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第2章 《継承戦争》
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【場所:アストライア平原】
【ベルン公国軍:1万2千騎】
【敵軍:フェルスター侯爵軍 2万6千】
◆◆◆
午後1時。
中天にある太陽が曇天で隠れる中、ベルン公国軍と、フェルスター侯爵率いる北軍2万6千が、「アストライア平原」で対峙した。
「あれが騎狼軍か……」
北軍2万6千の兵士達が、遠目にみえる大狼とそれに乗るベルン公国の騎士達を見て、声を震わせた。
軍馬よりも1回り大きい大狼が、巨大な牙を剥きだし、獰猛な唸り声をあげて、こちらを睨んでいる。その数は1万頭以上。
その圧倒的な殺意と獣性に、勇猛な北部軍兵でさえも畏怖を覚えずにはいられなかった。
「臆するな。北部の勇者達よ! 敵は湖を背にしており、我が方が圧倒的に有利だ。くわえて、我らは敵軍の2倍、勝利は疑いない! 騎狼兵を1匹仕留めれば、クローナ金貨を10枚くれてやるぞ!」
フェルスター侯爵はそう宣言して、士気を高めた。
やがて、双方の軍勢から角笛が鳴り響き、戦いが始まった。
フェルスター侯爵は、凹陣形のまま全軍に進撃を命じた。
「一気呵成に攻めかけよ! 敵を湖に叩きおとしてやれ!」
北軍2万6千が、鯨波をあげて突進する。
アルフォンスは、1人、ベルン公国軍の先頭に立ち、肉薄する北軍2万6千を静かに眺めやっていた。
その後方にいるミストルーン皇女が、心配そうな表情と声で傍らにいるフローラに語りかける。
「のう。アルフォンスは、大丈夫なのか? 先頭に1人で立つなど危ないじゃろうに……」
「ご心配なく殿下。アルフォンス様は天才ですから」
フローラは微笑して、皇女の銀髪を撫でた。
(しかし、皇女殿下はなんという胆力をおもちであろうか……)
と、フローラはミストルーンの頭を愛おしく撫でながら思う。初めての戦場、しかも御年8歳であられるのに、微塵も恐怖を見せられない。
(生まれながらにして、英傑であられる)
フローラが感心している内に、北軍2万6千が800メートルにまで接近してきた。
地面が揺れ動き、殺気と怒号が濃度をまして大気を埋める。北軍が、あと500メートルまで迫った時、戦場の北方から突如として、大狼の咆吼が轟いた。数1000の雷鳴を束ねたような咆吼に天地が鳴動する。
フェルスターが驚いて背後をふり返ると、そこには信じがたい光景が展開していた。
「閣下! 山を! ベルン公国軍が、断崖を飛び降りてきます!」
幕僚が叫び、フェルスター侯爵は呻き声をあげた。
「馬鹿な!」
フェルスターの両眼に飛び込んだ光景は、俄に信じがたいものだった。
突如、北軍の背後にあらわれたのは、オルブラヒト率いる別働隊2千騎だった。彼らは、ほぼ垂直の断崖をもつオルクス山を飛び降り始めた。
2千騎の大狼部隊は、猫ように優雅に断崖を駆け下り、平原に降り立つと北軍2万6千の背後に向かって突撃を開始した。
北軍に動揺と衝撃が走り抜け、動きが止まった。前後から挟撃される恐怖が北軍全体をかけめぐる。
これをフェルスターの油断と指摘するのは酷であろう。彼は決して無能ではなかった。ただ、大狼(たいろう)の恐るべき機動力を知らなかっただけなのだ。
戦況は一変した。
北軍全体にほころびが生じ、陣容が乱れる。
アルフォンスは、黒瑪瑙の瞳に敵軍の陣容を写し込んだ。彼には特異な能力があった。ただ見るだけで、彼我の軍勢の士気の高低、陣形の強弱、敵の気配と動向を本質的に把握してしまうのだ。
アルフォンスの黒瑪瑙の瞳が、敵の軍列のもっとも脆弱な部分を捕らえた。
「敵の左翼を突破せよ!」
アルフォンスの号令とともに、ベルン公国軍が刀槍を閃かせて大地を疾駆した。
瞬く間に、敵の左翼を突破する。同時にオルブラヒト率いる別働隊2千騎が、北軍に背後から襲いかかった。
騎狼軍の突破力は常軌を逸していた。巨大な騎士槍(ランス)を持つ騎狼軍が北軍に襲いかかる。一瞬で、北軍は血と悲鳴を撒き散らしながら、串刺しにされ屍体にかわった。
鮮血と怒号が渦巻き、人間の首、腕が宙に舞う。北軍2万6千が、オルブラヒト率いるわずか2千騎の騎狼軍に翻弄されて、軍列を四散させた。
その間にアルフォンス率いる本軍1万騎が、背面展開し、北軍を完全に包囲した。
刹那に等しい短時間で、北軍とベルン公国軍はその位置を逆転させた。
北軍は湖を背にし、ベルン公国軍は、北軍を湖にむかって落とし込んだ。一方的な蹂躙がはじまった。
ベルン公国軍は戦線を乱した北軍を剣で切り裂き、槍で刺突し、戦斧で砕きわった。
大狼は圧倒的な体格差と膂力で、北軍の軍馬を押し倒し、踏み砕き、牙で噛み殺した。大狼に騎乗するベルン騎士もまた精猛であった。
ベルン兵の刀槍が煌めく度に、北軍兵の喉が切られ、胴体を切断されて人馬もろとも討ち倒される。
勇猛なベルン兵の中でも、一際、恐るべき驍勇を発揮したのは、グランド・エルフの少女・パミーナだった。
銀髪のエルフは、全長4メートルをこえる巨大な戦斧でもって、北軍に躍りかかった。
彼女の戦斧は重量120キロを越えており、戦斧がうなる度に、人間が、甲冑ごと両断され吹き飛ばされた。
一撃で、北軍兵10名が紙切れのように千切れ飛び、二撃目で、15名が粉微塵に砕けちり、鮮血とともに空中高く舞い上がる。
北軍兵は、魔神のごとき強さをもつパミーナの姿を見て、恐慌をきたした。
「湖にたたき落とせ!」
アルフォンスが戦機を逃さす号令する。
ベルン公国軍は、苛烈な攻勢でもって北軍を湖に追い落とした。北軍はすでに指揮系統と戦意を喪失していた。悲鳴をあげて逃げ惑い、湖に逃げ込む。そこにオルブラヒトの指示で弓箭隊から矢が放たれた。
数千の矢が驟雨のように北軍に降り注ぎ、800余名が矢で射殺された。
射殺された中には、総帥のフェルスター侯爵もいた。
北軍は潰走し、ひたすら逃げ惑いつつけた。もはや士気も戦意もない。
「降伏しろ! 降伏すれば生命は保証する! 無駄死にするな!」
アルフォンスが怒号し、ベルン兵がそれに合わせて連呼すると、北軍は武器を捨てて降伏した。
◆◆◆
「アストライア平原の戦い」はわずか3時間弱で終わった。北軍の死者は6千余名。
負傷者は1万2千余名。降伏して捕虜となった者は、1万数1000余名。たいしてベルン公国軍の死傷者は80余名であった。
アルフォンスは降伏した北軍の兵士から武器、防具をはぎ取り、地面に埋めさせ、軍事物資を奪うと全員解放した。
すぐさまフェルスター侯爵の居城を攻めて陥落させると、その居城の軍事物資も奪い取って、アークトゥルス領めざして北進を開始した。
【ベルン公国軍:1万2千騎】
【敵軍:フェルスター侯爵軍 2万6千】
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中天にある太陽が曇天で隠れる中、ベルン公国軍と、フェルスター侯爵率いる北軍2万6千が、「アストライア平原」で対峙した。
「あれが騎狼軍か……」
北軍2万6千の兵士達が、遠目にみえる大狼とそれに乗るベルン公国の騎士達を見て、声を震わせた。
軍馬よりも1回り大きい大狼が、巨大な牙を剥きだし、獰猛な唸り声をあげて、こちらを睨んでいる。その数は1万頭以上。
その圧倒的な殺意と獣性に、勇猛な北部軍兵でさえも畏怖を覚えずにはいられなかった。
「臆するな。北部の勇者達よ! 敵は湖を背にしており、我が方が圧倒的に有利だ。くわえて、我らは敵軍の2倍、勝利は疑いない! 騎狼兵を1匹仕留めれば、クローナ金貨を10枚くれてやるぞ!」
フェルスター侯爵はそう宣言して、士気を高めた。
やがて、双方の軍勢から角笛が鳴り響き、戦いが始まった。
フェルスター侯爵は、凹陣形のまま全軍に進撃を命じた。
「一気呵成に攻めかけよ! 敵を湖に叩きおとしてやれ!」
北軍2万6千が、鯨波をあげて突進する。
アルフォンスは、1人、ベルン公国軍の先頭に立ち、肉薄する北軍2万6千を静かに眺めやっていた。
その後方にいるミストルーン皇女が、心配そうな表情と声で傍らにいるフローラに語りかける。
「のう。アルフォンスは、大丈夫なのか? 先頭に1人で立つなど危ないじゃろうに……」
「ご心配なく殿下。アルフォンス様は天才ですから」
フローラは微笑して、皇女の銀髪を撫でた。
(しかし、皇女殿下はなんという胆力をおもちであろうか……)
と、フローラはミストルーンの頭を愛おしく撫でながら思う。初めての戦場、しかも御年8歳であられるのに、微塵も恐怖を見せられない。
(生まれながらにして、英傑であられる)
フローラが感心している内に、北軍2万6千が800メートルにまで接近してきた。
地面が揺れ動き、殺気と怒号が濃度をまして大気を埋める。北軍が、あと500メートルまで迫った時、戦場の北方から突如として、大狼の咆吼が轟いた。数1000の雷鳴を束ねたような咆吼に天地が鳴動する。
フェルスターが驚いて背後をふり返ると、そこには信じがたい光景が展開していた。
「閣下! 山を! ベルン公国軍が、断崖を飛び降りてきます!」
幕僚が叫び、フェルスター侯爵は呻き声をあげた。
「馬鹿な!」
フェルスターの両眼に飛び込んだ光景は、俄に信じがたいものだった。
突如、北軍の背後にあらわれたのは、オルブラヒト率いる別働隊2千騎だった。彼らは、ほぼ垂直の断崖をもつオルクス山を飛び降り始めた。
2千騎の大狼部隊は、猫ように優雅に断崖を駆け下り、平原に降り立つと北軍2万6千の背後に向かって突撃を開始した。
北軍に動揺と衝撃が走り抜け、動きが止まった。前後から挟撃される恐怖が北軍全体をかけめぐる。
これをフェルスターの油断と指摘するのは酷であろう。彼は決して無能ではなかった。ただ、大狼(たいろう)の恐るべき機動力を知らなかっただけなのだ。
戦況は一変した。
北軍全体にほころびが生じ、陣容が乱れる。
アルフォンスは、黒瑪瑙の瞳に敵軍の陣容を写し込んだ。彼には特異な能力があった。ただ見るだけで、彼我の軍勢の士気の高低、陣形の強弱、敵の気配と動向を本質的に把握してしまうのだ。
アルフォンスの黒瑪瑙の瞳が、敵の軍列のもっとも脆弱な部分を捕らえた。
「敵の左翼を突破せよ!」
アルフォンスの号令とともに、ベルン公国軍が刀槍を閃かせて大地を疾駆した。
瞬く間に、敵の左翼を突破する。同時にオルブラヒト率いる別働隊2千騎が、北軍に背後から襲いかかった。
騎狼軍の突破力は常軌を逸していた。巨大な騎士槍(ランス)を持つ騎狼軍が北軍に襲いかかる。一瞬で、北軍は血と悲鳴を撒き散らしながら、串刺しにされ屍体にかわった。
鮮血と怒号が渦巻き、人間の首、腕が宙に舞う。北軍2万6千が、オルブラヒト率いるわずか2千騎の騎狼軍に翻弄されて、軍列を四散させた。
その間にアルフォンス率いる本軍1万騎が、背面展開し、北軍を完全に包囲した。
刹那に等しい短時間で、北軍とベルン公国軍はその位置を逆転させた。
北軍は湖を背にし、ベルン公国軍は、北軍を湖にむかって落とし込んだ。一方的な蹂躙がはじまった。
ベルン公国軍は戦線を乱した北軍を剣で切り裂き、槍で刺突し、戦斧で砕きわった。
大狼は圧倒的な体格差と膂力で、北軍の軍馬を押し倒し、踏み砕き、牙で噛み殺した。大狼に騎乗するベルン騎士もまた精猛であった。
ベルン兵の刀槍が煌めく度に、北軍兵の喉が切られ、胴体を切断されて人馬もろとも討ち倒される。
勇猛なベルン兵の中でも、一際、恐るべき驍勇を発揮したのは、グランド・エルフの少女・パミーナだった。
銀髪のエルフは、全長4メートルをこえる巨大な戦斧でもって、北軍に躍りかかった。
彼女の戦斧は重量120キロを越えており、戦斧がうなる度に、人間が、甲冑ごと両断され吹き飛ばされた。
一撃で、北軍兵10名が紙切れのように千切れ飛び、二撃目で、15名が粉微塵に砕けちり、鮮血とともに空中高く舞い上がる。
北軍兵は、魔神のごとき強さをもつパミーナの姿を見て、恐慌をきたした。
「湖にたたき落とせ!」
アルフォンスが戦機を逃さす号令する。
ベルン公国軍は、苛烈な攻勢でもって北軍を湖に追い落とした。北軍はすでに指揮系統と戦意を喪失していた。悲鳴をあげて逃げ惑い、湖に逃げ込む。そこにオルブラヒトの指示で弓箭隊から矢が放たれた。
数千の矢が驟雨のように北軍に降り注ぎ、800余名が矢で射殺された。
射殺された中には、総帥のフェルスター侯爵もいた。
北軍は潰走し、ひたすら逃げ惑いつつけた。もはや士気も戦意もない。
「降伏しろ! 降伏すれば生命は保証する! 無駄死にするな!」
アルフォンスが怒号し、ベルン兵がそれに合わせて連呼すると、北軍は武器を捨てて降伏した。
◆◆◆
「アストライア平原の戦い」はわずか3時間弱で終わった。北軍の死者は6千余名。
負傷者は1万2千余名。降伏して捕虜となった者は、1万数1000余名。たいしてベルン公国軍の死傷者は80余名であった。
アルフォンスは降伏した北軍の兵士から武器、防具をはぎ取り、地面に埋めさせ、軍事物資を奪うと全員解放した。
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