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愛してる⑤
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震える二人をよそに、男は揉み手をしながら笑顔を張り付けた。
二人の様子からして、男と一緒に来た子がニコの双子の弟なのだろう。…まさかこの男が、ニコがお世話になっているという人間か?…なんてことだ。
「さて、お立合い。この二人、普段はそこらの野草なんかを売って日銭を稼ぐ健気な双子。こんなご時世生きていくのも一苦労!そこでお客さんにだけ出血大サービス。この双子、ここにいる間だけですが貸し切りとさせていただきます!」
「…は?」
「旅は不便も多いでしょう。この双子を使ってご解消ください!」
「…何を言っているんだ、こいつは。」
「お使いから身の回りのお世話、サンドバッグまで!どうぞご自由に!」
「…っ!」
「そんな…!」
「僕たちっ!」
「商品がしゃべるんじゃねぇ!…すいませんねぇ、それでいかがいたします?お値段も勉強させていただきますが。」
反抗しようとする二人に怒鳴り、こちらには気味の悪いくらい笑みを浮かべながら交渉を進めようとしている。
この男、まさか双子の身柄を売ろうというのだろうか。一体どこまで…!
「…そーかい、よーくわかったぜ。」
「分かってくださいましたか!でしたら…!」
「ギルくーん、この方にお支払いを。特別なやつをな。」
「了解した。」
「え?ちょっと二人とも…!」
「はいはい、メアリちゃんはこっちねー。双子ちゃんたちと一緒に、向こう向いててねー。」
「なんでですか!ロランさん、ギルさん!」
「お兄さんたち、僕たちを買うの…?」
「サンゴ…。」
私を二人のところに追いやると、こっちを見ないようにと言い含める。双子も何が何だか分からずにただ怯えた表情で私を見ている。
ごめん、私にもさっぱり…。
とにかく、安心させた方がいいだろうかと二人をそっと抱きしめる。少し警戒しているようだが、私が女だからかさほど抵抗はされなかった。その様子にほっとしながらも、背後で何が起こっているのかを静かに確認する。
「へっへっへ…まいど。」
「あぁ。…支払いをしよう、手を出せ。」
「へい。…え。」
ニヤついていた男の顔から笑顔が消える。
ぱっと赤が宙を舞う。
赤は男の手元とギルさんが抜いた剣とを繋いで…。
「あぁぁぁあぁぁぁぁぁあああ!!」
「おいおいどうしちまったんだよ、嬉しすぎたのか?」
「な、何をっ、何してっテメェ!あがぁあぁぁ!!」
「何って支払いだよ。…まだ足りねぇな、ギル君?」
「あぁ。」
「ひっ…!誰、誰か…!あぁ!?」
「…お前。」
「一人旅歴舐めんなって。」
理解が一瞬できなくなって息をのむ。双子を抱きしめる腕に力が入る。
痛いよ…と呟いたのは、双子のどちらだったのか。
支払いを受け取ろうと差し出した男の腕を、ギルさんは一瞬で切り飛ばす。それに怯えて逃げ出した男が、さほど足を進めないうちに崩れ落ちた。
男の足元がどんどん赤く染め上げられていく。
そういえば、ロランさんはいつ剣を抜いたのだろう。赤い雫が伝っている。
「う、あぁぁああ!何で、何でこんなぁ…!」
「支払いが終わる前にどっかいかれちゃ困るだろーが。…まぁ次で最後だ。手間取らせて悪かったな、屑野郎。」
「あぁっ…悪かった!悪かった、助けてっ…!!」
「喚かれても、下衆の言葉は分からんな。」
「あぁぁぁああっ………。」
這いずって、何とかギルさんから離れようとする男に、大股で無慈悲に距離を詰めるギルさん。
男の最期の瞬間は、咄嗟に目を逸らした。
重く何かが倒れる音、何かをぶちまけたような水音、途切れた悲鳴。
そうして辺りは静かになった。
二人の様子からして、男と一緒に来た子がニコの双子の弟なのだろう。…まさかこの男が、ニコがお世話になっているという人間か?…なんてことだ。
「さて、お立合い。この二人、普段はそこらの野草なんかを売って日銭を稼ぐ健気な双子。こんなご時世生きていくのも一苦労!そこでお客さんにだけ出血大サービス。この双子、ここにいる間だけですが貸し切りとさせていただきます!」
「…は?」
「旅は不便も多いでしょう。この双子を使ってご解消ください!」
「…何を言っているんだ、こいつは。」
「お使いから身の回りのお世話、サンドバッグまで!どうぞご自由に!」
「…っ!」
「そんな…!」
「僕たちっ!」
「商品がしゃべるんじゃねぇ!…すいませんねぇ、それでいかがいたします?お値段も勉強させていただきますが。」
反抗しようとする二人に怒鳴り、こちらには気味の悪いくらい笑みを浮かべながら交渉を進めようとしている。
この男、まさか双子の身柄を売ろうというのだろうか。一体どこまで…!
「…そーかい、よーくわかったぜ。」
「分かってくださいましたか!でしたら…!」
「ギルくーん、この方にお支払いを。特別なやつをな。」
「了解した。」
「え?ちょっと二人とも…!」
「はいはい、メアリちゃんはこっちねー。双子ちゃんたちと一緒に、向こう向いててねー。」
「なんでですか!ロランさん、ギルさん!」
「お兄さんたち、僕たちを買うの…?」
「サンゴ…。」
私を二人のところに追いやると、こっちを見ないようにと言い含める。双子も何が何だか分からずにただ怯えた表情で私を見ている。
ごめん、私にもさっぱり…。
とにかく、安心させた方がいいだろうかと二人をそっと抱きしめる。少し警戒しているようだが、私が女だからかさほど抵抗はされなかった。その様子にほっとしながらも、背後で何が起こっているのかを静かに確認する。
「へっへっへ…まいど。」
「あぁ。…支払いをしよう、手を出せ。」
「へい。…え。」
ニヤついていた男の顔から笑顔が消える。
ぱっと赤が宙を舞う。
赤は男の手元とギルさんが抜いた剣とを繋いで…。
「あぁぁぁあぁぁぁぁぁあああ!!」
「おいおいどうしちまったんだよ、嬉しすぎたのか?」
「な、何をっ、何してっテメェ!あがぁあぁぁ!!」
「何って支払いだよ。…まだ足りねぇな、ギル君?」
「あぁ。」
「ひっ…!誰、誰か…!あぁ!?」
「…お前。」
「一人旅歴舐めんなって。」
理解が一瞬できなくなって息をのむ。双子を抱きしめる腕に力が入る。
痛いよ…と呟いたのは、双子のどちらだったのか。
支払いを受け取ろうと差し出した男の腕を、ギルさんは一瞬で切り飛ばす。それに怯えて逃げ出した男が、さほど足を進めないうちに崩れ落ちた。
男の足元がどんどん赤く染め上げられていく。
そういえば、ロランさんはいつ剣を抜いたのだろう。赤い雫が伝っている。
「う、あぁぁああ!何で、何でこんなぁ…!」
「支払いが終わる前にどっかいかれちゃ困るだろーが。…まぁ次で最後だ。手間取らせて悪かったな、屑野郎。」
「あぁっ…悪かった!悪かった、助けてっ…!!」
「喚かれても、下衆の言葉は分からんな。」
「あぁぁぁああっ………。」
這いずって、何とかギルさんから離れようとする男に、大股で無慈悲に距離を詰めるギルさん。
男の最期の瞬間は、咄嗟に目を逸らした。
重く何かが倒れる音、何かをぶちまけたような水音、途切れた悲鳴。
そうして辺りは静かになった。
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