭を下げた。
そして、無表情のままコクコクと両手で飲んだ。
(相変わらず、少し子供っぽいな)
とエルヴィンは宰相セシリアを見ながら思う。
セシリアは魔族でエルフと同様に不老長命の種族だ。
それゆえ、セシリアの年齢は36才だが、外見は12歳程度に見える。
実際、小柄で、身体の均整が取れており、手足は長いが胸は小さい。
小学生の新体操選手のようなスタイルをしている。
顔は可愛いし、美少女だが、無表情で人形のようだ。
だが、理性は高く、知能は天才的である。
知的な美女の頭脳に、子供の肉体。
そして、所作は時々、子供っぽい。
いや、実際はいつも子供っぽい。
本人はそれを気にしているから、エルヴィンは絶対に揶揄しないが……。
「陛下、何か私に失礼な事を考えませんでしたか?」
「いや、そんな事は考えていない」
エルヴィンは真顔で噓をついた。
(鋭いな)
とエルヴィンは苦笑した。
セシリアの前ではなるべく、注意しよう。
「いつも、セシリアには世話になってばかりだな。感謝している。お前の勤労がなければ我が王国は機能不全になっていただろう」
俺は本心から言った。
セシリアが、いなければ行政が遅滞していただろう。
この青髪の魔族の美女の天才的頭脳がなければ、ヴァリス王国は成り立たない。
「いいえ、陛下の恩為に働く事が私の喜びです」
セシリアは顔にわずかな微笑を浮かべた。
「何かお前の功労に報いたいのだが、何か望みはあるか?」
「おねだりしても宜しいのですか?」
セシリアが、わずかに小首を傾げる。
十二歳の外見で、子供のような仕草をするとやたらと可愛い。
「ああ、何でも言ってくれ。出来る限り望みを叶えてやる」
「左様ですか、では陛下の子種を下さいませ」
セシリアが、人形のような顔のまま言った。
「……意表を突かれたな」
俺は苦笑してワインを飲んだ。
「奇襲成功、してやったりです」
セシリアが、薄い胸をそらした。
「言質を取られた俺の負けだな」
俺は、肩をすくめて銀杯をおいた。
ようやく仕事が終わった。
エルヴィンは椅子で伸びをした。
宰相セシリアも、肩を手で揉む。
二人とも若いので、疲労困憊という程ではないが、少しばかり疲れた。
「セシリア、ご苦労だった」
エルヴィンはセシリアを労い、戸棚からワインと銀杯を二つ取り出した。
疲れの取れる甘いワインを二つの銀杯に注ぐ。
「さあ、飲め」
「ありがとうございます、陛下」
青髪の魔族の美女は、両手で銀杯を押し頂き、コクリと頭を下げた。
そして、無表情のままコクコクと両手で飲んだ。
(相変わらず、少し子供っぽいな)
とエルヴィンは宰相セシリアを見ながら思う。
セシリアは魔族でエルフと同様に不老長命の種族だ。
それゆえ、セシリアの年齢は36才だが、外見は12歳程度に見える。
実際、小柄で、身体の均整が取れており、手足は長いが胸は小さい。
小学生の新体操選手のようなスタイルをしている。
顔は可愛いし、美少女だが、無表情で人形のようだ。
だが、理性は高く、知能は天才的である。
知的な美女の頭脳に、子供の肉体。
そして、所作は時々、子供っぽい。
いや、実際はいつも子供っぽい。
本人はそれを気にしているから、エルヴィンは絶対に揶揄しないが……。
「陛下、何か私に失礼な事を考えませんでしたか?」
「いや、そんな事は考えていない」
エルヴィンは真顔で噓をついた。
(鋭いな)
とエルヴィンは苦笑した。
セシリアの前ではなるべく、注意しよう。
「いつも、セシリアには世話になってばかりだな。感謝している。お前の勤労がなければ我が王国は機能不全になっていただろう」
俺は本心から言った。
セシリアが、いなければ行政が遅滞していただろう。
この青髪の魔族の美女の天才的頭脳がなければ、ヴァリス王国は成り立たない。
「いいえ、陛下の恩為に働く事が私の喜びです」
セシリアは顔にわずかな微笑を浮かべた。
「何かお前の功労に報いたいのだが、何か望みはあるか?」
「おねだりしても宜しいのですか?」
セシリアが、わずかに小首を傾げる。
十二歳の外見で、子供のような仕草をするとやたらと可愛い。
「ああ、何でも言ってくれ。出来る限り望みを叶えてやる」
「左様ですか、では陛下の子種を下さいませ」
セシリアが、人形のような顔のまま言った。
「……意表を突かれたな」
俺は苦笑してワインを飲んだ。
「奇襲成功、してやったりです」
セシリアが、薄い胸をそらした。
「言質を取られた俺の負けだな」
俺は、肩をすくめて銀杯をおいた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる