某勇者パーティに最も大事にするべき仲間について語ってみた件

ふくまめ

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お仕事開始!

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結果として、3人は一旦就職する運びとなった。
ウィルはうちの雑用係、アレックスは食事処で裏方仕事、そしてレイは…。

「なんでオレがお前の小間使いなんだよ!」
「つべこべ言わずに箱組み立てなさいよ!口より手を動かす!」

レイは私のわがままに必要な箱作りに勤しんでいた。つまりは私の直属の手下。
できあがった箱に多少歪みはあるけれど、試験的に行う分には十分だろう。
先に断っておくが、ウィルやアレックスもこの活動に協力するよう、それぞれ指示を出してある。
レイがこの役割に落ち着いたのは、本人の性格から考えて、どこかの店で働いたとしても口答えなんかして長続きしなさそうだからだ。
すぐに職にあぶれるよりか、目の届くところに置いておいて都度指示を出した方がいい。
なんだかんだ言って、3人の中で理解力があるのはレイみたいだし。

「そんで?お前は何書いてんだよ。」
「あんたが作った箱に貼っておく、説明書きみたいなもんね。
 これができたら、あんたは「骨つき肉」に箱を持って行くのよ。」
「へーい…。」

「骨つき肉」とは、アレックスが働くことになった食事処の名前だ。
3人はこの街に来てその店で食事をすることが多かったのだという。
店名から分かるように肉料理に力を入れていて、若者に人気の食事処で我が家も昔からお世話になっている。
誕生日やお祝い事なんかはそこでお腹いっぱいお肉を食べるのだ。
今回私のわがままにも協力してもらっている。

「うーん、この箱の名前はどうしようかしらね…。意見箱?要望箱?何でも箱?」
「どうだっていいだろ、名前なんて。問題は中身だろ中身。うまくいくのかねぇ…。」

私の考える計画はこうだ。
この街の各店に、お客さんからの意見や要望なんかを書いてもらった紙を入れてもらう。
そこから情報を吸い上げて協力店で共有し、様々なお店のサービスなんかに反映させていこうというものだ。
単純ながらに今まで実現できなかったのは、ひとえに他のお店に協力してもらえない、という点だ。
お客さんの意見を取り入れようするお店は少なくないが、なぜ他店と共有する必要が?ということだ。
確かに、ライバル店に有益な情報を流したくないのは当然だ。
そして何より、面倒なのでやりたくないというのが本当のところだろう。
どこの店も人手に余裕があるわけではない。家族経営でカツカツで回していることろがほとんどだ。
だから今回、そういったしがらみがない人手が入ったのは好都合だった。
もちろん、「骨つき肉」の理解があってのものだが、この計画の一部を担うためにアレックスが裏方仕事もするから、と就職に漕ぎつけたのだ。
一応我が「すずらん」を本部としてウィルを駐屯させているわけだが、ここでも雑用をしてもらうことで雇用する運びとなった。
正確に言うと、レイのみ就職できていないことになるのだが、まぁこれはこれで。

「今までは、この街からすぐに旅立ってしまう人が大半で、1人1人の要望に細かく向き合ってこなかったわ。
 もちろん、常連さんの意見は別としてよ?
 だけど、1人のお客さんの要望って次に来るお客さんも同じように感じる部分かもしれないじゃない。
 改善点があっても『もうこの店に来ることもないしな』って流されるなんて、悲しいじゃない。」
「まぁせっかく成長するきっかけがあるんだったら、ものにした方がいいとは思うが…。
 まともに役に立つような要望書を入れてくれるか、分かったもんじゃねぇなぁ。」
「やってみないことには何とも言えないわ…。
 でもやってみなければ、それはゼロ確定なのよ。少しでも可能性があるならやってみなきゃ。」
「…おう。じゃあこれ、持って行くからな。」

レイはできあがった箱をもって「骨つき肉」へと出かけていく。
よし!と気合を入れて、私も「すずらん」のカウンターへと持って行く。
両親はこの計画に理解は示してくれている。やってみたらいいとも言ってくれた。
この計画に不安がないわけではない。私が思いつかないような課題がきっと出てくるだろう。
しかしそれも、やってみなければ気づくことができないのだ。
物事が完璧に進むのは頭の中だけ。動き出したら予測しないことばかりだ。
新しいことを始めるのに必要なのは勇気。そこだけ見れば、私も冒険者と言えるかもしれない、なんて。
このガタついた不格好な箱が、私の冒険の第一歩となるのだ。
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