75 / 84
あなたは何タイプ?
しおりを挟む
「食事だ!」
「読書だ!」
「芸術だ!!」
「頭おかしくなったかお前たち。」
今日も今日とて、ギルドの扉を開けるなり謎のポーズを取りながら奇声を発する三人の頭を心配してしまう。
ちなみに三人というのは、声を発した順番にユイ、アレックス、ウィルとなる。
個人的には最後が最も理解できないのだが。
「失礼ね、『食欲の秋』って知らないの?食欲って言うのは女子としてちょっとはばかられるから、品よく掛け声を食事に変えたっていうのに。」
「変なポーズしてる方がはばかられるわ。」
「よ、ようやく涼しくなって、読書に集中できるようになったよ。」
「お前は年中食欲あるから消去法で読書担当になったんだろ。」
「季節の移り変わりは創作意欲が刺激される。」
「お前が一番納得いかねぇ。さっさと他の担当に変更しろ。」
三人が意気揚々と秋だから~と語り始める。また変なもんに影響されやがったな。
あーもう、今から嫌な予感しかしねぇ!
「…一応、話は聞いてやろうか。何なんだよ、今回は。」
「なんてことはないわよ。あの過酷な夏がやっと終わって涼しくなったんだから、やりたいことを満喫しよう!ってだけ。」
「そんだけで済んだことってないんだよなぁ…。」
「秋ってなんでこう美味しいものが並び始めるのかしらね!控えめに言って最高。」
「はいはい…。」
「昨日もエナちゃんと話題になってるスイーツ食べに行ったし、今日もこの後別のお店に食べに行く約束をしてる。」
「エナもか…!お前たちが組むと碌なことにならねぇが、まぁ静かに楽しんでくれ…。」
「おいしい物を食べ歩くのもいいんだけど、今度自分たちで作ってみるのもいいんじゃないかって!かぼちゃのパイなんかいいんじゃないかしら。収穫からやっていくから、皆も協力してね。」
「収穫から!?」
追及するにしては結構難易度高いと思うが!?
「ど、読書はなんてことないよ…。魔女の一撃で本を借りて読んでるんだ。」
「あぁ、あのばあさん専門書とか持ってそうだもんな。なんてったって魔女だし。」
「も、もちろん医学書もたくさんあるんだけど、文学作品も多くてさ…。特に恋愛作品が多くて、読み終わったら感想聞かれるんだ。…こ、今度、レイも一緒に読んでみない?」
「それオレにも感想聞いてくるやつだろ!やだよ!面倒なことに巻き込むなよ!っていうか、ばあさんの愛読書恋愛作品かよ、意外過ぎるわ。」
誰が何を読んでいようが構わないが、年若い男に勧めるのがそれって選択どうなんだ?せめて感想は求めないでやってくれ!?
「…それで俺の芸術なんだけど…。」
「お前はいい。」
「なんで。」
「お前の芸術は理解できんからな。」
「芸術の門は誰にでも開かれているよ?」
「お前の作る芸術作品が俺には理解できねぇんだよ!センスゼロが芸術語るな!!」
「え、ウィルってそんなにひどいの…?」
意気揚々と語り始めようとしたウィルをすぐさま遮る。まぁ誰が芸術を求めようが構わん。こいつ以外な!
オレの語気の荒さに何かを感じ取ったのか、ユイが恐る恐る様子を伺ってくる。事情を理解しているアレックスは苦笑いしている。
「あぁ、ひどいなんてもんじゃねぇ。こいつの芸術とやらを目にしたら最後、思考が空の彼方に吹っ飛んで異世界の神が新文明を作り上げるだろうぜ。」
「…何言ってるの?」
「それだけすごい作品だってことだよ、ユイさん。」
「ちっげーよ!」
「ぼ、僕も…ちょっと理解はできない、かな…。」
「…何となく、理解したわ。ちなみに、何を作るの?」
「俺は絵を描くんだ。涼しくなってきて、集中して向かい合えるんだ。」
「へー…ちょっと描いて見せてよ。」
「おい正気か!?こいつの絵を見るなんて!」
「ここまで言われるのも興味あるじゃない。四人で同じテーマで描いて、誰が一番上手か見せ合いましょうよ!」
「いいね!」
「…マジかよ…。」
「や、やめておいた方が、いいと思うけど…。」
何てことを提案しやがるんだ…!ユイはウィルの描いた絵、いやバケモンを見たことがないからこんなことが言えるんだ。散々被害者になってきたオレやアレックスの反応を見ろ!どうやっても嫌な予感しかしないだろ、そうだよな!?
そう思って全力で否定やら拒否やらするものの、当の本人は面白そうじゃないの一点張り。これから加害者になるであろうウィルもじゃあ準備しないと!なんて軽い足取りで道具を取りに出て行ってしまった。
…もう何もかも終わりだ。
「読書だ!」
「芸術だ!!」
「頭おかしくなったかお前たち。」
今日も今日とて、ギルドの扉を開けるなり謎のポーズを取りながら奇声を発する三人の頭を心配してしまう。
ちなみに三人というのは、声を発した順番にユイ、アレックス、ウィルとなる。
個人的には最後が最も理解できないのだが。
「失礼ね、『食欲の秋』って知らないの?食欲って言うのは女子としてちょっとはばかられるから、品よく掛け声を食事に変えたっていうのに。」
「変なポーズしてる方がはばかられるわ。」
「よ、ようやく涼しくなって、読書に集中できるようになったよ。」
「お前は年中食欲あるから消去法で読書担当になったんだろ。」
「季節の移り変わりは創作意欲が刺激される。」
「お前が一番納得いかねぇ。さっさと他の担当に変更しろ。」
三人が意気揚々と秋だから~と語り始める。また変なもんに影響されやがったな。
あーもう、今から嫌な予感しかしねぇ!
「…一応、話は聞いてやろうか。何なんだよ、今回は。」
「なんてことはないわよ。あの過酷な夏がやっと終わって涼しくなったんだから、やりたいことを満喫しよう!ってだけ。」
「そんだけで済んだことってないんだよなぁ…。」
「秋ってなんでこう美味しいものが並び始めるのかしらね!控えめに言って最高。」
「はいはい…。」
「昨日もエナちゃんと話題になってるスイーツ食べに行ったし、今日もこの後別のお店に食べに行く約束をしてる。」
「エナもか…!お前たちが組むと碌なことにならねぇが、まぁ静かに楽しんでくれ…。」
「おいしい物を食べ歩くのもいいんだけど、今度自分たちで作ってみるのもいいんじゃないかって!かぼちゃのパイなんかいいんじゃないかしら。収穫からやっていくから、皆も協力してね。」
「収穫から!?」
追及するにしては結構難易度高いと思うが!?
「ど、読書はなんてことないよ…。魔女の一撃で本を借りて読んでるんだ。」
「あぁ、あのばあさん専門書とか持ってそうだもんな。なんてったって魔女だし。」
「も、もちろん医学書もたくさんあるんだけど、文学作品も多くてさ…。特に恋愛作品が多くて、読み終わったら感想聞かれるんだ。…こ、今度、レイも一緒に読んでみない?」
「それオレにも感想聞いてくるやつだろ!やだよ!面倒なことに巻き込むなよ!っていうか、ばあさんの愛読書恋愛作品かよ、意外過ぎるわ。」
誰が何を読んでいようが構わないが、年若い男に勧めるのがそれって選択どうなんだ?せめて感想は求めないでやってくれ!?
「…それで俺の芸術なんだけど…。」
「お前はいい。」
「なんで。」
「お前の芸術は理解できんからな。」
「芸術の門は誰にでも開かれているよ?」
「お前の作る芸術作品が俺には理解できねぇんだよ!センスゼロが芸術語るな!!」
「え、ウィルってそんなにひどいの…?」
意気揚々と語り始めようとしたウィルをすぐさま遮る。まぁ誰が芸術を求めようが構わん。こいつ以外な!
オレの語気の荒さに何かを感じ取ったのか、ユイが恐る恐る様子を伺ってくる。事情を理解しているアレックスは苦笑いしている。
「あぁ、ひどいなんてもんじゃねぇ。こいつの芸術とやらを目にしたら最後、思考が空の彼方に吹っ飛んで異世界の神が新文明を作り上げるだろうぜ。」
「…何言ってるの?」
「それだけすごい作品だってことだよ、ユイさん。」
「ちっげーよ!」
「ぼ、僕も…ちょっと理解はできない、かな…。」
「…何となく、理解したわ。ちなみに、何を作るの?」
「俺は絵を描くんだ。涼しくなってきて、集中して向かい合えるんだ。」
「へー…ちょっと描いて見せてよ。」
「おい正気か!?こいつの絵を見るなんて!」
「ここまで言われるのも興味あるじゃない。四人で同じテーマで描いて、誰が一番上手か見せ合いましょうよ!」
「いいね!」
「…マジかよ…。」
「や、やめておいた方が、いいと思うけど…。」
何てことを提案しやがるんだ…!ユイはウィルの描いた絵、いやバケモンを見たことがないからこんなことが言えるんだ。散々被害者になってきたオレやアレックスの反応を見ろ!どうやっても嫌な予感しかしないだろ、そうだよな!?
そう思って全力で否定やら拒否やらするものの、当の本人は面白そうじゃないの一点張り。これから加害者になるであろうウィルもじゃあ準備しないと!なんて軽い足取りで道具を取りに出て行ってしまった。
…もう何もかも終わりだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる